28 3人娘の視点
今更ながら、3人はとんでもない事になったと思った。
レベル上げをするのは分かっていた。
多少の無茶をするというのも。
事前に聞いてたので、覚悟はしてたつもりだった。
しかし。
実際に来てみたら、ちょっと大変という程度では済まなかった。
いきなり奥まで進んでいき、とんでもなく危険な場所にやってきた。
初心者でこんな所まで来て良いのかと思うような場所だ。
「ねえ、ここって…………」
震える声のアヤメが2人に尋ねる。
「たしか、レベル10くらいが推奨じゃなかったっけ?」
「うん」
その通り、とツバキが頷く。
「迷宮内におかれた道しるべから明らか」
迷宮内には人間が設置した目印が幾つかある。
下手に迷わないようにするためだ。
特によく使う通路にはほぼ必ず設置してある。
基本的には距離をあらわしてるだけではある。
しかしそれは、同時にその地点の危険をはかる目印になっている。
入り口からの距離で、怪物の分布がおおよそ分かる。
そこから推奨レベルと呼ばれるものが割り出されてもいる。
ツバキはそれを見て、この区域がどれくらい危険なのかを正確に把握していた。
新人教育の時に聞いた話や、事前に集めた情報でくわしく知っていた。
だからはっきりと答えられる。
「ここは危険」
そういう声がかすかに震える。
「大丈夫だよね、大丈夫だよね……!」
抑えた、しかし強い声でアヤメが尋ねる。
不安が強く醸し出されてる。
それはそうだろう、レベル1で来てはいけない所まで来てるのだから。
不安どころか恐怖を抱くのが当然だ。
「駄目だよ、アヤメちゃん」
サクラがそんなアヤメをたしなめる。
「下手に声を出したら怪物がよってくるよ」
「そうだけどさ、そうだけど…………!」
どうにかして声をおさえようとするアヤメ。
だが、体の震えはとまらない。
こんな所にいたら死んでしまうと。
そんな所までやってきてしまった。
ヨシユキがいるとはいえ不安も大きい。
とんでもない事になったと、3人は思った。
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