33 迷宮の奥まで潜った実力を目の当たりにする
その後もヨシユキの戦いは続く。
3人はやる事もなく、ただその戦いを見ていた。
とにかく強い────それが3人の感想だった。
もともと上位争いをしていた旅団にいただけはあった。
仲間の成長についていけなくて辞めたとは聞いていたが。
それでも迷宮の奥まで行った者は違うと感じた。
仲間についていけなくなったとしても、奥まで進んだのだ。
それなりのレベルにはなっていたはず。
ならば、かなりの高レベルになってるはずだ。
どれくらいのレベルなのかは分からない。
だが、3人娘達よりも上なのは確実だ。
推奨レベル10のこのあたりの怪物をも大きく上回ってるだろう。
その強さを3人は垣間見ていく事になる。
とにかく圧倒的だった。
出会う怪物全てを瞬時に倒していく。
弓矢を使えば百発百中。
矢は急所を確実に貫いていく。
接近戦になってもそれは変わらない。
手にしたナイフで怪物を切断していく。
そして、敵の攻撃は決して当たらない。
あまりの動きの速さに敵がついていけてない。
3人娘達も、その動きを追いかける事が出来ない。
「凄い……」
サクラが思わず呟く。
そうとしか言えない動きだった。
ツバキとアヤメも頷く。
「これでも、迷宮の奥では通じないんだ」
その事にも驚く。
人間離れした凄まじい動きを見せるヨシユキ。
それでも迷宮の奥にいる怪物には届かないのかと。
あらためて迷宮の恐ろしさを感じる。
そこに挑む上位の探索者達のすごさも。
人間はここまで強くなれるという実例がそこにあった。
そんなヨシユキがもたらしてくれる魔力結晶。
ありがたく受け取って、経験値としていく。
それなりに強い怪物のものなので、魔力量も多い。
経験値になる量も多いので、レベル上昇も早いだろう。
魔力結晶を受け取りながら、3人はその瞬間を待った。
とはいえ、さすがに一日で必要な経験値が得られるわけもなく。
レベル2になるのに数日の時間を用いる事になった。
普通にやってたらまず不可能な成長速度ではあるが。
それを可能とするほどに、ヨシユキは怪物をたおし続けていた。
見てる3人が驚愕するほどに。
最後には、驚き疲れておかしな笑いがこみあげてきていた。
人間、極限まで困ると笑うしかなくなるのを3人は知った。
そして3人のレベルが上がったのを見て、
「それじゃ、あと一つレベルを上げよう」
こともなげにヨシユキは言い放った。
3人はもうどうしようもなくなって笑った。
気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を