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血ぃすーたろかー27回目

 さて、演習から数日掛けて俺とストーカーでスラミネーター100体を確保した。ノンナ?ああ、あのバカはスライムを破裂させやがるから適当なダンジョンに放り込んでおいた。

 ヘルシングは完全にスラミネーターにナノマシン操作を覚えさせる努力をしているが如何せん拡張現実だけでは美味いこと行かないらしく完全に行き詰まってるらしい。

 因みに、スラミネーターは正式にスラミネーターと名付けた。俺が。ゴリ推した。ツェペシュ様の言う通り!


「規定の員数があるか数えろ」

「はい!」


 ジョーキンやチョーキンも立ち会いでラーキンにスラミネーターを引き渡す。5体1列の20列に並ばせているので多分、数は問題ない。

 暫くすると数を数えていたトーキンが合ってますと告げる。


「助力に感謝する、ツェペシュ殿」

「構わん。

 下等人種とは言え我らを愉しませる程度には学がある」


 俺はコーヒーが注がれたカップを片手に居並ぶ騎士団を見る。

 今は朝の9時だ。


「精々、私を愉しませろ。

 私は私を愉しませる者には殊更寛大だ、ラーキン」

「あ、ああ!それは勿論!

 ツェペシュ殿の期待にかなう様努力するぞ!」


 俺は居並ぶ騎士団の前を歩いて行く。ラーキンの近衛隊は女を中心に編成されており、鎧も金ピカだ。儀仗用なのかしらね?

 全員、一切の動きもなく、目すら合わさない。時折パチリパチリと瞬きする程度で彼女達はまさにプロだった。


「フム」


 手短に居る近衛騎士が下げている剣を引き抜いて見る。ナノマシンの保有量は俺達が作った物に比べて6割ほど減っている。


「この剣はこの世界ではどの程度の剣になるのだ?」


 試しに刀身に炎を纏ってみせるが、余り大きくならないので寄り多くのナノマシンを必要とする。

 これならノンナに持たせても大剣にはならないだろう。因みに、ノンナは昨日からダンジョンに潜ったまま帰ってこないので多分、迷子に成っている。


「それは一級品に入るレベルの剣だな!

 我が近衛騎士団には全員この剣を装備させているのだ」


 ラーキンがどうだ!と言う顔で俺を見るので、俺はその剣を脇に突き刺してストーカーに死蔵されている剣を持って来るよう告げた。ストーカーはハイと返事をして兵員室に走り、両手に5振り程抱えて戻って来た。

 俺は適当な一本を抜いて、剣の持ち主に持ってみろ告げる。近衛騎士はラーキンをチラリと見るとラーキンは頷いた。近衛騎士はその剣を恭しく受け取って構えてみせる。


「これは……」

「こんなナマクラと違って随分と軽いであろう?

 魔力を通してみろ」


 近衛騎士は魔力を流すとブワッと炎が刀身から膨れ上がった。


「こ、こんな剣がこの世に実在したとは!?」

「序に貴様等下等人種共にこれをくれてやる。

 余りに粗末な武器を使われては折角のスラミネーターが台無しだ」


 実を言うと在庫一斉処分セールです。ノンナの馬鹿野郎が何をトチ狂ったのか俺が我様ごっこを見せた翌日に500本近く剣を作りやがったのだ。

 流石の俺も呆れて物が言えませんわ。まぁ、スラミネーターの武器として2振りづつ与え、まだまだ余ってるからこうして配っているのだ。一本辺りの単価は訳2万円。こっちの世界で2万円で買える剣と言えばクソみたいな雑魚い剣位で、初心者、つまり錫プレイヤーが使う様な雑魚い剣なのである。

 しかし、同時にこういう言葉がある「お前が持っている銃は、最も安い入札で決まった銃だ」って奴だな。兵士が幾ら最高だと言っても全体で見ればそれは1つ幾らの世界になるわけだ。

 自衛隊は世界でも高額に並ぶ軍用銃を使ってたらしいけどな。


「さて、ノンナのアホを迎えに行くか」

「ですね。ノンナちゃん、昨日の夜帰ってこなかったし」

「あのアホは多分、行くなといった深部目指して迷ってるな」

「あ~……」


 ストーカーもダンジョンを彷徨ってるノンナを想像出来ると笑った。

 笑い事じゃないけどね。


「ヘルシング」

「何でしょう?」

「ノンナの阿呆を向かいに行ってくる。

 お前は横須賀に行く準備をしておいてくれ」

「分かりましたわ」


 一応、旦那銃を両脇に下げる。ストーカー君は色々と考えた結果自動小銃を持つことにした。木製の古めかしい奴だ。

 で、それぞれ準備をしてからノンナの馬鹿を探す為に旧名古屋市地下街へ進撃。

 進撃したは良いが、何やら騒がしい。騒がしいっつーか、街から逃げてく連中が多い。もう、我先に家財道具等を乗せたリアカーやら何やらを持って。

 俺たちは何だろーね?と話し合いながら取り敢えずギルドに。ノンナの行方を聞くためだ。多少なりとも情報が入っていると思う。彼奴、何かする度に注目浴びるから。喋れば声がデカい、動けば何かを壊す。うん。

 で、ギルドに入ったら入ったでこっちはより一段と騒がしい。俺達が入って来た事にすら気付いた様子がない。

 どーすん?とストーカーが見てくるので、しょうが無いので上空に一発。


「騒がしいぞ下等人種共。

 今日は何の祭りだ?」

「こ、これはツェペシュ様!

 ようこそお出でに」


 で、ギルド長がすっ飛んで来て実はと事情を話しだす。何でも本来出現する筈のない低ランク階層に高ランク魔物が現れたらし。

 で、下から強大な魔物が出て来たお陰で地上にはゴブリンやケンタウルスと言った魔物が避難してきており、現在、冒険者達が総出でそれを対処しているらしい。


「……ノンナの奴を見なかったか?」

「の、ノンナ様ですか?

 そのような情報は聞いておりませんが……」

「そうか。

 どっちにしろ、あの阿呆がこの問題に関わっているはずだ。我々も手を貸そう」


 あのアホタレ!ぜってー彼奴が階層ボス的な連中をボコって潜ってるだろ!じゃなきゃ、逃げてこねーよ!取り敢えず、最前線に向かおう。

 案内しろとギルド長に告げて地下街に通じる入口がある場所へ向かう。

 15分程歩くと完全に人はいなくなり、戦闘音と怒声が段々と近づいてくる。俺は銃を抜き、ストーカーも銃を撃てるように構える。


「む」


 歩いていると何処からともなくゴブリンの一団が現れる。数は15。少々多い。尋常じゃねぇな。銃じゃ間に合わねぇ。

 なので指パッチンの代わりに銃を撃つ。先頭にいる一匹の頭部を吹き飛ばした瞬間、他のゴブリンも同時に頭部が弾け飛ぶイメージをした。周りからは俺が1匹のゴブリンを撃ったら周りの、14体のゴブリン達が一斉に頭を弾けさせたのだ。


「ふん、市街地だと言うに……

 先を急ぐぞ」


 入り口に行くまでにゴブリンの集団に数回出会い、それらを全てふっ飛ばしてから漸く戦闘音を響かせている入り口周辺に辿り着く。

 そこでは身の丈3メートル近いミノタウロスやらオーガやらが暴れており何時かの金パーティーやギルドで時々見掛けた連中が戦っている。

 俺は銃をしまうと右手を突き出す。そして、ゆっくりと右から左に掌を動かした。掌が通った場所に居るモンスターは全て燃え上がるのをイメージする。同時に、大量に居る怪我人達にも左手を向けて同様にする。粗方の怪我人は治った。


「ストーカー。

 お前は怪我人の救護をしろ。やり方は簡単だ。傷口を手で撫でるように動かせ。その際に怪我治って居るのを確りと想像しろ。

 多分、スゲー疲れる。でも、やってくれ。俺はこの化け物共を残らず殺してくる。んで、ノンナを捕まえて謝罪させる」

「分かりました。

 気を付けて」

「ああ」


 突然燃え上がった魔物を前に呆然としている冒険者達に下がっていろと告げ、それから何時かの金パーティー達に合流する。理由は簡単。彼等が此処での戦闘の指揮を取っていたからだ。

 ベテランってことだろうな。


「ツェペシュ様!?

 助かりました!」

「構わん。元はといえばノンナがしでかした事だ。

 死者は居るのか?」

「発見が早かったので重傷者は居ますが、死者は出ていません」

「分かった。

 重傷者から順にストーカーに見せろ。それと、ノンナを追って下層に降りていく。案内をしろ」


 迂闊だった。ノンナだから下層に潜って行くことは想像できたが、まさかこんな大惨事を引き起こすとは想像できんかった。


「ギルド長」

「は、はい!」

「この戦いに参加した者達とその者達の得物を後で教えろ」

「は、はい!分かりました!」


 で、弓を背負ったエルフの青年が私が案内をしますと告げた。弓では少々キツいだろうと俺はストーカーの持っていたカービン銃を渡す。操作は簡単に教えてから出発だ。撃つ必要はないだろけど、一応ね。

 左手に銃を持ち右手はフリーにする。理由は簡単。ナノマシン操作をする為だ。

 アホみてーに敵が出て来る。スライムとかがそこら中で魔物を襲っているので、それらを全て仲間に引き込んで進撃開始。ナノマシンの為の戦闘プログラムはヘルシングが作ったバージョン2(仮)をインストールしているので、強い強い。

 大柄のモンスターを見掛けたら迷わず走って行き顔面にパンチを食らわせる。パンチっつーか鼻と口を覆って窒息死させる。


「す、凄まじいですね……」

「ふん、この程度しか出来ん。

 剣か槍でも有れば戦力と呼べるものになるだろう」


 今の戦い方は自爆攻撃をやるベトコンと同じだ。ベトコンと違うのは連中は死なないって事だ。

 で、暫く歩いていると大きな亀裂があった。深さは30メートルぐらいで幅は10メートルぐらいだ。下の方には橋っぽいものが落ちている。数階層分穴が開いてるっぽいな。此処から飛び降りればかなりの時間省略出来るな。


「糞、きっと魔物達が此処で暴れたおかげで架けてあった橋が落ちたんだ……」

「他に道は?」

「有りますが、一端上に戻る事になります。

 他の入り口は封鎖したんでそこを開けるので時間も掛かるかと……」

「ならば此処を行くか」


 掴まれと手を差し出すと、エルフは恐る恐るという感じで俺の手を握った。

 俺はそのまま壁を歩く。エルフはひぃぃと情けない悲鳴を上げながら俺の腕に確りとぶら下がっている。よし、降りるか。

 まぁ、行けるだろ。


「先に謝っておくぞ」

「え?」


 壁をトンと蹴り、そのまま空に飛ぶ。男をお姫様抱っこする趣味はないがしょうが無いね。

 で、地面に着地する直前に制動をかけフワッと着地。素早く周囲を警戒するとオーガとミノタウロスが居た。オーガに関しては多分、ゴリラの進化系だろうな。それが立っていた。まぁ、ゴリラって外見がほぼねーんだよ。腕力が高くチンパンジーレベルの知能を有している。

 つまり、野生のノンナだ。ノンナと違うのはノンナより弱く、ノンナと違ってウジャウジャ居る。銅クラスがようやっと1頭と戦う事が出来るらしい。


「み、ミノタウロスが5体にオーガが20以上……」

「フン、躯体ばかりがデカくなった猿と牛だ。

 燃えろ」


 指を鳴らすと同時に一瞬で燃え上がる。ミノタウロスは叫び声を上げようとして声帯が焼き切れたらしく凄まじく藻掻く。で、手にした鉄筋コンクリートみたいな支柱で殴り付けてくる。

 これには流石の俺も思わず、本気で銃を撃ってしまった。

 ミノタウロスが頭を吹っ飛ばし、胴体にも数発撃ち込む。オーバーキルだな。


「大事無いか?下等人種」

「は、はい、ありがとうございます」

「構わん。貴様に死なれられると私が困るのだ。

 貴様等下等人種は豆腐のように脆い」


 次は脳みそを一瞬で焼かねばイカンな。しかも図体ばかりデカいモンで燃え上がらせると通路を塞いだ炎の山だ。取り敢えず、凍らせよう。

 炎は一瞬で消え、今度は氷の山だ。乗り越えるには多分少々難儀するな。思いっ切り足裏で蹴飛ばすとバギャンと砕け散った。よし、OKだ。通れる。

 そのまま置くに進んでいく。奥に進めば進むほど見たこともないような生物が出て来る。で、分かったことは虫系の敵は比較的コントロール下に置きやすい。脳みそが哺乳類と違って非常に小さいからだろう。馬鹿でかいムカデとかメチャ糞気持ち悪かったが、滅茶苦茶強い。

 サソリとムカデはヤバい。毒がもうヤバい。しかも両者とも甲殻がめちゃくちゃ硬い。旦那銃では関節とか節を狙わないと平然と弾いてくる。何でもこのムカデやサソリ、非常に獰猛で時折自分で穴を掘って山などに現れて大型の魔物を狩るらしく、中にはワイバーンと戦ってワイバーンを食い殺す物も居るそうだ。

 パネェ……


「恐ろしい生物だな、このムカデは」

「え、ええ、コイツ等の毒は非常に協力で大凡、30秒ほどで噛まれた箇所が壊死し、子供なら1分、大人でも3分内に解毒薬を投与しないとそのまま死亡します」


 何それ怖い。冗談じゃないよ~そんなものに噛まれちまったら俺死んじゃうかもしれんよ?ねぇ?

 今も頭が3つあるケルベロスみたいなミノタウロスに噛み付いてるけどさ……確かに、オオムカデが噛み付いた場所、凄まじい勢いで毛が抜けて赤黒く腫れ上がってるけどさ。あ、サソリが刺した。

 身長5メートル近い大きな化物はそのまま小さく呻くとバタンと倒れて動かなくなった。


「トライヘッドですらこうもあっさり……」

「この3つ頭はそんなに強いのか?」

「ええ、ミノタウロスの上位版でミノタウロスの突然変異体です。ご覧通り頭が3つあり、体もデカいのでコイツに挑むとなるとかなりの大仕事ですよ。

 まぁ、その分、革や角、牙、骨と言った素材は非常に高価で此奴を一頭狩れば1年は遊んで暮らせる量の儲けになります」


 それに、肉も美味しいですとエルフは告げた。まぁ、毒が回ってしまったので肉はもう食べれないだろうとのこと。

 肉美味しいんだ……まぁ、見ての通り牛だもんね。肉食っぽいけど、牛だもんね~あ゛ぁ゛~すき焼きしたいんじゃ~溶き卵に甘辛いタレで煮込んだ肉をぶち込んで新米と一緒に書き込んで咀嚼したんじゃぁ~

 シャキシャキ感を残したネギや春菊も食べて口の中をリセット。そして、タレが染みこんで馬鹿じゃねーのかってぐらいに美味くなった豆腐!堪りませんなぁ、えぇ?


「角や爪位なら剥ぎ取って持って帰る余裕はあるが持っていくか?」

「い、良いのですか!?」

「構わん。

 此処まで歩きっぱなしだった。貴様のような下等人種はそろそろ体力的にキツいだろう?30分程休め。そして、その間に休憩とこの馬鹿でかい偶蹄目から貴様が持ち運べるだけの材料を剥ぎ取れ」

「あ、ありがとうございます!」

「構わん。貴様には格別危険な目に合って貰っている。

 此処で死なれると私も困る。それらを持って地上に戻るという欲が有れば早々に死ぬことはなかろう?」


 俺の言葉にエルフは苦笑してそうですねと告げた。それからどっこいしょと座り、休憩を始める。俺はむき出しの電信回路を見付け、其処から辛うじて生きているネットを繋ぎ、当時の見取り図を取り出す。もっとも、これは最早面影もない程に穴が出来、埋まっており、通用はしない。

 なぜ、そんな状況でこんなに設備が保たれているのか?と言えば単純にナノマシンの保全機能とどういうつもりなのか何かの木の根っぽい物やら何やらが生えてきて自然と補強しあっているのだろう。

 取り敢えず、このムカデ達も地上に連れて帰ってヘルシングに研究材料として渡してやろう。毒が強力って話だし。

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早くもお正月特番に飽きたのかい?

テレビ局は延々とハリウッドのB級映画流してれば良いのにね

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