117 迷宮崩壊
迷宮の崩壊が始まる。
最初は、迷宮の主がいた広大な部屋が崩れていく。
それは建物の倒壊とは違った様相を見せていくい。
怪物達がそうであるように、霧や靄のように消えていく。
それが奥の方から始まる。
それに巻き込まれないように、ヨシユキ達は広大な部屋をあとにした。
迷宮の崩壊はこうして進んでいく。
奥から少しずつ消えていく。
そこに何かあったという痕跡を残す事なく。
崩壊と言うよりは、消滅や消失というべきなのだろう。
壊れるというのとは違った形で無くなるのだから。
瓦礫も残らない。
文字通りに消えていくのだ。
それに巻き込まれないうちに迷宮から逃げださねばならない。
残ったままだと迷宮と共に消滅してしまう。
これまでの迷宮崩壊でそれは確かめられている。
迷宮に置いたままになったものは、その後も二度と戻ってくることは無かったという。
罪人を使って実験もされたが、その罪人も綺麗に消滅したとか。
なので、迷宮の崩壊が確認されたら、即座に逃げだすことになっている。
巻き込まれて消滅したいというならともかく。
ただ、迷宮の怪物は逃げだそうとはしない。
どういうわけか崩壊する迷宮に残り続ける。
中には外に逃げようとするものもいるが、それは小数だ。
それでも、それなりの数の怪物が出口に殺到する。
全体からすれば小数でも、数にすればかなり大勢になるからだ。
迷宮攻略は、最後の怪物騒ぎを起こす事になる。
これについては、事前に探索者には伝えられている。
なので、出入り口付近に高レベルの探索者が張り込んでいる。
可能な限り怪物をたおし、外にもらさないようにするために。
さすがに外に被害をもたらすわけにはいかなかった。
ヨシユキ達もその中に加わる。
脱出しようとする怪物をたおしていく。
最後の稼ぎ時だと全力を出していく。
それは入り口近くまで迷宮の崩壊が進んでくるまで続いた。
残る怪物もいなくなったところで、ヨシユキ達は迷宮都市を脱出した。
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