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アナザーワールド 〜My growth start beating again in the world of second life〜  作者: Blackliszt
第3部 〜ダンジョン ”テール” 攻略〜

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173 世界の国々・宗教

「つまり、機密というのが」

「そうだ。神竜教と邪神教ファウストの暗躍についてだ」


 ブラームスが頷く。これからが、話の本題だ。


 この国には、強いては周辺諸国、大きな1枚の大陸ユシアを股にかけ、4大宗教なるものが存在する。


 まずは精霊教。これは、アウストラリアからはるか北東にあるという妖精国が発祥の宗教で、精霊と妖精族の共生がルーツと言われる教えだ。今日では、精霊と人間が契約することが一般的となり、精霊契約を儀式化した洗礼を行う教会も精霊教のものである。

 

 次に、竜神教。これは、大陸の西の端から中央辺りまでをほぼまっすぐ東に通り、そこから北の方角へ更に伸びる大山脈のどこかにあるという竜の里。そこで竜と共に生き、また彼らを崇拝する竜人族たちが信仰する宗教。


 それから次に出てくるのが、この大陸一の信者の数を持つ、西の神聖ユーロ帝国が本場の正光教。ユーロは正光教の最高司祭、いわゆる法王が治める国で、主神を正光教聖書に出てくる善神ヴェリタスとし、邪神とされるイドラを敵とする。だが正光教の特徴はこれだけに収まらず、何と言っても自由。主神を疑わず、邪な神でなければどんな神を別に信じることも自由で、この宗教は実はノーフォークではアストルが司祭として管理する教会、精霊契約の洗礼の儀式を行えるこの教会では正光教と精霊教2つの宗教が協力し運営する、いわば共同教会として成り立っている。


 最後に、魔神教。魔神とは、正光教の聖書に出てくる邪神イドラがモデルになっているとも言われているが、近年では大山脈の北、大陸一の広さを誇る魔国の王、魔王を崇めるものである。


 そしてこの世界には、他にも様々な国が存在する。

 はるか西の端、神聖帝国との間に大山脈を挟んで魔国とも接する軍事国家トロイ。

 アウストラリアの東の大山脈から流れる大河を挟んで広がるジャングル、更に東の砂漠の一部までも領土とする獣国ガルム。

 大山脈から西の神聖ユーロ帝国とアウストラリアの境界線上に存在し、永世中立を宣言する小さな花の国ロマンス。ちなみに、アウストラリアは大陸中央の大山脈部分に接する南の場所にある。

 その他にも、ガルムに含まれない北のジャングルのどこかに存在する魔女の森や、砂漠のオアシス国シルク。更に東にある華国を超え、アオイの母親の故郷である果ての島国、倭国ケイオウなど。広さ、前世の国の数に対し数は少ない方であるが、やはり多種多様な国が存在しているのだ。



 だが──


「邪神教・・・ファウストというのはとにかく、神竜教は竜神教とは違うんですか?」

「竜神教は、竜と生活を共にする竜人族たちの間で主に信仰されているもの。己の中に流れる竜の血に感謝を捧げ、守り神を崇める。そして彼らによって祀られる守り神は、竜そのもの。そこにどんな竜などといった区別、差別はないが──」

「神竜教は違う。神竜教は竜神教から派生した一部竜人族が根幹で、100年前、勇者たちの活躍によって終幕を迎えた聖戦唯一にして最大の敵・・・竜王。つまり邪竜を神として崇めるいわば邪教に分類される信仰団体だ」


 聞けば、現在は教えを起こした一部竜人族以外にも、種族問わずかの竜に憧れるもの、畏怖するものなど、時が経ち聖戦がおとぎ話とされていくにつれ、信仰者は、特に若者を中心に近年増えてきているらしい。 


「なにか・・・まずいんですか?」

「ああ、それが結構まずいんだよ。最近神竜教に属するこいつらの間で過激な思想が広がりつつある。厄介なのが、所属している信仰者に特に力を持て余している若者が多く、また聖戦のような夢物語を描き、勇者、竜王双方の力に対し憧れて教典の教えを履き違える。昔、竜人族だけで構成されていた頃はそのようなことはなかったんだが・・・自分たちがそんな物語の主人公になりたいと願うものも少なくない・・・ということだ」

「国が得た情報によれば、最終的な彼らの目的は聖戦の再現。異教、そして邪教化した彼らは各地で危険思想を根付かせることから始め、やがては自らがかつての竜王と成るか、勇者となることを目指しているらしい」


 滅びをもたらす邪神の使いとなるか、はたまた人類の希望となるか。


「そして・・・ここで、だ。目的は違う・・・はずなんだけど、聖戦の再現という点で神竜教と一致し、暗躍する宗教系の団体がもう一つ。その彼らの名が──」


 パトリックが、言葉を詰まり詰まりながら話す。


「邪神教 ──ファウスト」


 そして──


「正光教の聖書にはこうある。『原初の始まり、2柱の神は無の始まりともに誕生した。1柱は善の神ヴェリタス。この世のあらゆる幸福は彼の神によって生み出される。そしてもう1柱は邪の神イドラ。この世のあらゆる不は彼の神が作り出す邪悪な神の気がもたらす不幸。2対の神は延々の刻を無の中で過ごし、やがて感情が芽生えると宇宙ソラを作り、其処に星々をちりばめてこのアースに根付き精霊達と楽園を作った・・・』」

「その後は宇宙を創造した時に神が最初に作った精霊や、その始まりから其処にいた竜、そしてアースの創造によって神が作り出した妖精族や人の誕生。それからは魔族や獣の印を持つ者、つまりは獣人たちの登場が物語形式で記されているんだけど・・・」

「その物語の中の一節、世界樹の芽吹きと妖精国建国由来を記す節が、ファウストの目的と大きく関わっていると言われている」


 ブラームスが、ファウストとその聖書の物語の一つとの関係を示唆する。言われている・・・ということ、それに先ほどのパトリックの曖昧な受け答えが、まだ彼らもファウストのその詳しい実態をつかめていないことを如実に表している。


「『神々はたしかに其処に楽園を作った。だが、神々の意思をもってしても解決できない問題が一つ。それはイドラの邪の神気。彼の神の神気は全てのものを歪ませ、楽園を壊してしまう。其処で、イドラは眠りにつく。この世界を壊すまいとするヴェリタスの手によって、彼の神は神樹へと姿を変えられ、永き眠りについた。やがてそれは世界樹と呼ばれるようになり、自らの生みの片親であるイドラが眠る精霊達の楽園を妖精達は聖域として守るために国を作る』」

「数十〜数百年の時を経て、世界樹に姿を変え抑えたはずのイドラの邪気は大地に少しずつ流れ、やがて一つの脅威となって世界に出現する。その脅威は様々な歴史の節目に登場し、主に英雄の宿敵として描かれる・・・その最たる脅威が100年前の聖戦で勇者達が戦った竜王。100年前に竜王とイドラの邪気の脅威をユーロの法王が説いた演説の一節には、


『イドラの溢れる邪気がついに偉大なる竜の王までを侵食した。偉大な彼の王までもを侵したイドラの邪気は強大である。だが我々は屈してはいけない。祈るのだ。彼の偉大なる王を打ち破る力を、幸せを・・・冥福を』


という文言がある。その真相ははっきりとはわからないが・・・」


 まさか、聖戦を引き起こした竜王は世界始まりの神の1柱によって引き起こされたとでもいうのか。


「つまり我々の言いたいことは、それが真実であろうとなかろうと、世界樹から流れ出した邪気は歴史的な災厄を引き起こすと考えている宗教があり──」

「ファウストも、その一つだと?」

「そういうことだ」


 ファウストはイドラの災厄を信じる宗教団体の一つ。しかし──


「でもそれが本当だとして、どうして竜王は聖域を荒らしに行ったのか・・・えーっとたしか・・・」


 リアムには、邪気に侵されていたのかもしれない竜王が聖域に向かった理由がわからなかった。噂には神をも殺すと言われる竜達の、その王が正気を失って暴れていたのだとしたら、邪気に自らの解放を目論んでのせていたとして、果たしてそんな竜王を制御できていたのか・・・と。


「リアムったら勉強不足ね!なら私が代わりに教えてあげるわ!」


 すると、それに答えたのはミリアだ──


「ズバリ! 竜王は世界樹をかじりにいってたのよ!」


 ・・・った。


「ミリア・・・それはないんじゃないかな?」

「えー・・・でも物語の絵本の中とかだと、世界樹をかじる竜王がいるわよ?」

「たしかに・・・まあ諸説あるんだよ。世界樹をかじる竜王をベルはヴェリタスにお願いされて討伐しにいったとか、邪神の力を求めて、あるいは復活させるために聖域に侵入しようとしていた竜王を迎え撃つために妖精国の女王から申請を受けて戦ったとか」

「何れにしても、その戦いに参加した者は一様に真相を語ろうとはしなかった。死んでいったものも、今でも生き続ける者も・・・」


 なんにしても、その真相は戦った者達によって闇に葬られている。竜王は倒されたが死んだのか、死体は? そして勝利し失踪したベルの安否も。


「それで・・・どうして、()()ボクが危険に巻き込まれる可能性があると?」


 リアムが話を戻す。隣で頬を膨らませるミリアはとりあえず無視して、契約の有無を話し合うときにパトリックが発した言葉を思い出しながら。


「それは・・・」


 すると、パトリックも真剣な表情に戻り──


「いいかいリアムくん。君の力はなんというか・・・強すぎるんだよ」


 リアムのその、強すぎる力についての危うさを、説いていく。


「1年前。君はエリアCのボス戦に挑んだ際に、魔法を使うことができなかったんだってね」

「・・・・・・」


 パトリックの質問に、リアムはしばらくの沈黙を持って答える。イデアによれば、現在魔力を上手く制御できないのはこの事件ともう一つの事件が重なり合ってしまった偶然による不幸だということだ・・・が。


「そのことなら父さん達に聞きました。裏でボクに毒を盛った輩がいる・・・」


 リアムは重い口を開き、ウィル達にその件の顛末を聞いたことを話す。しかし──


「やはり察しがいい。その不埒者こそが、ファウストの一員。階級は組織の末端、下っ端同然の輩だったはずなんだけど、奴は限りなく危険な情報を得て姿をくらました」


 途端に、再び、今度は口を開けたまま一点を見つめるようにして動かなくなったリアムを見て、パトリックが真実を付け加える。


「それは、君と仮面との戦いだよ。彼らは知ってしまった。君の強さ、異常さ、そしてイデアちゃんの存在も」


 さらに、危険な情報。


「映像では、仮面と君がはっきりと戦っているとわかるそれは映っていなかった。しかし君が仮面に襲われ、『テストする』などと言われ途切れるところまで、そして、その後復活した映像で仮面と異常な攻防を繰り広げていた誰かがいたことから、あの対戦者は君だった・・ということが推測できる」

「更にあの後のイデアの登場だ。その後の情報規制から、一般人の論争は噂程度までに沈静化できたが・・・ふぅ、あの時はかなり苦労したな」


 ブラームスが当時の忙しさを思い出してため息を吐く。会場にいた者達への速やかな演説による応急処置、ギルドへの緊急の知らせの発行、より沈静化するために嘘の情報を持った工作員の派遣など・・・。


「・・・とにかく、だ。そんな危険な思想を持った団体が、物語に出てくるような人間離れした力を持つ、さらにそれがまだ齢にして8の子供だとすればどうするか・・・もちろん放っとくでもなく、是非にその力を無理矢理にでも手中に収めたいとは思わんか?」


 そして彼の言うことは一理も二理もある。すでにバケモノ、更に将来性においてズバ抜けた才能を持つものがまだ齢8の子供ともなれば、調教し、洗脳し、自分たちの手先とすることは容易いと考えるのが定石であろう。・・・で、あれば──


「ひとつだけ・・・」


 リアムが呟く。そして──


「ボクは・・・邪魔者なんでしょうか」

「・・・・・・」


 ブラームスがピクリと眉を動かす。・・・しかし固く閉じられた口は動かない。そこで──


「はっきり言ってください! ボクのせいで今、周りの人・・・ひいてはいらぬ争いにこの街の人を巻き込んでしまう可能性があるかもしれない・・・と」


 リアムは自分がどれだけこの街の重荷となっているのか、それを理解した上で再び叫び、項垂れる。これまで実はなんとか好奇心と折り合いをつけて、上手くやってきたつもりだった。しかしそれもたった一度のつまずき、あまりにも悪い捻り方をしてしまったせいでこれである。


「自惚れるな! ガキが!」


 しかし──


「人とは常に厄介ごとと紙一重の場所に身を置いているもの。一度、少し躓いてしまっただけで、人生というものは予想もつかぬ方向に転んでしまうものだ」


 次の瞬間、強く目の前の机の面を叩くと、ブラームスは一喝ののち、静かにリアムに語りかける。


「それに、貴様の言い分であれば、我々国民を守る貴族、領民を守る領主の立場はどうなる! 我々は、ただのうのうと税を貪るためにいるのではない。そんな民達の厄介ごとを少しでも減らし、安心して暮らせる街を作ることが務めなのだ」


 そして──


「それに、お前には奴らの捜査のために結構役に立ってもらっているのだぞ? さっきはついカッとなって怒鳴ってましまったがな・・・お前なんかよりよっぽど汚い我々は、今回もこちらの勝手な都合で貴様を囮にしようとしている」


 貴族、領主の責務の意義を語ったブラームスから飛び出したのは、意外な言葉だった。


「父上の言う通り。今回ボクらはこの2つの脅威に立ち向かうにあたり、既に君を利用して1つ手を打った」


 そしてそれはブラームスに続いたパトリックの口からも同様に。


「利用・・・という言い様から既に君の見当は絞られているはずだ。・・・そう、それはイデアちゃんとリアムくんが同一人物であるということの発表だよ」


 意外な言葉とともに正解を明かすパトリック。しかしこれには──


「・・・どうして。今日、学長先生に全校生徒の前で暴露されてボクはひどく混乱しました」


 リアムはそれこそこちらも彼らからしたら意外。正解を聞いて何故と興味を持つどころか、さらにリアムは落ち込んでしまう。


「混乱?・・・どうしてそんなことに?」


 すると、リアムの言葉の最後の方の混乱という単語に引っかかりを覚えたマリアが尋ねる。


「あの・・・私たちも前以て聞かされてはいましたが、あれは酷いものだったと・・・」

「ああ。ボクの感想も左に同じだ。棒立ちするリアムがあれではまるで見世物だったからな」


 そして、それに答えたのは同じくリアムたちの話を横から聞いていたエリシアとアルフレッドであった。


「ルキウスにその方法までを任せてしまったというのは・・・」

「間違いでした。・・・すみません。これはボクのミスです」


 エリシアとアルフレッドから、今日の朝、一体何が起こったのかを聞いて自分のミスを後悔するパトリック。どうやら暴露の計画を任され、ルキウスに指令を送る担当は彼であったようだ。


「あれはスクールという子供達が情報源になる環境だったからこそ最適だった。子供の話は良くも悪くも、噂に昇華しやすい。信憑性、無邪気、純粋・・・そういった部分で、話を聞いた大人たちの間でも緩やかに真実が噂として広まっていけば・・・と」


 どうやら彼も彼なりに様々と考えた上での指令を出したつもりであったらしいのだが、爪が甘かった。


「リアムくん。この件については、ボクから謝罪させてくれ・・・そして礼も」


 パトリックは頭を下げる。リアムへの、謝罪と感謝をもって。


「君のおかげで、結果はその・・・一先ず置いておいて、より次の一手が打ちやすくなった」

「うむ。敵がリアム=イデアだと情報が確定しているのかどうか双方ともにわからずにコソコソ腹の探り合いをするより、確定した情報を敵が持った上で計画を立て動く方がこちらも殴りやすいのだ。ルキウスには私の方からもなんらかの罰を与えておこう」


 パトリックからの礼と、事情を聞いたブラームスからの償い。既に悪ふざけをしたルキウスにはかなりキツイお仕置きを残してきたのだが、ここはあえて黙っておくこととしよう。


「それにもう一つ、君には礼を言っておかねばならないことがある」


 すると──


「ほら。いつの日かガスパー殿が君に文句を言うために城に来たことがあったろう? あの時は君のおかげでウィスパー・・・もといファウストが関わっている疑いのあった商会に対し、上手く監査を取り付けることができた。ありがとう」


 ファウストとの関わりが疑われるウォーカー商会に対し、なんとかして調査を入れる口実を手に入れたかった・・・と、あの時ガスパーとの対談にリアムを巻き込んだ真実を話し、加えて礼を言うパトリック。


『なるほど・・・だからあの時ガスパーはあんなにイライラと・・・』


 ・・・おかげで、か。


「なるほど・・・」


 それからリアムは、一言そう呟くと──


──ニコッ。・・・と、天井を見上げて軽い笑みを浮かべた後に視線を戻す。


「・・・えっと・・・ということでリアムくん! 今話した通り、不審な輩には十分気をつけて、何か些細な事や問題が起きたら手間だがなるべく報告をしてくれ」


 リアムの行動を見たパトリックが焦る。ということは、今もなんらかのカモフラージュ魔法を使って上にいるのだろう。


『精神状態、異常なし』


 すると、リアムの心の懸念を察したイデアがこっそりと裏で呟く。


「リアム?」


 そして──


「・・・帰ります。一段楽早々にごめんなさい」


 リアムは突然に席を立つと、彼の名を呼んだミリア、そしてこの場にいる全員に向けて帰る旨を伝える。


「あ、それじゃあ私も途中まで一緒に・・・」


 すると、彼の隣に座っていたエリシアも立って一緒に帰ろうとするのだが──


「エリシア。久しぶりに再会できたんだし、ボクとしてもそのお誘いは嬉しいんだけど・・・」


 早々に、リアムに手で動きを止められて──


「今は一人で歩きたい気分なんだ。ゴメン」


 再び、豪華な刺繍の施された柔らかなソファに小さな腰を下ろす。


『『リアム ”さん”(こいつ)って・・・こんなに苦しそうに笑っ・・・』』

「それじゃあみなさん。良い1日を」


 そして次の瞬間には、テーブルの横に立って一礼してクルリと踵を返し──


「そうだリアムくん! 最近新たに入手した連中の情報の中に一つ、彼らの間で使われている独特の言葉があるようなのだが・・・」 


 パトリックからの最後の忠告。


「イドラの申し子。おそらくこれは──」

「わかりました。ボクを見てそんな言葉を使う人物がいれば、気をつけます」


 そしてそれを聞き届けると──


──パタン。と、応接室の扉が音を立てて閉まる。また、その扉が閉まる瞬間最後に見えていたのは、紺色のフサフサとした尻尾であった。

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