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123 接近してくる奴等には容赦なく

 迷宮が並ぶ危険地帯。

 そこを徘徊する怪物達。

 これらが近づく前に倒すために、ヨシユキ達は警備を置いている。

 また、国との境目でもある。

 そんな場所で活動する彼らは、同時に監視役も担っていた。



 国の方からやってくる商人や職人。

 仕事を求めてやってくる者達。

 それらを確かめ、安全に案内する事を仕事にしている。

 そうでない者達は、容赦なく排除する事にも。



 いずれもレベル80以上の猛者ばかりである。

 それくらいの能力でなければ、迷宮が集まってる場所に入ることは難しい。

 彼らは基本的に小数で活動する事が多く、それもまた高レベルが求められる理由になっていた。

 そんな彼らに襲われれば、護衛を付けた使者とてひとたまりもない。



 ヨシユキは貴族ら統治者の動きを警戒していた。

 彼らが自分たちを放置するわけがないと。

 まして、荒廃していた地域をきりひらいて発展させたとなれば。

 なんらかの形で取り込もうとするのは予想ができた。

 自分の物にするために強奪する事も。



 だからこそ、やってくる使者を処分するしかなかった。

 いなかった事にして消し去るしかない。

 幸い、迷宮の並んでる場所だ。

 怪物も徘徊している。

 襲われて死ぬ事など珍しくもない。



 そうならないように使者には多くの護衛が付けられている。

 それこそ、100人くらいの軍がついてくる事も珍しくはない。

 レベルも50くらいまで上げられてる者達がほとんどだ。



 国の軍隊も当然ながら迷宮でレベルを上げている。

 実戦経験を得られる数少ない場所でもある。

 志有る者は迷宮に出向いて自ら腕を磨くのが当然となっていた。



 そうでない者達も、魔力結晶を合法・非合法問わずに集めている。

 レベルを上げる為だ。



 この為、貴族などもレベルは高い。

 レベル20からレベル30になってる者は珍しくない。

 迷宮の外ではレベル2とかレベル3くらいになってしまうが。

 それでも通常の人間よりは能力は高くなる。

 それだけのレベルでも、日常生活や通常業務をこなすには充分だ。



 迷宮の中を突っ切る使者の護衛には、その中でも高レベルの者が付けられていた。

 危険地帯を突っ切る為にはやむをえない。

 彼らにとって不幸なのは、より高レベルの探索者達に狙われた事だ。

 それも何十人という強力な部隊がだ。



 いずれも自分たちより高レベル。

 しかも連携した戦い方になれた者達。

 そんな者達が相手では軍の猛者といえども分が悪い。

 次々に倒されていく彼らは役目を全うする事なく死んでいった。

 そして、死体は迷宮の中に持ち込まれ、怪物のエサとなっていった。



 こうやってヨシユキは、国との接点を強制的に潰していた。

 下手に話を聞けば余計な面倒に巻き込まれる。

 無視しても意味は無い。

 むしろ、余計に相手の怒りをあおる。

 面倒な奴は無視しろ、などというのは世迷い言だ。



 その為、ヨシユキはこの状況で最も有効な手段をとるしかなかった。

 そもそも、使者などいなかった事にする。

 いない者の来訪など受けられるわけがない。

 こうしておけば、余計な付き合いをする必要もあくなる。

 返事をするという面倒からも解放される。



 上手く交渉すればよい、などという事は考えない。

 交渉とは、相手を丸め込むための手段だ。

 いわゆる話し合いなどではない。

 そもそも、話し合いをしようという者達は話し合いなどするつもりはない。

 やるのは交渉。

 あるいは討論。

 率直に言えば口げんか。

 付き合うのも馬鹿馬鹿しい。



 そもそも、交渉とはしないのが基本である。

 相手との接点を持たないのが最良の状態だ。

 まずは接触をしないと、という考えは根本から間違っている。



 だいたいにして、交渉などというものは力量が対等か、相手を上回ってる場合でないと意味がない。

 話し合いで良い条件を引き出す事などできない。

 あくまで自分の持ってる力が相手を上回ってる。

 それを盾にして、あるいは笠に着て相手を退かせていく。

 相手に不利な条件を飲み込ませる、自分に有利な条件を押しつける。

 これが交渉である。



 力の無い今のヨシユキ達が話し合っても何の意味もない。

 するだけ無駄ですらない。

 したら最後、不利な条件を飲み込まされて地獄を見る。

 そうなるのが明確だから、ヨシユキは使者を残らず殺していった。

 接触があれば無視するのも難しくなるからだ。



 それでも、その場しのぎなのは変わらない。

 いずれより強引な手段をとってくる事になる。

 それでも、時間を稼ぐ必要があった。

 少しでも自分たちを強力にする為に。

 できるなら相手を削るために。

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