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Mamemaki War 3

 もともとの節分の歴史をひも解いていけば、日本の部族の争いというのが根底にあるらしい。源平合戦で平家が地方に落ち延びたように、敗れた側の部族をある方角へと追いやっていくための儀式。それが豆まきの起源だそうだ。とはいっても、現代においてはそんな意味合いはほとんど有名無実なものとなっていて、バレンタインや七草がゆのような非日常を楽しむイベントの一つとなっているだろう。

「花組改め赤チーム整列!!これより点呼を行う!!」

「「「は!」」」

 この日のために特注で用意された迷彩服に袖を通した女性3人が、同じく迷彩服を着た棗の指揮の元に軍隊さながらに見事な整列を行っている。

「必ずやお嬢様のチョコは我が花組が手に入れる!行くぞ!!」

「「「「おーーー!!!」」」

 このような殺伐とした空気もある意味、非日常の一つなのだろうか。


「玄武さん!それでは参りましょう!まずは館の傍まで近づきますよ」

「は、はい」

 私はその迫力に少し気負されつつも、彼女たちについて特殊部隊さながらのフォーメーションを組みつつ進んでいく。

 執事長の挨拶ののち、各チームは四角形になった庭の四隅へと散らばっていき、用意された装備を身につけるなどの準備を行うこととなった。私が所属する赤チームは北東の位置をあてがわれていた。鬼を内に秘めている自分にはなんとも皮肉が利いていると思った。

 もちろん中央にはお屋敷があるため、各チームともここを目指して進んでいく。当然位置的に北東側から南西側は見えないし、南東側から北西側は見えない。つまり必然、玄武たち赤チームは最初に戦うとすれば北西の黄チームか、南東の緑チームとなってくる。

「玄武さん、緑チームには瑠璃がいます。あの子は当然一番に私をつぶしにかかってくるでしょうから、警戒しておきましょう」 

 

――――――パシッ!

 まるでどんぐりが落ちたような軽い音がした。

「ビ―――――――!赤チーム選手1名脱落です」

 突然、けたたましい警告音とともに庭のあちこちに設けられたランプが赤色に灯された。選手の脱落は赤青黄緑の4つのランプで示され、赤色が灯ったということは赤チームの一名が豆をぶつけられたことを示していた。

「各人散開!12時の方向!遮蔽物に身を隠せ!」

 棗は突然の出来事に一瞬身を固くしたが、すぐに次弾に備えて身を隠すように指示を出した。

 豆をぶつけられたメイドは武器を持って退場していく。

「まさか正面から撃たれるとは・・すでに他のチームが回り込んで?」

 棗は岩陰に身を潜ませながら、双眼鏡であたりを確認していく。だが、他のチームの影形は一切見つけることはできなかった。

 玄武も同じように周囲をくまなく観察していたがそれらしい影は見当たらない。玄武はさきほどかすかに捉えることのできた弾の軌跡を思い出していた。

「ひょっとすると、迫撃砲かもしれません」

 弾の軌道はやや上方から発射された軌道に近かった。そして、屋敷を挟んで向かいには大型銃器の使用が認められた青チームがいる。となると、おそらく遠距離での攻撃を可能にする何かを使用した可能性があった。

「なるほど。しかしいくら何でもこんな小さな弾を遠くの的に正確に当てるなんて不可能じゃ?」

「いえ、青チームには青雪とグスタフがいます。青雪にかかれば弾道の計算など容易いことです。あまり表立った活躍はしていませんが、グスタフは元スナイパーの腕を持っています。不可能とは言い切れません」

 相手がどこにいるかも分からず、すでに4人になってしまった赤チームは圧倒的に不利な立場にある。ひとまず彼らは大きな岩に身を隠しながら、周囲を警戒していた。

少し離れた木にとまった一羽の鳩が彼らをじっと見つめていた。

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