44 いざ・・・・・・へ! Ⅱ
「それにしても、ラナさんはSクラスだったんですね」
「あれ?言ってなかったっけ?」
僕たちは今、スクールでの魔法授業が行われるある場所へと向かっている。
「ふふーん、こう見えても私はとても優秀なのだ〜」
すると僕にSクラスであることを指摘され、自身の優秀さを胸を張って自慢するラナ・・・しかし──
「異議あり!」
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「イテッ・・・!」
そのリスペクトタイムは唐突に、それも一瞬で終了してしまった。
「あまり調子に乗らないの。いっつも試験のたびに泣きついてきて、毎年実力テストのある頃に、私を巻き込んで缶詰をするのはどこの、どなたでしたっけ?」
鉄槌を下したカリナ姉さんはその痛いところを次々と突いていき、同時にラナを追い詰めていく。
「あはは〜、参った参った・・・」
どうやらラナがSクラスに居られる理由は一夜漬け・・・
「ま・・・この子の場合学問じゃなくて、剣術や体術みたいな実践向けの成績が良いからね・・・腑に落ちないけど」
・・・とそれだけではなかったらしい。
「カリナが・・・デレた?」
「誰がデレたっていうのよ!私がデレるのはリアムだけ!」
そんなカリナ姉さんのボヤきをデレととるラナはポジティブだ・・・それともこれで、本当にカリナ姉さんがデレたのだろうか?
『・・・うーん、わからん』
実際、家とスクールでのカリナ姉さんには多少のギャップがありそうで、その度合いがどれほどなのか僕には推し量ることができていない。
「ナハハ〜、ま・・・という事で、私はいつもお姉さんにはお世話になってるってわけ!」
と、そんな事実を告げながらも明るく振る舞うラナ。
カリナ姉さんも「なんでそう自慢げなのよ・・・全く・・・」と小言を漏らしている。
「それでも、ちゃんとSクラスになれるような成績を認められているわけだし、ラナさんは凄いよ!」
しかし僕は、そこでラナへのフォローを入れる。事実、これはお世辞でもなんでもなく、素直に凄いと思った・・・・・・ま、きっと褒めてはいけない部類の才能ではあると思うけど。
「あれ?そう?いや〜リアムって本当にいい子。やっぱり私の弟に・・・」
「コラッ!ラナ!」
「・・・はいはい、わかってますよ〜」
やっぱりそれは、褒めてはいけない部類の才能であったらしい。
「全く・・・。リアム、この子をそう簡単に褒めちゃダメよ?直ぐに調子にのるんだから・・・・・・それに・・・」
カリナ姉さんはその言葉を途中で区切り、視線を僕らの正面の方へと移す。
「二人とも、おしゃべりしてる間についたわよ」
そうして視線を移した先には、一つの大きな建造物がそびえ立っていた。
『いよいよか・・・』
この世界に来てついに、僕がその場所へと入る時がきた。
「ほら、少し遅れ気味だから急ぎましょ!」
その中で行われる魔法の授業に、遅れないようにと少し急ぐカリナ姉さん。
「確かに・・・遅刻して罰をもらうのだけは嫌〜」
ラナも「反省文と雑用手伝いだけはもう勘弁・・・」と、その後に続く。
「リアムも!・・・あなたは入るのが初めてだから、色々説明があるだろうし、急ぎましょ!」
それからカリナ姉さんは、そんな二人とは違って建物の前で立ち止まっていた僕に声をかける。
「うん!今いく!」
僕はその呼びかけに焦りながらも心踊り・・・・・・そして、人生初の挑戦となる ”ダンジョン” へと、駆けていく。




