14 安い低品質なものでも使いようである。
装備品にも気を使う。
食っていくのがやっとの生活が続く事になる。
まともな装備品を揃える余裕などない。
その為、安物で性能の低いものを使う事になる。
「だから、徹底して安いものにする」
それなりの値段のものならば、威力もある。
耐久性もあるので、長く使える。
しかし、一度壊れたら終わりだ。
だから発想を変える。
「安くて使えるものを揃える。
予備も含めて幾つか買っておく」
武器の修繕費もバカにならない。
それも仕方の無い事だ。
だが、その費用も出せないなら、いっそ諦めた方がいい。
武器が壊れたならそれでかまわない。
「修理するくらいなら新しいのを買った方がいい。
安物の武器ならその方が得だ」
実際、通常の武器の値段は高い。
質の低い量産品の剣や刀なら5万円くらいから手に入るが。
切れ味は悪いし刃こぼれもしやすい。
おまけに良く曲がるし折れる。
練習用ならともかく、実戦で使えるものではない。
まともに使える武器となると、50万円くらいからになる。
更に高品質のものとなれば天井知らずだ。
こんなもの初心者が用意できるわけがない。
そこで、逆に徹底的に安いものにこだわる。
その代表格が棍棒だ。
いわゆる野球バットのような形をした棒。
握りの部分を削った丸太ともいう。
材料費も加工費もそうかからないので安い。
せいぜい5千円といったところだ。
ただ、見た目が今一なのか、さほど人気は無い。
おまけに補強もされてないので結構壊れやすい。
補強をしても大した違いはない。
これもまた敬遠される理由になっている。
しかし、使い捨ての武器と思えばそう悪くは無い。
予備を一つ二つ持っていけば事足りる。
それに、壊れた棍棒は薪の材用にでもすれば良い。
通常の武器の補修費もだいたい数千円はする。
場合によっては1万円や2万円はかかる。
それなら、予備の棍棒を幾つか買った方が安いのだ。
いつまでも使える武器では無い。
レベルの高い者が使えば、一撃の衝撃で粉砕してしまう。
使えるのは低レベルの時だけ。
それも、入り口近くの弱い怪物相手の時に限られる。
だが、充分だ。
レベルが上がるまで、金が貯まるまでのつなぎにはなる。
そもそも、低レベルで弱い怪物を相手にするのだし。
初心者にはうってつけと言える。
どうしても殺傷力が欲しいなら、小型の刃物でも持っていればよい。
包丁くらいの短刀ならそう高くもないし、邪魔にもならない。
棍棒で叩いて弱らせた敵のトドメを刺すのに充分だ。
このあたりは侍の戦い方に似ている。
話を聞くに侍は、相手を組み伏せたあと、トドメを刺す時に短刀を使うという。
それと同じような使い方をしていけば良い。
包丁をチャンバラのように刀を打ち合わせるのは難しい。
そもそも耐久力がない。
だが、トドメの一撃用ならば充分である。
値段も安い。
それでも1万円くらいはするけども。
防具の方も同じように考えていく。
弱い怪物が相手なら、金属製の鎧などは必要ない。
厚めの革上着などで充分だ。
木製の鎧でもかまわない。
無理して鉄製の防具を買う必要はない。
そこまで強烈な攻撃をしてくる怪物はいない。
木製の防具で充分攻撃を防げる。
壊れやすいというか割れやすいのは確かだが。
安いので買い換えも楽だ。
そもそも買い換える程の損壊を受ける事もほとんどない。
棍棒と同じく、壊れたら薪に使えるという利点もある。
「そんなわけだから、安い武器と防具を使え。
使って使って、使い潰せ」
新人達にそう伝えていく。
「修理代を払うよりもその方が安い。
お前らの稼ぎでも何とかなる」
貧乏時代の過ごし方を伝授していく。
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