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死神狩りの悩み事

作者: アールアイオー

私は死神狩り。

今世界で一番需要のある職業なのです。

尊敬しましたか?

それに、死神をぶっ倒さなきゃいけないからめっちゃ強いんです!!

最近は毎日依頼が舞い込んできててんてこ舞いの日々を送っています。

なぜならこの世の死は全て死神の仕業だとわかったから。

みんな死にたくないよね。

だからみんな死神を倒してくれる死神狩りに頼るんだ。

まあ、それのおかげで今業界はすっごく潤ってるんだけど。

私の懐には今約1億ほどあるぐらいだからね。

死神=お金みたいな感じだよ。


とぅるるるっるる♪とぅるるるっるる♪

あ、依頼が来た。

「ヒガシ町の5丁目に死神だ!

助けてくれ、い、一億だ、さっさとこい!」

ふむふむ…

一億ね…かなりの富豪みたい。

ヒガシ町18注意区域に死神か。

はい、今から参りまーす。

ぷつっ


あーあ、この手の客って最近オーボーなんだよねえ。

ま、1億のためにちょっくら行ってきますか!

私はトンッと電柱のケーブルを蹴る。ふわりと体が宙に浮き、夜の街に陰を落とす。

軽快なリズムを口ずさみながら、目測100キロ秒ぐらいの速さで進んでいく。


んー、普段ならもうちょっと出るんだけど。

最近肩こりが酷いからな。

あ、そろそろ目的地だ。

食われてなかったらいけど。


すとん、と富豪の家の玄関先に降り立つ。

富豪と死神の姿が見える。

んー、一足遅かったか、、、

寸でのところで食われちゃったみたーい。

とりあえずっと、この死神は狩っておかなくちゃ。

私が鎌を振るうと、すっと死神の胴と頭は泣き別れした。

あは、今日の相棒は絶好調みたいだ。

そして私は返り血のほとんど付いていないマントを翻し、相棒を肩に担ぎ直す。

私みたいな売れっ子になると、服も特注できたりするんだよね。

だから私のマントは超撥水機能をつけてもらった。

まあ、誰でも自分から血に汚れたいとは思わないだろうし。

ぱんッとマントをはたくともう血痕一つ残っていない。


あ、あそこに死神発見!

まあ、私も死神狩りだしちゃちゃっと片付けておくかな。

ざざっと別の人影を見る。

残念、先客がいたみたい。

そして即座に死神の首が飛ぶ。

よかった。狩り損ねたらどうしようと思った。

んん?遠くから何かが近づいてる。

死神だ、と思う前に死神狩りの上半身は無くなっていた。

そこに駆けつけた死神狩りがザクッと犯人の死神を狩った。

その死神狩りは私の友人だった。

私は嫌な予感がしたから、大急ぎで向かったんだ。

そこからは想像のとおりだった。

ここからは、あとたった2、300メートルほどの距離がやけに遠く感じた。

そこではまだ狩って狩られが繰り返されている。

死神狩りが死神を狩り、その死神狩りを死神狩り狩りが狩って。

そしてその死神狩り狩りを死神狩り狩り狩りが狩る。

食物連鎖みたいだ。頂点に立つのは一体何?

私は命の重さを忘れていた。


私の後ろにも何かがいるのを感じる。

今日は遠くに散る血の赤がなぜかやたらと鮮明で、記憶に残る。

まるで私のものみたいにはっきりと。


体が、熱い。


ああ、私は一体何者なのだろう?


声は出ず、すでに私の問いに答えられるものはいなかった。


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