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19 レベル上げにも協力する、己の利益にもなるので

 飲み込みの早い者達は、教えを受けてどんどんと成長していく。

 ヨシユキから離れて、独自に行動を開始するところもある。

 それらのほとんどは、無理せずに迷宮での活動を続けていく。

 いつ死ぬか分からないと言われる新人達は、堅実に迷宮での活動を続けていった。



 そういった人間を輩出する一方。

 ヨシユキは成長しづらい者達の引率を続けていた。



 もともと戦闘に適した能力を持ってる者は良い。

 だが、中にはそうでない者もいる。

 武士や魔術師の家に生まれた者ならば、迷宮探索に適した能力もあるだろう。

 狩人や盗賊なども探索に必要な能力がある。

 そういう所で生まれ育ち、下地を作れた者達は良い。



 だが、探索者になる者達の多くはそうではない。

 人口の大半を占める農民がほとんどだ。

 体力はともかく、戦闘技術がある者はほとんどいない。



 それでも、体力があるなら力押しでどうとでもなる。

 最弱の怪物をたおしながら経験値を積み重ねてレベルを上げる。

 そうしながら戦い方をおぼえていく。

 魔術が使える者も同じだ。

 狩人や盗賊のように、探知能力がある者は、戦闘以外の面で活躍してくれる。

 こういった者達は、コツを教えればあとは自力で活路を開いていける。



 しかし、世の中にはそうではない者もいる。

 迷宮に挑むのに必要な体力も技術も知識もない者もいる。



 没落貴族に、吟遊詩人などの探索や戦闘に向かない者達。

 食い詰めて探索者でたつきを得ようとしてる者がほとんどだ。

 こういう者は、最低限必要な体力がない場合が多い。

 専門的な学習が必要な魔術を身につけてる事などほとんどない。

 罠を発見したり、怪物の気配に気付く、足跡などを見つける能力もない。

 当たり前ではあるが、探索に必要なものを何一つ揃えてない。



 そういった者達がせめて独り立ちできるように、ヨシユキは付き合っていた。

 お人好しではあるが、それでかまわなかった。

 ヨシユキにもそれほど損はないのだから。



 新人育成は手間だが、利点もある。

 まず、危険がほとんどない。

 ヨシユキからすれば、安全地帯と言ってもよい場所。

 そこを巡回するだけだ。

 命の危険はない。



 稼ぎは大幅に減るが、一日の食い扶持を得るだけなら問題は無い。

 日当2万円程度の稼ぎを得る事が出来る。

 やり方次第ではあるし、どれだけの怪物を倒せるかによって変わるが。

 それでも、平均すればそれくらいの収入を一日で手に入れる。

 普通に生活していくだけなら充分な収入だ。



 武器や防具もそれほど高性能なものは必要ない。

 なので、補修費もさほど必要ない。

 こういった経費を差し引いても、手元に残る金は多い。



 しかも、一緒にまわる新人もいる。

 単独で迷宮に潜ってるわけではない。



 単独でもそれほど問題なく迷宮で活躍は出来る。

 出入り口近くの比較的安全な所ならば。

 もう少し奥に入っても、ある程度はなんとかなる。

 だが、それでも単独行動は危険がつきまとう。

 何の支援も得られない。

 何かあったらそこで終わってしまう。



 だが、一応は新人達という同行者がいる。

 彼らがいるおかげで、最悪の事態の保険にもなる。

 さほど期待は出来ないが、それでも単独行動よりはマシだ。



 ヨシユキが新人を守ってるように。

 新人達もまたヨシユキを守っている。

 そう伝えてはいないが、それをヨシユキは期待してもいた。



 しかも、新人達は常にいる。

 不定期的に迷宮にやってくる。

 それらを引率していく事で、常に周りに誰かがいる状況を作れる。

 迷宮の奥に挑むのとはここが大きく違う。



 高いレベルを持つ人間でなければ、ダンジョンの奥まで進む探索行は出来ない。

 なので、人材確保が難しい。

 これが原因で、人格的に問題があっても能力のある者を旅団に入れる事もある。

 それだけ迷宮の奥地というのは危険だ。



 だが、新人研修という形にはこういった問題がない。

 極端な話、つれていく人間は誰でもかまわない。

 よほど人格に問題があるか、本当に無能でもない限り。

 なので、一緒に組む人間に困るという事は無い。



 探索者志望でやってくる人間もたくさんいる。

 常にこれらは供給されるので、人材の枯渇を気にする必要もない。



 莫大なぼろ儲けは出来ないが、安定した稼ぎを得る事が出来る。

 新人教育にはこういった利点があった。

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