21 敢えてこちらの道を選んできたのだ、もう少し付き合ってやろうと思ってしまう
どうしても迷宮に送り込めなかった者達。
全部で3人ほどいるが、これが全て女だった。
しかも若い。
幼いといって良い。
一番年かさでも15歳。
ようやく成人した頃合いだ。
(一番上でも6歳下か)
そう思うと、色々と考えるものがある。
当然ながら経験も何もあったものではない。
ヨシユキ達も迷宮に来た頃は、特に何かできるわけではなかったが。
その頃のヨシユキに比べても、色々と不利な状態なのがいたましい。
これで迷宮に挑もうとしてるのが哀れだった。
(食っていかなきゃならないしなあ)
詳しい事情は知らない。
根掘り葉掘り聞くものでもない。
そもそも、そこまで深い関係というわけではない。
なので、ここにいる理由や原因はわからない。
だが、迷宮に挑もうとしてるのだ。
何かしら理由があるはずである。
でなければ、危険なこんな所に好んでやってくるわけがない。
女の探索者も珍しいわけではないが。
それでも圧倒的に小数だ。
たいていは、命の危険が少ない別の仕事に就くからだ。
そのほとんどが夜の仕事ではあるが。
命の危険がつきまとう探索者は、そういった方面への金払いが良い。
だから、迷宮前の町にはたいていそういった商売がある。
良いか悪いかはともかくとして、繁盛してるのは確かだ。
仕事にありつくことは、そう難しい事ではない。
関連各産業も含めて、裾野も広く、様々な仕事がある。
それでも探索者になることを選ぶ者もいる。
理由は人それぞれだし、その決断に至るまでにどんなことがあったのかも分からない。
だが、ヨシユキの前にいる3人は、迷宮に行く事を選んだ。
ヨシユキはその判断を最大限に尊重するつもりだった。
だから、探索者として最低限はやっていけるようにしてやるつもりだった。
新人教育を買ってでたのだから。
ある程度は面倒をみるつもりでいた。
足手まといにはしたくなかった。
どれだけの才能を持ってるのか、レベルの上昇でどれだけ伸びるのか。
それは分からない。
分からないが、この先も生きていけるようにしたかった。
余計なお世話だとしてもだ。
「じゃあ、行くぞ」
不安そうな3人を促す。
「お前らがもう少し成長するまで付き合う」
「え?」
驚く3人。
新人の引率は終わったと聞いていたのだ。
それがまだ続くとは思ってもいなかった。
「お前らが使えるようになるまでしごいてやる。
だからレベルを上げろ」
「は、はい!」
「そんで、俺も儲けさせろ。
いいな」
「はい!」
ヨシユキと3人の迷宮探索が始まった。
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