Mamemaki War 5
「ビ―――――――!緑チーム一名、青チーム一名脱落です!」
ブナの木が密集する2月の冷たい風によって葉が落ちきってしまった林のなか、2人の脱落者を告げる声が響いた。
ハイブーツに黒の軍服といったカラビニエリ風のいでたちの4人が木の陰に隠れつつ、再びの攻撃に備え周囲を警戒していた。
「チーフ・・ごめんなさい」
脱落となった雪組の一人ががっくりと肩を落とした。
「大丈夫!向こうのチームの主力を削れたのは大きいわ。あとは私たちに任せときなさい」
部下が離れていくのを見届けると雪組のトレードマークの付いた帽子を被りなおし、そのややツリ目気味な視線を少し先に見える屋敷へと向けた。どうやらこれ以上の攻撃はなさそうだと判断した。
「あと50mも行けば屋敷内に入れますね。他のチームももう着いているのでしょうか」
同じ木の陰に隠れたロゴがひそひそと瑠璃に話しかけた。
「棗のとこはもう近くまで来てるかもね。青雪くんのとこはさっきのでもう遠距離では攻められない。急いで降りてくるかも・・。それにしても・・」
瑠璃はさきほど青チームの一人を打ち取った仕掛けにちらっと視線を移した。
「さっきのブービートラップ・・ほんとにあんなのに引っかかるのね。漫画でしか見たことないですよ。よくあんな短時間でできましたね」
すでに降ろされた後だが、さきほどまで青チームのグスタフが足に縄がかかった状態で木に宙づりになっており、あえなく打ち取られる形となってしまった。
「昔の仕事で覚えたものでして。きちんと作動して安心でした」
ロゴは軽く頭に手を置きやや照れたように笑った。
「相変わらずヴィアレット家の方々はすごい方ばかりですのね」
瑠璃はやや呆れたような顔で笑った。
「チーフ・・あれを」
雪組の一人が屋敷に向かって左側を指さした。
見れば、4人一組のチームが周囲を警戒しながらじりじりと屋敷の方へ向かって進行していく。
瑠璃はそれを見ると、にやりと口の端を持ち上げ不敵に笑った。
「ロゴさん、この子たちを頼みますね」
瑠璃はそれだけを告げると、一人赤チームに向かって歩き出した。
「なつめーーーーー!!!!!」
ロゴが止める間もなく、瑠璃は赤チームの棗に向かって叫んだ。
当然、棗の赤チームは一斉に瑠璃の方へ銃を向けた。
「瑠璃」
棗は瑠璃だと気づくと、他の3人に周囲を警戒するよう促した。
「大丈夫よ。他の子たちには手出しさせないわ。分かるでしょ棗」
瑠璃は手にした銃口を棗に向け返した。お互いすでに引き金には指がかかっており、いつでも撃ちあうことのできる状態だった。
「相変わらず好戦的な子ね。いっそハンターにでもなったら?」
「それはやりつくしたからいいわ」
棗ははぁと一つため息をつくと、そばにいる玄武を一瞥した。
「玄武さん、この子たちのことお願いします」
玄武はやや狼狽えたが、2人の雰囲気を見てすぐに止めらないと判断すると、チームの2人を率いて屋敷のなかへと向かっていく。
「うちの子たちも入ってくれたかしらね」
瑠璃は後ろの林を少し見つめた。
「お互い良い方がチームにいたわね」
棗がそう言うと、瑠璃は軽く頷き改めて銃を向けなおした。
「「さぁ、私たちの決着。ここで着けましょう」」




