118 面倒な呼び出しがかかる前に、さっさと移住先へ逃げ出す
迷宮攻略は終わった。
迷宮の崩壊と共にやるべきことはなくなった。
あとは、中から逃げだそうとする怪物を処理するだけ。
迷宮に入って、中枢である怪物をたおす必要は無い。
この迷宮においてやるべきことは終わった。
だが、ヨシユキにとってここからが始まりだった。
即座にヨシユキと迷宮中枢攻略者達は姿を消した。
貴族から逃げるためだ。
迷宮攻略者達は報償の対象になる。
最低でも勲章を授けられる立場になる。
なので、迷宮を攻略すれば統治者が呼び出すことになる。
当然ながらヨシユキがそんなものに出るわけがない。
どんなに偉い貴族であろうが、ヨシユキにとっては邪魔者でしかない。
それに、呼ばれて出向けば何をされるか分からない。
そんな危険地帯に出向くほどヨシユキはバカではない。
危ない場所からはさっさと逃げ出すものだ。
それなりに長くなった迷宮生活で嫌と言うほど思い知った。
逃げ出すヨシユキは、そのまま移住予定地へと向かう。
既に大量の旅団員が出向いて開拓・開発をしている。
快適とはいかないが、住めるようにはなってる。
そこで新しい生活を始める予定になっている。
なお、移住先もだいぶ落ち着いたらしく、農作業などが始まっている。
そこらを徘徊していた怪物は、あらかた殲滅した。
脅威になるようなものはない。
近くにある迷宮も、入り口を探索者で塞いでいる。
中から新たに怪物が出て来ることはない。
そうやって最低限の安全は確保している。
今後、迷宮を攻略して完全に除去する必要はあってもだ。
当面の安全を手に入れることは出来ている。
ただ、当面は様々なものを輸入に頼ることになる。
食料も道具も原料も足りないのだ。
充分にまかなえるようになるまでは、商人に持ち込んでもらわねばならない。
それだけではない。
家族も連れてこなければならない。
国においておいたら人質にされる。
そうなる前に、移住先に呼び寄せねばならなかった。
もっとも、断られたら終わりだが。
そうなったら、絶縁して何があろうと助けない、無視する事にする。
事情を説明して、それでも残るというならどうしようもない。
助ける義理や義務もない。
それをヨシユキ達はやっていく。
家族がいる者には声をかけさせる。
ただ、家族関係が悪い者達は例外とした。
児童虐待に育児放棄、いわゆる崩壊した家庭まで面倒を見るつもりはない。
親や家族に虐げられてた者達からすれば、家との関係など最悪の思い出でしかない。
そういう者達の家族は放置する事にした。
むしろ、関わりをもってはいけない。
そんな家族ならば根絶やしにするべきなのだから。
そうして救出するべき者の選別と回収をこなし。
ヨシユキ達は新天地での生活を始めていった。
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