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征服

リスナー参加型の小説のため脈絡なく登場するキャラがいますのでご了承ください

ヴィアレットの家は複数のグループによって構成されている。

傘下に複数の家があり、それぞれが独立した企業などの形態となっている。

すでに海外に拠点を移している家もあれば、本家と近い場所に居を構える家もあって千差万別だ。


私の家を管理するのにも多額の費用がかかる。

私自身人形の身体を持ち、不可思議な住人が住むこの世界でも先立つものはどうしても必要となってくる。

それをどうやって捻出しているかというと、一番は資産の運用となるわけだ。例えば所有しているビルから入るテナント料や金融資産の運用など手堅い方法もあるし、できたばかりの新興企業に出資するハイリスクな方法もとっている。

もちろん、私自身には非常にレベルが高いのでそのほとんどは専門の管理者たちが行っているが、時には私自身が会うことが重要になる案件もある。

今日会いに行く人たちは、そんな私が会わなければならない新興企業の一つだ。


高層ビルの中腹当たりに拠点を構える企業にやってきた。

「うむ!ゆなお嬢!!今日も見目麗しいことだ!」

詰襟のようにぴったりとした服を着た青年が、非常によく通る声で出迎えてくれる。


「お久しぶりね、会いに来られなくて申し訳なかったわ」

「いやいや何を!本来なら私が会いに行かなばならないところをご足労頂き感謝する」

妙に芝居がかった話し方をするが不快な気持ちにはならない。むしろ端正な顔立ちと相まって、まるで舞台にでも上がったような気持ちだ。

彼に促されるまま、奥に位置する客室へと通される。

机とソファーが目立つシンプルな内装だが、隅々まで掃除されていてとても好ましく感じた。


「世界征服は順調なのかしら?」

「ハハハ!そうですね!まずまずといったところでしょうか」

世界征服とは、彼がよく口にするスローガンというか野心の表れだ。

とはいっても、別に怪しげな活動をするわけではない。

彼自身はIT専門のセキュリティ事業という実に手堅い会社を経営している。企業自体はそこまで大きくはないが、信用第一で誠実な彼の経営手段はいずれ業界でも大きな信頼を得ていくことだろう。

そして何より、彼の世界を見ている広い視野と大きな野望はとてもわくわくとするものだった。


「いずれは世界はこの私の手におちますよ!」

かんらかんらとまるで少年のように屈託なく笑う彼につられ、私もくすくすと笑いがこぼれた。この一見荒唐無稽に見えた夢に私たちは惹きこまれてしまったのだ。

とはいえ、締めるところは締めなくてはならない。

「世界もいいけど、きちんと出資に見合う成果は出してね」

「そうですね、それではこれが今回の配当分と決算報告書です」

彼は先ほどまでのおおらかな雰囲気から引き締めた顔になると、てきぱきと資料の説明をしてくれる。

これもまた彼の魅力の一つだ。短期的な成果と長期的な視野もきちんと兼ね備えてこそ出資するに足る存在なのだ。


「ありがとう。相変わらずの手際ね」

「恐れ入ります」


「あなたなら本当に世界を征服してしまうかもね」

「ええ!必ず成し遂げて見せますよ!」

彼は再び屈託のない笑みを浮かべた。

窓から下を覗いてみる。

多くの人、多くの車が行きかう・・。

意外にも世界とは手の届くところにあるのかもしれない。


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