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温泉旅行4

気の置けない友だちとの旅行はいつもと違う非日常感を共有できて、まるで10代の学生が親の目を逃れて冒険をするようなちょっと悪いことをしているような楽しさがある。その時間、その空間だけが私たちの世界の全てであり、さながらブロックで小さな家を作るのに似ている。

さて、温泉に浸かって身体を温めた私たちが次に楽しみにしていたのが旬な食材をふんだんに使った美味しい料理だった。特に凛風はお風呂で寛いでいる間もずっとその話ばかりしており、よほど楽しみにしているようだった。もちろん、私と紗綾も夕方の時間が近づくにつれぐ〜っとお腹を鳴らしてしまった。

本来はレストランまで移動するのだが、私たちは別に設えられた部屋に用意してもらっていた。20畳はある部屋には四角形のテーブルと椅子が3脚備え付けてあり、私たちが入ると同時に控えていた給仕たちがテキパキと準備を初めてくれる。

「お。お姉さんありがとやで〜」

「ありがとうございます」

凛風と紗綾がそれぞれテーブルに着くと私もテーブルに着き、料理のメニューの書かれた用紙に目を通していく。

「あら、凛風。ステーキがあるわよ」

「ホンマ!?やったー!めっちゃお腹空いたー!」

  やはり元が犬だからか凛風はとても嬉しそうだ。今は耳もしっぽも隠しているが、見えていたらぶんぶんとふっていただろうと思う。見れば前菜からデザートまで揃ったコース料理で野菜からお肉まで盛りだくさんで、食べ切れるか心配になるほどだった。

「食べ始めたらペロッと食べちゃいますよ」

紗綾もいつものクールな表情は崩さないが、メニューを見て少しそわそわと待ち遠しそうだ。

「お嬢様方。お飲み物はいかがなさいますか」

 私たちを案内してくれた仲居さんが飲み物のメニュー表を差し出してくれた。私たちはそれぞれに飲み物を頼むと、しばらくお風呂のことや景色のことなどの話に花を咲かせた。

「それにしても沙綾と話すのは久しぶりね。何か月ぶりかしら」

 実のところ、沙綾とこうしてテーブルを共にして話すのは半年ぶりだった。何度かメールで連絡は取り合うもののなかなか会って話そうというタイミングを掴めず今日やっと再会できたという感じだ。

「そうですね。ずっと会いたいとは思っていたんですけど、なかなか忙しい時期で」

 沙綾は申し訳なさそうに俯いてしまった。

「いいのよ。こればかりは仕方ないわ。まぁでも今日はやっと三人で旅行にこれたんだし、存分に楽しみましょ!」

 そういうと部屋の扉が開けられ、白い皿が乗せられたキャリーを押した仲居が入ってきた。 ちょうどよいタイミングで飲み物と前菜の皿が出された私たちはおのおのグラスを持ち上げる。

「それでは再会を祝して」

「「「かんぱーい!!」」」

 出された料理はどれも地元で採れた新鮮な野菜や魚介などが使われ、美しい見た目と美味に私たちは舌鼓をうった。

「うまー!!!」

 凛風はまるでロボット掃除機のように出された料理を平らげてしまう。口元にもソースがついていてまるで幼児のようだ。

「ほら凛風。口元にソースが・・」

 沙綾は手元のナプキンで凛風の口元を拭いてやる。二人の見た目もあいまってまるで親子のようでほほえましい。

 私たちの食事は2時間近くも続いた。

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