Mamemaki War 1
2月3日。
世の中ではいわゆる節分と呼ばれ、家のなかにある邪気を豆をまくことで追い払う神的行事の日だ。毎年この日になると学校や職場、神社・仏閣で豆をまく姿もよく見られる。
ヴィアレットの屋敷でもそういった行事は行われ、ママの神社でも今頃豆まきが行われ大盛況なはずだ。当然、私の家でも行われてはいる。
「それでは各チーム選手宣誓!」
まぁうちではちょっと違う感じになってるんだけど。
開会宣言を行ったにゃん太郎の言葉に従い、各チームの代表が小走りににゃん太郎の元へとやってくる。一列に各代表者がにゃん太郎の立つ台に並ぶと、一斉に高々と手をあげた。
「「「宣誓!!!!」」」
各々のよく通った声が会場中に響き渡る。
「「「我々ヴィアレット家執事及びメイド一同はお嬢様の名に誓い、正々堂々勝負をすることをここに宣言いたします!!!」」」
―――――わああああああああ!!!
体操服を着た屋敷の全執事とメイドたちが一斉に掛け声をあげ、まるで本格的なスポーツの祭典のようになっている。
「それでは改めて簡単にルールを説明いたします。各チームは部署ごとから代表者5名を選出し、フラッグ戦を行います。舞台となるのはここヴィアレット家別館でございます。各自豆のこめられた専用の銃を使い、フラッグを目指し争っていただきます」
「なおフラッグをお持ちになるのはお嬢様がおつとめになられます」
――――うおおおおおおおお!!!!!!
おとなしくにゃん太郎の説明を聴いていた会場がまるで音楽フェスのように盛り上がっていく。
「もちろん、お嬢様のお持ちになるフラッグを無理やり奪うなどは認められません。その場で失格とさせて頂きます」
みなうんうんと頷き、さも当然であるといわんばかりに周りの同僚たちと確認しあっている。
「お嬢様の前できちんと挨拶をし、手渡して頂けてはじめてそのチームの勝利でございます」
「そして、肝心な景品でございますが・・」
みなその言葉の続きに一斉にごくりと唾を飲んだ。
「きたる14日のバレンタインデーにお嬢様より手作りチョコレートが贈られます」
―――――――わああああああああああああああああ!!!!!!!!!
総勢70名弱の人数でどうやったらここまでの歓声があげられるのか。会場は完全にヒートアップしていた。部署に所属する全員に贈られるため、参加せずに観戦する者も歓声をあげている。
「それでは正々堂々と勝負をしてくださいませ。では最後にお嬢様から一言頂き次第、開始とさせて頂きます」
それまで呆然とした面持ちで見ていた私はにゃん太郎にマイクを持たされ、みなが注目する台まですごすごと出ていった。
「えーと・・みんな今日は豆まきね。なんだか大変なことになっちゃたけど、けがはしないように」
正直、ここまであれよあれよと事が進んでしまったために未だに状況が把握しきれない私はとりあえず無難に試合をするように伝えるとさっさと台から降りて自分の席へと戻っていく。
「お嬢様。ありがとうございました。それではお部屋の方でどうぞ寛いでくださいませ」
にゃん太郎はマイクを受け取ると、各チームスタート位置につくように促していく。さっきまでのフェスのような一体感から突然、お互いを威嚇しあうような剣呑な雰囲気が漂ってくる。
「お嬢様、参りましょう」
私は私で、もきゅやカオルをはじめとするメイドたちに促され自室へと戻っていく。
なぜこんなことになってしまったかは、私の不用意な発言からだった。




