108 やる事が決まり即座に動き出していく
ヨシユキの演説後。
旅団は慌ただしく動いていく。
迷宮攻略もそうだが、それ以外の動きも活発になっていった。
まず、旅団の中でも比較的レベルの高い者達。
レベル50からレベル60であるが、これらが迷宮の外の探索に出向いていった。
次の向かう迷宮探しのためだ。
この周辺────といっても5キロから10キロは離れてるが────にも迷宮がある。
それらの中の様子を探り、次の探索に適してるかどうかを確かめに行く。
迷宮攻略が見え始めた頃になると、こういった動きが活発になる。
今後も迷宮で稼ぐ探索者ならば、知っておくべき事は数多くある。
探索や攻略がどこまで進んでるのか?
探索者の勢力はどうなってるのか?
都市の雰囲気、探索者に好意的かどうか。
活動のしやすさを確かめるために、これらを調べていく。
実際、周辺の迷宮都市へと向かう者達は多い。
10人ほどの探索班が他の迷宮の様子を探りにいく。
しかし、それらとは別に、特に大所帯の探索班があった。
規模は50人。
それだけで大規模な旅団と言えるものだ。
それらは旅支度をすると、他の者達とは違う方向へと向かった。
何台かの荷馬車を構えたそれらは、確かに周辺の迷宮へと向かっていく。
ヨシユキ達が今潜ってる迷宮の隣へと。
ただそれは、人の勢力圏とは反対側。
はびこる怪物達によって人が排除された場所。
迷宮の乱立する場所だった。
そこへと分け入っていく50人規模の探索班は、隣と言えば隣の迷宮の方向へと向かっていく。
人が踏み込めなくなった場所にある迷宮に。
しかし、それも途中まで。
その進路は、迷宮ではなく更に奥地へと向かっていった。
迷宮が乱立してる場所は、かつて人が住んでる場所だった。
そこに大量の迷宮が発生した。
あふれ出てくる怪物のせいで、人は撤退を余儀なくされた。
今は王都とその周辺の幾つかの場所が人の手に残ってる。
なので、怪物がはびこる地域でも、かつて人里だった名残が幾らか残ってる。
廃棄されて久しい道や水路など。
怪物に壊されずに残ってる家屋も。
そういったものの間をぬって、大規模探索班は進む。
測量士などを連れていくので、道や地形なども記録していく。
大雑把なものになるが、それで充分だった。
そうして幾つかの迷宮の横を通り抜け、様々な地域を探っていく。
もはや忘れられようとしてる場所。
そこの現状を可能な限り記録していく。
当然、怪物も襲ってくるが問題にはならない。
人がそうであるように、怪物も迷宮の外に出ればレベルが下がる。
レベル50からレベル60の探索者なら余裕で撃退できる。
そうして何度か探索班を送り込み、迷宮乱立地域を調べあげていく。
さすがに一度で全てを解明できるわけではない。
何度も何度も繰り返し探索班が送り込まれる。
その果てにヨシユキ達は、目的合致した場所を見つけた。
「なるほど」
探索班からの調査報告を読み、ヨシユキも考えをまとめていく。
自分たちが今後向かうべき場所。
適切な活動ができる所。
余計な輩が出向いてこない領域。
それが分かってきた。
「それじゃ、この迷宮に行くか」
そう言ってヨシユキは次の迷宮を決めた。
現在攻略中の迷宮より、離れる事200キロ。
かつて隣国の都市があった場所。
今は消滅した国の中にある迷宮。
ヨシユキはそこにある迷宮を次の攻略目標とした。
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