2.誤解は解けた
「あっあの殿下。私ちっとも困っていません。むしろ有難いくらいで、淑女として至らない私に指導して下さって本当に有り難く思っております」
(本当だよー。信じてくれよ)
「む。そうなのか」
王太子殿下は、セラヴィーン様に視線を合わせ頷く姿を確認して納得したようだった。
「だがセラヴィーン、あまり厳しすぎないようにな。シェラフィード嬢の面白いところが無くなってはつまらぬからな」
そう言い残し王太子殿下は去っていった。
(取り敢えずホッだよ)
「シェラフィードさん、ありがとうございます。殿下の誤解を解いて下さって」
「い、いえ。そんな、本当の事を言っただけですので」
ペコリとご挨拶をしてからその場から離れ、とぼとぼ歩いて噴水の近くのベンチへ腰掛ける。
(ふぇー、ビックリした。取り敢えず誤解が解けて良かった。)
しかしセラヴィーン様、素敵すぎる。こんなヘッポコな私にまで、お礼を言って下さるなんて。そもそも私の所為で殿下に誤解されたのに怒りもされないなんて。
ボンヤリとそんな事を考えていたら、ふいに影がかかり見上げると婚約者のフレッドが見下ろしてきた。
「お前、鈍臭い」
(えぇー。開口一番がソレ)
「もっと、セラヴィーン様に注意された事きちんと気を付けないと。また、同じ様な事があるぞ」
「えぇー。そうなの?嫌だなぁ」
「ほら話し方。淑女は、えぇーなんて言わないだろ」
「まぁ、そうですの?困りましたわ」
(これでどうだー)
「ドヤ顔やめろ」
「・・・・・・・」
「そろそろ戻るぞ」
「はぁ」
ため息をついて立ち上がり、フレッドと次の授業を受けるべく戻っていった。