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101 広がり狭まっていく道

「順調だな」

 出来上がったばかりの地図を手にしながらヨシユキは呟く。

 測量士が作り上げた地図は、今まで歩いてきた道のりがしっかりと記録されている。

 それは帰り道をしっかりと記していた。



 レベルの高い測量士は、測量用の器具を使う事もなくなっている。

 目で見て、実際に歩いていくだけで、どんな道になってるのかを把握していく。

 それをそのまま図面に書き記す事すら出来る。

 おかげでヨシユキ達は歩き回るだけで完璧な地図を手に入れることが出来た。



 その地図のおかげで、推奨レベル80の区域の形もはっきりしてくる。

 自分たちが歩いてきた道のりを確かめながら、ヨシユキは次の探索を考えていく。



 さすがに推奨レベル80ともなると、怪物も強烈だ。

 通常の動植物や虫を凶悪化させたようなものから始まり。

 天使や竜といった空想上の怪物までもがあらわれる。



 強さも常識を越えるものばかり。

 通路を覆うほどの炎や、空気すら凍り付かせる冷気を放ち。

 猛毒の霧や、体を腐らす病をもたらし。

 心を破壊し意識を奪う事までやってくる。

 そんな化け物相手に、ヨシユキ達は戦っていた。



 ヨシユキ達も並の人間ではない。

 人知を超えた怪物に対抗できるだけの強さをもっている。

 炎も冷気も寄せ付けず。

 毒や病を撥ねのけ。

 誰をも寄せ付けない心の強さがある



 更に、強力な武具も身につけている。

 既に四段相当の武器を持って迷宮を駆け巡ってる。

 さすがに全員に行き渡ってるわけではない。

 だが、足りない分は三段の武具が補っている。

 それを身につけてるだけでもすさまじいものだ。

 旅団以外の探索者にはまだほとんど出回ってないのだから。



 圧倒的な破壊力をもとに迷宮を突破していく。

 レベルも上げ、より奥深くへと向かっていく。



「そろそろ見えてくるな」

 地図を見ながらヨシユキは感じ取っていく。

 この迷宮の最深部に近づいている事を。

 地図にその兆候があらわれている。



 迷宮は基本的に扇状に広がっている。

 そう考えられている。

 だが、ある地点からそれが逆転していく。

 奥地に向かって窄まっていくのだ。

 漏斗のように。



 当然、区域も狭くなっていく。

 横幅はどんどんと細くなっていく。

 その限界にヨシユキ達は到達していた。

 奥に向かってゆるやかに窄まっているのを確かめる。



 まだまだ横幅はあるが、それでも推奨レベル50あたりよりはせまくなっている。

 距離だけで言えば、程なく迷宮中枢にたどり着くはずだった。

 途中で怪物が邪魔をしなければ。



 ただ、怪物もより強くなるだろう。

 このままいけば、迷宮中枢近くはレベル100ほどの怪物が出て来る。

 実際にそれだけの強さのものが出て来るのか。

 あるいはもっと強いものが出て来るのか。

 それは分からない。

 分からないが、楽観は出来なかった。



 誰もが終わりを意識していた。

 上手くいけば、この迷宮を攻略する。

 探索が終わる。



 だから、誰もが意識し始めた。

 この迷宮の攻略が終わったらどうするのか?

 そこから先の人生は?

 身の振り方について、色々と考え始めていった。

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