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29 あらためて見る迷宮の中、推奨レベルを超える危険な場所

 そんな3人の目に、迷宮の中はいつも以上におそろしい場所に見えた。

 造り自体は何も変わってないのに。



 石畳に、大きなレンガが積み上げられたような壁。

 地面が剥き出しなのに、全然崩れてこない天井。

 それらが全て淡く光り、20メートルから30メートル先まで見渡せる。

 そのままでは薄暗いので、松明やカンテラ・ランタン・ランプなどを使うのが普通だ。

 しかし、無くてもある程度は問題なく活動する事が出来る。



 この薄明かりのおかげで、地下迷宮は暗闇が支配する場所ではない。

 初めて入る者はこれに驚く者が多い。

 たいていは、真っ暗で何も見えない世界を想像してるからだ。



 だが、多少の明かりがあっても危険である事に変わりはない。

 暗くて見えない遠い先から。

 あるいは、背後の暗がりの中に隠れて接近する何かが。

 曲がり角の向こうにいるかもしれない脅威が。

 いずこにいるかも分からない怪物が、すぐそこにいるかもしれない。



 この恐怖が重圧となって襲ってくる。

 意識するかどうかは別として、たいていの人間はこの警戒心に潰される。

 危険地帯にいる事で神経が鋭敏になっていくのだ。

 おかげで、普通に歩いてるだけで背筋が凍えてくる。

 足や手が震えていく。

 冷や汗をかいていく。



 奥に進めば進むほどこの傾向は強くなる。

 危険の中に深く潜り込んでる事を本能が察知するからだろう。



 これを解消するにはレベルを上げるしかない。

 脅威に立ち向かえるという確証が、不要な恐怖を取り除いてくれる。

 その目安として推奨レベルが存在する。



 これくらいの地点なら、だいたいこれくらいのレベルが妥当。

 探索者が積み重ねてきた体験と実感から言われてる事だ。

 登録所などで公開されてる情報にも記載されている。



 先ほどアヤメが言っていたのがそれだ。

 この地点、この区域はおおよそレベル10で巡るのが妥当とされている。

 そんなところにレベル1の3人娘は来てるのだ。

 嫌でも震えようというものだ。



 見た目は入り口付近と大きな違いはない。

 だが、見えない何かが大きく変わってる。

 その差違を、3人は肌と本能で感じていた。



 だからだろうか。

 同じような景色にも関わらず、全く違う場所に見えている。

 本当にここが迷宮なのかと。

 もっと危険な別のどこかではないかと。

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