17 新人をつれて引率していく
こういった事を教えてから、迷宮で実践していく。
どこまでおぼえてるか。
おぼえていても、言われた通りに行動できるか。
そして、実際にやってみた結果を体感させていく。
ヨシユキもついていく。
さすがに新人だけで行動させるわけにはいかない。
引率もしていく。
ただし、戦闘には参加しない。
ヨシユキなら一人で怪物を蹴散らせるからだ。
新人達の修業にならない。
幸いにも新人達は健闘してみせた。
迷宮入りして間もない者や、今回が初めてという者の動きはたどたどしかったが。
それでも言われた通りにこなしていった。
言われた事をやろうとしていた。
おかげで、それほど大きな問題もなく終えることが出来た。
移動中は隊列を意識して行動。
事前に敵の発見に成功する場面も多かった。
休憩中の警戒も上手くやっていた。
少なくとも、奇襲を受ける事はなかった。
近づいてくる怪物を先に発見、迎え撃つ体勢をとる事が出来た。
少しでも経験のある者達ほど驚いていた。
「こんなに簡単にできるのか」
自分の体験してきたこれまでとの違いを感じてるようだ。
戦闘でもこれがはっきりとした形で出て来る。
さすがに経験のない、本物の新人達は手こずった。
攻撃を食らう者もいた。
しかし、死人は出てない。
新人としてはありえない成果だ。
何とか生きのびてはいたが、成果らしい成果を上げられなかった者達。
そういった者達はもっと上手くやった。
さすがに戦闘になれてるので、動きは滑らかだ。
熟練者に比べればまだまだだが。
それでも、危なげなく怪物をたおしていく。
新人はとにかく戦いに勝つ事が出来た事を喜んでいた。
何度も迷宮に潜っていた者達は、今までの自分たちとの違いに驚いていく。
途中、ヨシユキも助言をしつつ入り口近くを巡る。
ヨシユキにとっては何の問題もない場所だ。
しかし、新人達にとってはまだまだ危険地帯。
そんな所を出来るだけ広く巡っていく。
少しでも経験を積むために。
実際に歩いて回らなければ分からない事もある。
それはレベルが上がっても身につくものではない。
実体験があって初めて理解・納得出来るものがあるのだ。
それを得るために歩かせる。
今は分からなくてもだ。
いずれ分かる日が来るかもしれないのだから。
そうして色々体験する事で、新人達も何かを身につけていく。
それは教えられた動きを完全にする事だったり。
やってる途中で気付く様々な事だったり。
ヨシユキの引率の中で、新人達は何かを見つけていった。
そして、ヨシユキ自身も見ていく。
新人達を。
誰がどういう性格なのかを。
どんな人間なのかを。
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