32 遠慮せずに受け取ってもらいたい、その為に来てるのだから
3人が驚いてる間にも、ヨシユキは前へと進んでいく。
その後をすぐに追いかけていく。
そうして進むと、床に倒れる敵が見えてきた。
全部で10体だろうか。
人型をした怪物が血を流している。
人間の子供くらいの背丈の怪物だ。
鬼と呼ばれるものの一種だと、3人娘も気付いた。
その鬼の姿が塵となって消えていく。
体が煙のように分散され、後には小さな結晶が残される。
魔力結晶という、魔力の塊だ。
この魔力結晶、怪物をたおすと手に入れることが出来る。
おそらく、怪物のエネルギー源なのだろうと言われている。
詳細は分かってないが、そうではないかと考えられている。
これが探索者の収入源になる。
魔力が固まったものなので、魔術器具を動かす動力源になる。
電池のようなものだと考えれば良い。
これを持って帰って売りさばく事で収入になる。
そして、この魔力結晶を用いる事で、レベルを上げる事が出来る。
魔力を取り込む事で、人は能力を増大させる。
これをヨシユキはすぐに3人に渡した。
経験値にさせる為に。
あっさりと渡された魔力結晶。
それを見て3人はさすがに尻込みする。
「いいんですか?」
ヨシユキが怪物をたおして手に入れたものだ。
それをこんなあっさりともらって良いのかと。
しかし、ヨシユキからすれば、そんな遠慮は不要だ。
その為にここまで来てるのだから。
「いいから使え。
少しでもレベルアップに近づけろ」
そうしてもらわないと困る。
ヨシユキが求めてるのは、3人のレベルアップだ。
それによって能力を高め、独り立ちしてもらいたい。
そうすれば新人教育の評判も上がる。
今後の収入安定にもつながる。
なので、レベル上昇を拒まれると困る。
何のためにここまでしてるのかと。
「遠慮すんな。
お前らがレベルを上げてくれないと俺が困る」
そう言って魔力結晶を渡していく。
さすがに断りきれなくなり、3人は魔力結晶を受け取る。
そして、経験値として使っていく。
手に魔力結晶を握る。
結晶から目に見えないエネルギーが流れ込んでくるのを感じる。
それが魔力だと3人はなんとなく察した。
そうしてエネルギーを受け取ると、魔力結晶は霞のように消えていった。
魔力を完全に失ったからだろう。
「それじゃ、行くぞ」
経験値として魔力結晶を消費したのを見て、ヨシユキは歩き出す。
3人も続いていく。
「まだまだこれからだからな」
返事をして3人はついていった。
気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を




