なぜかモウクンレンがはじまっちゃった?!
2019.01.13 12:00くらい 一部表現をなおしました
休憩→ひと休み
鉄砲玉→てっぽう玉
くんれんばしょは、木立のなかのちいさな広場。
しゅうごう時間は、あさごはんのあとすぐに(あめのひはおやすみ)。
もちろんちこくは、げんきんです。
まずは“ししょー”へのごあいさつ(『おっす!』というのだそうです)からはじまって、じゅんびうんどうのストレッチ。
じめんにりょうてりょうあしをふんばって、んーっよいしょっとのびをします。
そうしたら、ひろばを十周ランニング。
さいしょの日には、はりきりすぎて全力ダッシュしちゃって、一周半でぱたっとねちゃったミューですが……
三日もするころには、ペースはいぶんを考えて、とちゅうでねないで走れるようになりました。
* * *
“ししょー”はとってもきびしいです。
「いっちに、いっちに! ほらほらおそーい!
もっとはやく、もっとかろやかに!」
そうしてぴょんぴょん、ぱたぱた、ミューの目のまえを飛んでいくのです。
ときにはぐるっと一周してきて、ミューのおしりをぽにっ、とけったりもします
(ぷにぷにのにくきゅうと、ぽわぽわの毛のせいで、ちっともいたくないのですが……)
でも、“ししょー”はとってもきれいです。
ぴょんぴょん、ばさばさ。
ちいさいあんよが地をければ、まっしろなつばさがはためいて、“ししょー”はかれいに宙をまいます。
もちろん、おしりでぴこぴこうごくポンポンしっぽも、たまらないかわいさです。
なんとか、あのしっぽにおいつきたい! ミューはがんばってはしります。
それでも、“ししょー”にはおいつけません。
それは、はしるのと飛ぶのでは、ぜんぜんはやさがちがいますものね。
そんなのむちゃだよ! ほかのねこたちはあきれますが、ミューはめげません。
だって、“ししょー”はすっごくやさしいんです。
走ってのどがかわいたミューに、林のなかの、ちいさな小川をおしえてくれました。
そこでふたりでのむ水は、それはもう、さいこうのおいしさです!
ちょっとずつ、したですくってお口にふくめば、つかれもふっとぶ気がします。
ミューがころんでけがをしたときは、エレンさんのところからもらってきた『げんき草』をつけて、あっというまになおしてくれます。
そうして、おせっきょうをしながらも、ぺろぺろとけづくろいをしてくれるのです。
じつは“ししょー”のけづくろいは、あんまりうまくありません。
でも、だいすきな“ししょー”がそうしてくれることがうれしくて、ミューはおとなしく、ぺろぺろされるのです。
* * *
そんなかんじで……
お昼までは“ししょー”とくんれん。
おいしいお水をのんでひと休みしたら、おうちでごはんとおひるね。
ごごからは、せんぱいこねこたちとあそびます。
そんなまいにちをくりかえすうち、ミューはどんどんおおきくなっていきました。
こねこたちのなかで一番のチビだったミューは、あっというまにはちわれハッジをぬいて、みけねこティティより大きくなり、ついにはくろねこリーシャとおんなじくらいにつよく、大きくなりました。
もちろん、おとなのねこには、まだまだかないませんが、それでもなかなかの“いけめん”ぶりです。
いつしか、町のねこたちはミューのことを『ちいさいなりで根性のある、りっぱなこねこだ』というようになりました。
* * *
でも、そんなミューをしんぱいするひとたちもいました。
ごしゅじんさまのマリーちゃんと、マリーちゃんのおとうさんおかあさんです。
むりもありません。まいにち朝ごはんがおわると、てっぽう玉のように飛びだしては、やけにつかれて帰ってくるのですから。
ときには“ししょー”のけづくろいではとりきれなかった、つちぼこりなどでよごれていたりもします。
ふしぎと、ケガはないのですが、それでもマリーちゃんはしんぱいでたまりません。
「ねえ、ミュー。いったいどうしたの?」
「ミャー!」
ミューにきいてみますが、マリーちゃんにはねこ語はわかりません。
こまったマリーちゃんは、ミューのあとをつけてみることにしたのです。