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12 新人教育

 初日は迷宮の入り口付近に入るに留めた。

 怪物もほとんど出ない安全地帯だ。

 訓練には丁度良い。

 そこで初歩的な事を教えていく。



「まず、隊列を組め。

 先頭は探知や探査が出来る者。

 その後ろに戦士。

 真ん中に魔術師や治療師を挟んで、最後尾にも戦士を」

 基本的な移動の陣形である。



 探知する者が罠や敵を警戒。

 危険を察知する。

 その後ろに戦士が控えて、防御力のない治療師や魔術師を守る。

 最後尾にも戦士を配置し、後ろからの奇襲に備える。

 欲を言えば、更に後ろに探知役をもう一人配置したいのだが。

 そこまで余裕のある攻略班や旅団は少ない。



 この順序を守りながらの移動訓練。

 怪物に遭遇した場合の戦闘態勢への移行。

 戦闘終了後の警戒など。

 本当に基本的な動作を教えていく。



 たったこれだけではある。

 だが、こんな事すら知らないで行動する者がとにかく多い。

 役割の効果的な使い方を知らず、全員一列になって進むとか。

 魔術師や治療師が先頭に立ってしまうとか。

 考え無しの初心者は、本当にこんな事をしてしまう。

 これによって本当に最初の戦闘で大きな被害を出す事も多い。



 だが、隊列一つでこれが変わってくる。

 罠を発見し、事なきを得る。

 怪物を見つけ、戦闘の準備をととのえる。

 そうして無理なく迷宮探索を続けていく。

 この動きをおぼえる事に初日は費やした。



 また、簡単な戦闘方法も伝えていく。

 非常に単純なものだ。

 盾を前にかざし、振りかぶった武器を振り下ろす。

 これを繰り返すだけ。

 非常に単純なものになる。

 だが、これで良い。

 下手に多くの技をおぼえても使い切れない。

 どの場面でどの技を使うのか考えてしまう。



 それならば、一つの動作を繰り返した方が良い。

 確実に敵に攻撃を当てる方法を一つ身につけた方が良い。

 それで戦闘をこなしていけば良い。

 迷宮の最初の方は、本当にこの程度でどうにかなる。

 他の技は、それから覚えればよい。



 あとは魔術師と治療師に動き方を教えていった。

 基本的にこの役目は戦闘中にやれる事が少ない。

 レベルが上がれば強力な攻撃を繰り出すのだが。

 そうなるまでは魔術で出来る事はほとんどない。

 なので、戦闘中の動き方などを多少教えていく。

 基本的には後列からの攻撃。

 投石器などを使っての遠距離攻撃が主になる。

 少しでも火力を高めるためだ。



 加えて、もう少し魔術が使えるようになった時の手ほどきも。

 魔術を使う専門職ではないが、こういう風にしてほしいという要望はある。

 それを魔術師と治療師に伝えていく。

 あらかじめ知ってれば少しは動きも変わるだろうと思って。

 それが必要になるのは先の事になるのは分かってる。

 だが、今のうちに教えられる事は教えていった。



 他にも、迷宮内での休息の仕方。

 どれくらいの目安で戻ってくるのか。

 活動の心得など。

 ヨシユキがしていた事を教えていく。



 一つ一つは大した事ではない。

 だが、そのどれもが実際にやってきた事だ。

 それをやって生き残ってきたのだ。

 貴重な教訓である。

 少なくとも、初心者は初めて聞く事ばかりだった。



「いいか、これだけは大事にしろ」

 そう言って本当に重要な事を教えていく。

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