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血ぃすーたろかー9回目

 それからゲイリーが冷や汗ダラダラでトーキンに事情を説明し、それから俺達は学園長室に通される。俺は部屋に入ると学園長の椅子らしい滅茶苦茶ふかふかしてそうなプレジデントチェアーっぽい感じの椅子に腰掛けて黒檀製の執務机に足を乗せる。俺の後ろにはノンナとストーカーが立ち、隣にはヘルシングという構成だ。

 目指せ、旦那。


「こう言う古臭く時代遅れなのも風情があって良い物だな、ヘルシングよ」

「そうですわね、ツェペシュ様」


 因みに俺達の前に学園長達が横並びに立っている。今の会話もちゃんとゲイリーが翻訳して学園長に伝えているようだ。

 それから学園長の方を見る。サングラスを少し下げて、真っ赤な相貌でトーキンを視姦。パイオツカイデーのおねーちゃんですわ。エルフってあの村に居た時から思ったけど美人ばっかだよな。

 因みに、魔力=ナノマシンなので体内のナノマシン保有値を計測するソフトも拡張現実に入れてそいつの“魔力値”を概算する事も可能だ。

 で、今までの統計を取るとナノマシンを大量に保有している人程美男美女が多い。エルフの村とかそうだった。因みに、数値ではなく色でやると俺達は紫色になる。7色判定にしているのだ。エルフ達の平均は黄色か緑で、ハイエルフと言ったトーキンは水色である。

 で、ハイエルフってなんぞ?って話だがエルフよりも魔力適性が高い種族らしく、千年程の寿命があり大陸の北と日本にしか居ないそうだ。

 傷の治癒も早いとかで老衰以外で死ぬ確率が非常に小さいのだとか。因みに、この国を治める皇族はハイエルフだとか。


「それでゲイリー」

「は、はい!」

「我々は其処に居る土人と何を話せば良い?」

「は、はい、えっとですね……少々お待ちください!」


 ゲイリーはそう言うとトーキンにご所望の吸血鬼を連れてまいりましたので私は後は貴女がお好きに質問して下さい、翻訳はしますからと丸投げしていた。

 丸投げされたトーキンは巫山戯るなと何やら小声かつ涙目で何やら言い争いをし始める。ヘルシングがそれを止めようとしたので面白いから見てようぜと止めて俺は机の上に有る書類やら何やらに視線を落とした。

 英語と日本語が混じったような文字で書かれており、ほぼ独自言語と見て良いだろう。ペンは羽ペンだ。俺、羽ペン使ったこと無いんだよ。どうやって使うんだ?試しに脇においてあるインク壺にペン先を突っ込み、適当な紙の裏でカリカリやってみる。


「ほー、これは糞のように使い辛いな」

「羽ペンって奴ね!」


 ノンナも書かせろというので紙と羽ペンを渡してやったら羽ペンのペン先を圧力で掛け過ぎでへし折りやがった。


「お前、羽ペン下手だな。

 どんだけ筆圧濃く書く気だったんだよ」

「違うわよ!羽ペンが脆いのよ!不良品よ!」


 ノンナが脇にポイ捨てした。

 それから部屋を見舞わたすと滅茶苦茶ボロボロに成ったナノマシン制御装置が置かれているではないか。試しに操作してみると、性能は変わらなかったようでスッと飛んで来る。他に何か面白そうなものは無いか?と探ると無数にナノマシンを内蔵する人形が陳列してあるのでそれを呼び寄せてちょっとした手遊びみたいな物をしてみる。

 人形と球体ボールでサッカーモドキだ。


「凄いですね!」


 ストーカーが興味を持ったようなので人形の一体を渡してやる。すると、ストーカーは俺の人形からボールを奪おうとして小さなサッカーが始まった。そこにノンナが別の人形を使って飛び入り、サッカーからフーリガンの乱闘になる。


「ふむ、これはこれで中々面白いな。

 劇が出来るぞ」

「凄いですね!これ欲しいです!」


 ストーカー君は随分と興味津々だったようだ。


「土人、これを貰うぞ」


 壁一面に飾ってある人形達を全て立たせて此方に歩かせる。ストーカーはそれらを全て受け取りワーイと組み体操やら何やらを始めた。ノンナがそれに加わりサボテンだの何だのを教えだす。


「す、凄い……

 木偶を此処まで自在に操れる者が存在していたとは……」


 トーキンが感動している所、悪いが。脳波で動くロボット玩具よりも簡単に動いたんですがそれは……

 まぁ、良いか。


「そ、その術はどの様に扱っているのだ!?」


 トーキンが興奮したように俺に話し掛けて来た。直ぐにゲイリーが翻訳する。まぁ、正直翻訳機通さなくても大方何言ってるのかわかるけどね。


「貴様は、自分が息をする時、一々考えて息するのか?」


 難しい質問は誤魔化そう!

 俺の回答にゲイリーが答えるとトーキンがウッと言葉に詰まる。


「で、では、お前達は本当に吸血鬼なのか?」


 再びゲイリーを介在して会話。


「我々は我々を人間だと自負している。

 我々から言われせれば、貴様等土人こそ吸血鬼だの何だのという空想上の生物に過ぎん。たった3千年程度で、文明はここまで衰退してしまうとは嘆かわしい」


 椅子の肘当てに頬杖をついてこれ見よがしにため息を吐いてみせる。すると扉がバンと開き何やら狼男や人間が入って来た。


「トーキン学長!

 例の化け物は貴女の発明品か!!」


 連中が入って来た瞬間、ノンナが武器を構え、ヘルシングが拳銃を抜いた。

 俺も懐に手を入れて、静観。


「む?

 其処に座っているのは誰だ?見たところ人間に見えるが……」

「騒がしいぞ、土人」


 俺が告げるとゲイリーとトーキンが大慌てで入って来た男達に何かを告げる。すると狼男が大笑いし、腰の剣を抜いた。次の瞬間だった。ノンナが恐るべき速さで狼男の顔面に飛び蹴りを叩き込んだ。剣を完全に抜く前で、狼男は鞘と柄を握ったまま気絶する。あれって顎が外れてるんじゃね?

 脇に居た人間の男がヒィ!と声を上げてその場に尻餅をつく。

 ノンナは狼男の下げていた剣を掻っ払うと、そのまま腰に下げてドヤ顔で俺の後ろに立った。


「君、ナニしてるのかね?」

「奪った!」


 見りゃ分かるよ。何でお前はそんなドヤ顔なんだって聞いてるんだよ!ハンマーで我慢しろよ!恐ろしすぎるわ!


「その土人共は何だ?」


 ゲイリーを見るとこの国の将軍と大臣ですと告げる。トーキンは気絶した将軍に慌ててナノマシン操作を施し外れた顎を嵌め、将軍に怪我はないかを尋ねた。

 俺の後ろに立つノンナは腰の剣を抜き放ってランプにかざして居る。両刃の剣で所謂ロングソードとか言う奴だ。


「個人的には日本刀が欲しかったがしょうが無いな!」

「何がしょうが無いだ、俺の後ろで剣を振るな」

「おう!」


 ノンナはご満悦で剣を収め、ストーカーもやはりご満悦で人形を整列させていた。俺はヘルシングを見るとヘルシングも肩を竦めてどうしようもないと言わんばかりだった。


「それで?」


 自体が動いたのはそれから10分程してからだった。将軍は顎を綺麗に蹴られて気絶していたのでそれが醒めるのを待っていたのだ。因みに外れた顎は既に腫れも引いており普通に喋れるっぽい。

 ノンナ曰く非常に手加減をしたそうで本気で蹴ったら顔が空を飛んでいたそうだ。アンパンマンよろしく。コエーよ。


「きゅ、吸血鬼殿、先程は無礼を……」



 気絶から復帰した狼男は俺の前に傅いて頭を垂れる。


「構わん。土人は無礼だというのは常識の内だ。

 それを許すのが先進人の務めであろう。我々は心が広い。一度目は許す。しかし、二度目はないぞ」


 俺が静かに告げると、将軍はアリガタキシアワセーと頭を更に下げた。うむ。


「取り敢えず、どう致しますかツェペシュ様?」

「どう、とは?」

「これからの行動です」


 ヘルシングが話を進めるために敢えて声を大きく俺に尋ねて来た。ゲイリーは勿論それを翻訳して彼等に伝えている。俺は暫く考えてからフムと頷く。


「取り敢えず、通信基地の位置を割り出してから其処で衛星と通信をしよう」


 俺の言葉にヘルシングは御意にと頷く。これはもう事前に仕組まれてる出来レースですわ。で、ヘルシングがゲイリーに通信基地の印である巨大なアンテナ、まぁ、これに関しては絵で描いて説明しないと分からないのでPDAの写真を見せて尋ねた。

 ゲイリーもトーキンも写真を見て驚愕していた。こっちの世界、写真はあるそうだが、白黒で画質も荒いそうで、しかも高い。何というか、幕末の写真として見るような写真だ。

 デジカメ見せたら大変なことになりそう。

 で、結果から言えば、軍事基地だった場所は多大な犠牲を払って今の皇帝が300年ほど前に制圧してしまい、今では殆どの施設は使えないそうだ。


「……つまり、俺達は対馬や沖縄、北海道に行くしか無い、と?」

「そうなりますわね」

「マジで?それ、マジで言ってる?

 どう考えても敵兵絶対殺すマンで構築された島々行く気?」

「そうですわ。

 と、言うかその島にしかちゃんとした通信網が無いでしょう」


 因みに、対馬にはレーダー基地があるのか?と尋ねると通信基地を置けるだけに広さはないから行くんだったら北海道の方がよくね?とノンナが意見をいう。

 俺は正直、手短な国内で済ませよう派なのだが。首都部でこうなのだから国内のレーダー基地は絶望的じゃない?と言う無情な一言をストーカ君は告げる。うん、俺もそう思う。


「試される大地かぁ~……」

「まさか、本当に試されるとは思いませんでしたわ」

「本当にそれ。

 しょうがねぇ、もうちょっと装備とか戦闘経験積んで、北海道に行くべ。ナノマシン操作は完璧に覚えたい」


 あと、武器とかの増強も図りたいね。出来ればロボット兵士が欲しい。


「土人共、貴様等が持っている全ての軍事能力を教えろ。

 我々は北海道に行かねばならん」


 ゲイリーが北海道=エッゾだと教えてゴニョゴニョと何やら説明する。すると学園長は勿論、将軍や大臣が驚愕する。

 そら、そうだわな。今までどのぐらいの調査団を送ったか知らんが須く帰ってこなかったんだから。


「エッゾに向かうのであれば我軍も協力を惜しみませんぞ!」

「大学も学術調査の何人かを同行させたい!」

「陛下に意見具申を申し上げて食料やその他予算等を準備いたします!」


 皆乗り気だな!


「ならば、さっさと掛かれ。

 ノンナとストーカーは将軍に必要な武器兵器等を教えろ、ヘルシングは大臣と共に皇帝とやらに話を付けてこい。トーキンは具体的な調査内容を教えろ」


 俺の指示に全員がハイと返事をしてから行動に掛かった。因みに、翻訳機こと端末は一個だけだがヘルシングが使えそうな端末を全て持って来たので1人に1個この翻訳ソフト内蔵端末を保有している。

 別にこれを使わんでもこっちが向こうの言葉喋れば早いが吸血鬼のフリをし続けなければいけないのでこの七面倒臭い事をしているのだ。


「えっと、ツェペシュ様。

 私は何を?」


 トーキンは俺をオズオズと見ながら告げる。上から目線で、偉そうに……DIO様と旦那風にすれば良いか?


「貴様は鳥頭よりも酷い脳みそを持っているようだな、土人。

 鳥ですら三歩歩くまでは記憶を持っているそうだが、貴様は一歩も歩かん内に私の言葉を忘れ去ったのか?」

「い、いえ!そ、まさかそんな!

 学術調査の内容をお伝えするのですよね!?」


 トーキンが冷や汗ダラダラで答える。隣に立つゲイリーにも確認を取っている。因みに、メメとモラシーはそれぞれヘルシングとノンナ・ストーカー組に付いて行かせた。


「ならばさっさとやれ。

 私は寛大であるが、優しくはないぞ」


 脇に置いてあったクッキーみたいなのを摘み上げてから手で握り潰してみせた。傍から見れば何やってんの君?って感じだが、状況が更なる恐怖を与え、トーキンは今すぐにと学術調査の為の人員を呼んでくる去って行った。

 部屋の中には俺とゲイリーの二人だけ。


「どうよ、おっさん!

 俺、イケてた?」

「え、ええ、勿論です!最高でした!

 これで私や他の同僚達のクビも免れました」


 フヒィ~と情けない息を漏らしハンカチで汗を拭き拭き。俺は手で砕いたクッキーを一口口に入れてみる。普通のクッキーだった。形はくまやウサギと言った物ばかりである。部屋をよく見れば中々ファンシーな物がチラホラと置かれている。


「あのムチムチボインって何?滅茶苦茶ナイスバディーじゃん。

 凄い系の人?」

「え、ええ。学園長は木偶操術と呼ばれる所謂魔術人形の操術師でして、魔導甲冑と呼ばれる纏って戦うタイプの鎧を開発したお陰でこの島国は大陸からの侵攻を防げています」


 あちらに、とゲイリーが窓の外を指差すとノンナと将軍が何やら2、3メートル位ある甲冑郡の前に立ってなにやら会話をしていた。

 外見はまんま西洋甲冑だ。個人的に西洋甲冑よりも当世具足の方が好きです。


「あれってどう使うの?」

「中に入って魔術制御に寄って動かすのです。通常の身体能力強化よりもより少ない魔力で身体強化の数倍以上の力を出せるので、我が国の騎士団はあれを扱えるものが基本と成っており……あ」

「あ」


 ノンナが甲冑の一つにパンチを食らわせて5メートルぐらい滑空させた後25メートル位凄まじい勢いで転がしていた。

 周囲の甲冑や将軍が大慌てで飛んでいった魔導甲冑に駆け寄って行く。ノンナの横にはストーカーが呆れた様子で頭を振っていた。うん、ノンナは軍事分野の知識があっても馬鹿だからな。


「ほ、本来はあんな簡単には吹っ飛ばないんですよ?」

「ああ、わかってる。

 あれは、ノンナが異常なんだ」


 で、そんな事を話していると扉がバンと開いて学園長に数人の人間がやって来る。

 吸血鬼モードにならないとな!


「騒がしいぞ、土人。

 それとも、貴様ら土人は部屋にはいる際は扉を勢い良く開けるという風習でもあるのか?」


 ゲイリーが翻訳。


「も、申し訳ありません、ツェペシュ様。

 此方が調査に関しての説明をする――

「貴様等の下らん話を長々と聞く気はない。

 私は悠久の時を持っているが、その時を浪費する事は好かない。貴様が、短く、簡潔に、私に説明しろ」


 窓際から離れ、ゆっくりと歩く。俺の後ろをゲイリーが付いてくる。学園長の後ろには爺と婆が揃って立っており、俺をチラチラと見ている。俺は気にしない。牧場の牛や馬に見られた所で誰が気にする?という風で。

 ゆっくり、ゆっくり、部屋の調度品等を手に取ったりしながら歩いて行く。


「どうした?さっさと説明しろ」

「は、はい!

 で、では、私が代表して……」


 それから学園長が冷や汗ダラダラの新入社員が行き成り一大プロジェクトを任され、更にはその説明を社長の前で行うってレベルで緊張しながら説明していく。

 俺はその話を聞きながら部屋においてある剣だの銃だのを手に取って、構えたり抜いたりして居る。うん、偉そうで上から目線だ。

すぐ更新するの忘れる

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