プロローグ
西野光、32歳童貞の会社勤めである。この作品はこの男の日常を描いた物語である。
「はぁ…今日も疲れたなぁ…もう嫌だ…」日々の上司からのパワハラ行為で光はウンザリしていた。いつもの時間にいつもの道を通り、いつものアパートに帰る。こんな暮らしを何十年も続けているのだから無理もない。「こんな時間に帰っても家に着いてからやる事が無いんだよな」それもそうである。時刻は既に24時を過ぎていた。風呂に入り、コンビニで適当に買った弁当を温め、それを食べたらすぐに床に着いた。「俺はいつまでこんな暮らしをしてるんだ?こんな暮らしは幼いの頃の俺に見せられないぞ」布団の中で呟いた。
朝である。アラームの音がやけにうるさく感じる。スマホの通知を確認すると、なんと上司から電話がかかってきていた。急いでかけなおすと、昨日まで当たり強かった上司が「今まですまなかったな。申し訳ない事をした。」と下手に出て申してきた。驚いた光は「どうしたんですか?別に気にしてませんよ。」と返した、すると上司が「いやな、実を言うとお前の転勤が決まったんだ。行き先はアメリカ。行けるか?」と言ってきた。先刻の5倍は驚いた光が「えぇ!?そんな急に言われても困りますよ!まだ準備すらしてないん─」「大丈夫だ。こちらが全て準備してある。」と光が言い切る前に上司が返した。