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104 率いる者が決めねばならない事

 これからどうしたいのか?

 それはヨシユキ自身も分からなかった。



 もともと、食いぶちを得たいが為に始めた探索者である。

 迷宮の奥を見てみたいという欲もあるが。

 それはもう少しで達成できそうだ。

 となれば、望みの一つはかなってしまう。



 あとは食いぶちにありつけるかどうかだが。

 これについて、問題は無い。

 今のレベルならば、普通に就職が出来るだろう。

 成長のために魔力結晶を使ってしまったから、貯金はそれほどでもないが。

 それでも、別の迷宮に行って少し頑張れば良い。

 残りの人生を安泰に出来るだけの蓄えをすぐに作れるだろう。



 自分で仕事を始めるというのは、さすがに考えてしまう。

 そこまでの才覚があるとは思ってない。

 能力値は高いが、それだけで出来るほど事業というのはあまくない。

 身近にいる商売人を見ていてつくづくそう思った。

「俺には無理だ」

 商売の難しさをなんとなく感じ取る事が出来た。



 旅団の頂点に立ってるのも大きいだろう。

 それをまとめるのも大変だ。

 有能な仲間がいてくれなかったら、とっくに瓦解している。

 自分一人ではとても無理だと考えていた。

 大勢の人間を率いる能力はないと。

 それがヨシユキ自身の自己評価である。



 なので、旅団は適当なところで解散しようと思っていた。

 これ以上続ける事は出来ないと。

 適切な誰かに引き継いで欲しいと思っていた。



「どうだ、やってみない?」

 そう声をかけたのはタケヒトだった。

「上手くやれると思うけど」

「バカ言うな」

 即座に拒否された。



「俺にあんな大所帯を引っ張れるか」

 ヨシユキの旅団は巨大過ぎる。

 数百人の探索者を抱える旅団なんて聞いた事がない。

 しかも、周辺に多くの商売人がいる。

 それらもある意味抱えてるようなものだ。

 そんな巨大組織の面倒など見れるものではない。



「私だって無理です」

 サクラ達も同じように返す。

「ヨシユキさんがいるから頑張れるんですから」

「そうか?」

「そうですよ」

 疑問を抱くヨシユキだが、それはすぐに打ち消される。

 サクラ達からすれば、ヨシユキという旗頭があるから団結してるのだ。

 それがいなくなるなら、旅団を続ける意味がない。



 一緒にいれば、確かに楽だろう。

 それは分かるのだが。

 それでも、数百人もの人間をまとめる自信はなかった。

 出来るのは、せいぜい数人程度。

 それも気の合う仲間であれば、という事になる。

 それが普通の人間の限界だ。



「どうするかはお前が決めろ。

 お前の旅団なんだし」

「そうです、ヨシユキさんが決めてください」

 タケヒトとサクラにはそう言われてしまう。

 古巣の者達と、ツバキやアヤメたちにもだ。



 誰がなんと言おうと、ヨシユキの旅団である。

 その行く末はヨシユキが決めるべき。

 それが周りの意見であった。

 ごもっとも過ぎるほど当たり前の事だ。

 決めないヨシユキに非がある。

「けどなあ……」

 とはいえ、あまりにも責任重大。

 簡単に決める事も出来なかった。



 何より、ヨシユキもどうしたいのかが分からない。

 とりあえず稼ぎは必要なのは確かだが。

 それをどうやって稼ぐのか。

 まだ決めかねていた。

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