103 終わりが見えてきたからこそ
先が見えてきた。
だからこそ先を考える。
そんな状態に誰もがなっていた。
ヨシユキだけではない。
関係する者達全てが考え始めている。
迷宮攻略がなる。
そうなれば、嫌でも今後どうするかを考えねばならないのだから。
ある者は次の迷宮を探し始める。
もうこれ以上稼げないならば、早めに次の狩り場を見つけねばならない。
ある者は探索者を引退しようと考える。
稼ぎをためてるなら、もっと安全な食いぶちにありつける。
ある者はもらっていた誘いに乗ろうかと考える。
レベルを上げ、能力を高めているなら、様々な所から誘いが来る。
それに応じて生活の安泰をはかろうかと。
何にしても、迷宮攻略がなされてからの事だ。
まだ先の話である。
しかし、そうなる可能性が出てきたのだ。
先行きがどうなるか、どうすれば良いかを考えねばならない。
その中で注目されてるのが、ヨシユキだった。
現在最大規模の旅団の指導者である。
彼がどうするかで旅団の今後が決まる。
旅団に関わる者達もだ。
なので、ヨシユキがどうするかを誰もが知りたがった。
もし、今後も探索者を続けるならば。
その後についていこうと考える者は多い。
所属する探索者も、関係してる旅団も、迷宮都市の商売人達も。
最大規模の旅団である。
産み出す利益は大きい。
それにあやかろうとする者は多くなる。
もし引退するというなら、それこそ今後について考えねばならない。
最大規模の旅団が消えるのだ。
関係する探索者達は新たな活動を始めねばならない。
近くに居る商売人達も次の儲けを考えねばならない。
あらゆる者達が身の振り方を決めていかねばならなくなる。
それを決めるのはヨシユキだ。
続けるというならこれまで通り。
次にどの迷宮に行くのかは気になるが。
これまで通りについていけば良い。
ただ、どうするのかを発表してくれないとどうしようもない。
やるのか、やめるのか。
何を考えてるのかを誰もが知りたがった。
早く決めてくれと。
さっさと発表してくれと。
それはヨシユキも分かっていた。
分かっていたからどうしようか悩んでいた。
「どうすればいいかな?」
思わず身近な者達に愚痴ってしまう。
古巣のタケヒト達や、比較的近くにいるサクラ達に。
問われた者達も、
「そうは言われてもな」
「私たちが口出し出来る事じゃありませんよ」
と言うしかない。
「そりゃそうだけどさ」
それでも聞かずにはおれなかった。
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