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23 楽しいが実務的なお買い物

 着の身着のままというべきか。

 サクラもツバキもアヤメも酷い格好だった。

 ボロボロになった衣服は、つぎあてもないままに汚れて破れていた。

 機会を見て洗濯はしてるのだろうが、見た目は浮浪者と大差がない。



(何をどうすりゃこうなるんだか)

 ここに来るまでに何かあったのだろうとは思う。

 よほど切羽詰まってたのだろうと。

 でなければ、迷宮に挑もうなんて事にはならない。



 それでも、新人教育の中で、幾らか金が入ってはずなのだが。

 それらは宿代と食事代に消えてるのだろう。

 衣服まで回す金はないようだった。



 さすがにそんな格好で町の中を引きずり回すのは気が引ける。

 見た目をまずはどうにかしておきたかった。



「これもツケ?」

 ツバキが聞いてくる。

「もちろん」

「そう」

 素っ気ない返事。 

 ただ、呆れたりはしてないようだ。

 納得はしてるように感じた。

 アヤメは「うへえ……」とうめいてるが。



 それから、服を買って見た目をどうにかする。

 いずれも古着だが、三人ともまともな見た目になった。

 そうしていると、それなりに可愛く見えるから不思議である。

 なお、3人とも見た目は元々悪くは無い。

 どちらかといえば良い方だ、美人とか美女とまではいかないまでも。



 そんな3人は、今まで着ていたぼろ服を手にしている。

 縫い繕ってなおすのだとか。

「大事にしたいから」

「同じく」

「捨てるのもなんだかね」

 何かしら思い入れもあるようだった。

 懐かしい事を思い出してるような顔をしている。



 そんな3人をつれて、あらためて装備を買いに向かった。

 女の子をつれて行くにはいささか物騒な所へと。

(もうちょっと色気のある所に行きたいよ……)

 胸の中でぼやいていく。

 目を少しばかりうつろにしながら。



 そうしてやってきた武器・防具の店で、必要なものを買っていく。

 まずは防具。

 これは革製の上着などで済ませていく。

 迷宮の比較的浅い部分ならこれで充分だ。

 それに、重いと身動きがとれなくなる。

 レベルが上がって体力が上昇すればともかく、今の3人はこれが限界だ。



 それと、武器。

 剣舞を使うアヤメには当然ながら剣を。

 戦闘が主では無いサクラとツバキには護身用としてナイフを。

 それぞれ渡していく。



 さらにツバキには、魔術の増幅器を。

 売ってるものの中で最も安く、性能も一番低い。

 しかし、増幅器は高価なもので、これを持ってる探索者はそれほど多くは無い。

 ある程度成功した者達が手にする事ができるものだ。

 どれほど熟練してるのかを示す、一種の目印になっている。

 探索者としての成長を示す一里塚だ。



「いいの?」

 受け取ったツバキが尋ねてくる。

 本当に受け取っていいのかためらってる。

「かまわないよ。

 戦力強化のためだ」

 こうでもしないとまともな戦闘ができない。

 ヨシユキはそういう考えもあって渡してる。

 何一つ文句はなかった。

「ツケを頑張って払ってくれるならな」

「分かった」

 ツバキは大きく頷いた受け取った。



 そうして装備品を揃えてから薬草を買いにいく。

 最後に回ったが、これも必要不可欠なものだ。

 ヨシユキ達の生命線になる。

 傷薬もそうだが、毒などを消す薬も用意する。

 怪我よりも、こういったものの方が怖い。



 この薬草を買うにあたっては、サクラの独壇場になった。

 さすが薬草師の娘というべきか。

 ヨシユキ達が知らない事や気付かない事まで考えていく。

 その上で、必要なものを買い込んでいく。



 しかも、ただ買うだけではない。

「これとこれを合わせると、別の効果になります」

「これとこれなら、効果が大きくなります」

 薬草師ならではの知識で、様々な薬草の効能を語ってくれる。

 その説明にあわせて、多くの薬草が買い込まれていく。

 ヨシユキの想定以上に。



 そして、買い込んだ薬草をみてヨシユキは提案した。

「あっちの雑貨屋で鞄を買ってくる。

 それまで待ってて」

 手で持つには多すぎる量に、持ち運ぶ手段が必要になった。

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