16 魔術の使い方も伝えていく
「あと、魔術だけど。
相手に傷を負わせたりするようなものは使うな」
魔術師にはこのように助言をしていく。
「レベル1じゃたいした魔術は使えない。
それで戦おうとするな」
レベルが上がれば強力な攻撃を繰り出す魔術師。
あらゆる傷や病気を癒やす治療師。
これらもレベル1では大した事は出来ない。
魔術の威力が低いからだ。
レベル1の魔術師では、一撃で敵を撃破出来るような威力は無い。
2発3発と入れば弱い怪物なら倒せるという威力の攻撃しか出来ない。
しかも、敵1匹に対してだ。
治療師も同じで、レベル1では傷を癒やす事は出来ない。
消耗した体力をいくらか回復させるだけだ。
疲労を少し減らすというほうが近いかもしれない。
しかも、これらを使える回数も少ない。
魔術は精神力を消耗して使う。
使いすぎると失神・気絶してしまう。
レベル1の場合、使えて2回か3回くらいだ。
そんな魔術で戦闘を行うのは不可能と言ってよい。
敵を倒す前に、魔術を使った者が倒れる事になる。
それよりも、援護に回った方がよい。
直接攻撃をするのではなく、戦闘が楽になるようにしていく。
魔術師ならば、光の魔術。
これを使っていく。
光は文字通りに光を発生させるもの。
明るさは電灯くらいで、松明よりも明るい。
これを瞬間的に、光量を増大させて使う。
一瞬だけでもいい、使えば目を持ってる怪物の網膜をやく。
これの良いところは、消耗が少ない上に、広範囲に影響を及ぼせる事。
光を見ていたその場にいる全員に効果がある。
味方にも影響を与えてしまうが、最後尾にいれば問題はない。
背中を向けてる味方は光を直接見ないのだから。
ようは目くらましだ。
これで相手の出だしを遮る。
直射日光を直接見るようなものだ。
目の調子が戻るまで何秒間かまともに目が使えなくなる。
その間に距離をつめて、何匹か片付ける事も出来る。
他の魔術も同じように使えば良い。
顔に水や微風、土塊を叩きつければ同じような効果を得られる。
ライター程度の火を作る着火の魔術でも良い。
ただ、これだと範囲が狭く、せいぜい1匹にしか効果が出ない。
そこが光の魔術との違いだ。
なるべく広範囲に効果が出せる魔術。
レベル1だと、それは光の魔術くらいしかない。
最初の頃はこれに頼る事になる。
治療師も似たようなものだ。
その名の通り、治療の魔術を使う。
他にも身を守るための魔術を用いる。
これも使い方を少し変えていく。
レベル1の段階で出来るのは、疲労の解消。
戦闘が長引いて、戦士に疲労が出てきた場合に使うのが基本となっている。
しかし、あえて戦闘の前に使う。
状況次第だが、迷宮を歩き回ってる最中だ。
どうしたって疲労をしてるもの。
戦士の場合、武装が他の者よりも重いので、その意外と消耗してる事がある。
ならば、事前に疲労を消して、最善の状態にしておく。
そうしておけば集中力や動きも鈍らない。
回避し損ねて攻撃を受けるといった事が減る。
なにより、命中率や一撃の威力を最善最高の状態にしておく事が出来る。
結果として、戦闘を手早く終わらせる事につながる。
それでも怪我をする可能性はある。
そうなった場合、薬草などを使った方がよい。
レベル1の段階だと、こちらの方が治療の魔術より効果が高い。
値段がはるので、初心者が買うのは難しいが。
あと、迷宮から抜ける直前に疲労を抜いておく。
こうする事で、疲れが翌日に持ち越される事がなくなる。
どうせ外に出たらやる事もないのだ。
少しでも良好な状態の者を作るために、回復魔術を使った方が効率がよい。
もちろん、治療師の精神力が残ってればだが。
ただ、魔術を使う事による精神力の消費は大きいままだ。
魔術師と違って負担の軽減が出来ない。
なので、使いどころを考えねばならない。
それが迷宮から出る目安にもなる。
残り回数が半分ほどになったら帰る。
三回使えるなら、二回使った時点で外に出るようにする。
残り一回は、帰る途中で敵と出会った時に使う事になる。
もし敵に合わずに帰還できたなら、外に出る前に一番疲れてるものを回復させれば良い。
レベル1の段階ではこういった魔術の使い方をした方が無難だった。
威力の無い魔術しか使えないのだ。
それを最も効率よく使う事を考えねばならない。
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