Mamemaki War 4
「赤チーム一人命中。他は身を隠しましたが、次弾はいきますか?」
タブレットを手にした少女が耳にはめた無線に報告をいれていた。
「了解。すぐにその場から移動して次にいってくれ。くれぐれも気を付けることだ」
「了解」
少女は短くそう返答をすると、そばで寝そべったままライフルのスコープを覗き込んでいるグスタフの肩を軽くたたいた。
「ん。移動だね、了解だ」
グスタフは素早く姿勢を変え、大型のライフルを分解するとすぐにその場から移動を始めた。
南西の方角には緩やかで長く続く丘があった。両隣には鬱蒼とした森林が続き、遮蔽物となるような岩などはない。簡単に狙い撃ちにされかねないこの丘を青雪はあえて選んだ。
「とりあえず、作戦通りに足止めすることができたな」
青雪はそう呟くと、手に持ったタブレットに映る赤チームに一つ✖を付けた。他にも緑・黄チームの名前もある。
スタート地点となる小さなテントのなかには青雪・巴・速臣の3名がいまだ動かずに息を潜ませていた。
「こんな小さな弾を当てるなんて、すごい技術だね」
速臣が手にした豆粒を弄びながら呟いた。
「圧縮ガスと羽の付いた特殊弾頭を使う巴謹製ライフルだよ~。説明すると長くなるけどね~」
巴が間延びするような喋り方で答えた。
「もやしくんのドローンに巴特製のライフル。そして何よりこの地形。力のない僕たちにはまぁこれが最適格なやり方かな」
青チームの陣取るこの丘は他の場所よりもやや高くなっており、いわば高所からの攻撃が可能となっている。さらにもやしの持つドローンによって他のチームの動きは手に取るように把握することができる。一見チート級に有利に見えるが、欠点もある。
「二人はともかく、僕たちは戦闘経験が全くない。他のチームとまともにやりあっても僕は勝てる自信が全くないよ」
もちろん、この3人も動かずにこのまま静観するつもりはない。とにかく、まずは急いで攻めるよりも他チームの力を削ぐことで少しでも勝率をあげることに集中していた。
「それにしても、巴くんはともかく青雪。君までこれに参加するとはね。なんだか意外だよ」
速臣が意外そうにするのも無理はない。事実、青雪の存在を知らないメイドや執事たちはたくさんいるし、こういった行事に彼が参加することはついぞ無かった。
「ん?そうだね。まぁグスタフに誘われたというのもあるけど、そうだな・・」
青雪はしばらく考えたあと、自分でも不思議そうに答えた。
「なんというか僕もみんなと楽しく遊びたかったのさ」
そのなんともシンプルで率直な応えに2人はぷっと吹き出してしまった。
「ふふ・・確かにそうですわね」
「楽しくか・・・その通りだね」
しばらく、テントのなかはなんとも弛緩した空気で満たされたが、次の瞬間、一気にその潮目が変わった。
「ビ―――――――!緑チーム一名、青チーム一名脱落です!」




