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血ぃすーたろかー25回目

 で、午後になり漸く強制反省を解かれたノンナを交えてスラミネーターの演習が行われる。俺達は高台の上からスラミネーター達の戦闘を見ることにした。

 丘の上、俺達の右手側が紅軍、左手が白軍である。戦場は平原で戦闘形態は会戦。

 スラミネーター達の武装は個人携帯用円匙と言う軍隊で使う折りたたみができるスコップに11式軽機関銃とその弾帯計500発分を持たせているそうだ。ルールは至極簡単。上半身に2発、下半身に3発、頭部に1発、この何処かに弾丸が定数当たるか、弾が切れたらその時点でそのスラミネーターは活動を停止、また所持弾500発を撃ち切った場合も同時に負け。

 持っている円匙、つまりスコップは穴を掘ったりして自分の隠れる場所を確保する様にというものらしい。


「どっちの軍が勝ちますかな?」


 椅子を並べ、戦いを高みの見物するのだが、俺の隣にはラーキンが座っている。


「中身はどう違うんだ?」


 隣で仮想現実とにらめっこしているヘルシングに尋ねる。


「紅軍は攻撃プロトコルを中心に組んでいますわ。白軍は防衛プロトコルを」

「……つまり?」

「紅軍は攻撃重視で白軍は防御重視ですわね」


 成る程。


「赤は攻撃を中心とし、白は防御を中心とするそうだ。

 ラーキン。貴様はどちらが勝つと思う?」

「自分は攻撃重視の赤を選びます!

 攻撃精神こそ戦場では最も重要な心意気ですから!」

「そうか」


 何でコイツ、こんなに興奮してるの?

 ヘルシングはそれでは状況開始ですわと仮想現実上に有るらしいスイッチを押した。

 両軍はヘルシングのボタンに合わせて動き始める。最初に発砲したのは紅軍側であった。タタタタと銃声が聞こえて来る。スラミネーターの一体が高台を見付けて撃っている。他のスラミネーターは姿勢を低くし左右に分かれて展開をし始めた。

 一方白軍は20体中15体が穴を掘り始め5体が銃撃に対して反撃をし始める。掘っている場所はなだらかな丘の上。5体の内2体が紅軍の高台で銃撃をしているスラミネーターに銃撃を加え、瞬く間に活動を停止させる。

 拡張現実に頭部と上半身に計5発の弾丸を受けたと表示された。FPSのログを詳しく説明させた感じである。


「紅軍の員数は残り19ですわ」


 ヘルシングも俺に報告してきた。

 ノンナは赤が勝つには白の塹壕完成を防ぎ丘の上を制圧することねとストーカーに講釈を垂れていた。


「お、凄まじい速さで掘っていた穴が出来たのか?」


 ぐるりと一周円を描くようにして塹壕を完成させたらしいスラミネーター達は塹壕から掘り出した土をペタペタと自分達の前に山にしている。


「即席の塹壕制作手順と正式な塹壕制作手順をインストールしてありますが、今回は即席の塹壕制作手順のようですわね」


 人1人が入れる穴を堀、それを左右で繋げる。蛸壺と呼ばれる個人用壕に連絡用通路をつけた感じだそうだ。

 で、15体で20人分の穴を作り白軍は穴に入ると機関銃を構えた。


「勝負ありね!」

「赤の負け?」

「そうね。

 手榴弾も迫撃砲も無いのでしょ?」


 ノンナの問いにヘルシングが尋ねるとヘルシングはそうですわねと頷いた。

 紅軍は一旦突撃をしようとして敵からほぼ的確な射撃を受けると退避、丘の影になる小さな丘に入り込んだ。

 どうするのかと見ていると紅軍も同様に穴を掘り始めたではないか。小高い丘の前にあるちょっと高い丘。高さ的には負けているがそれでも構わず紅軍は穴を掘る。穴を掘って大体5分程で塹壕を完成させると其処に飛び込んで、機関銃を構えた。


「これ、どーなんのよ?」

「第一次大戦の再来よ!

 アンタ、これの何処が攻撃プロトコルなのよ!?」


 ノンナがヘルシングを見る。ヘルシングは攻撃プロトコルとは攻撃に最も適した戦闘隊形、行動をするように考える思考プロトコルだと告げる。つまり、塹壕には塹壕が一番だと考えたようである。

 まぁ、無駄な損害なくすって意味だったらそうなんだろうけどさ……


「これ、どーすんのよ?」

「さぁ?」


 ヘルシングが首を傾げて拡張現実を弄る手を止めた。

 で、演習は結局3時間程両軍が機関銃で撃ち合って弾切れに成った所で終了した。これどーすんのよ?


「締まらん終わり方だな」

「仕方有りませんわ。

 でも、これで問題有りませんわね」


 後は実戦に於いて確証をさせるだけで良いですわとヘルシングは告げ、拡張現実を操作。スラミネーター達は全員此方に銃を担いで歩いてくる。


「ツェペシュ殿、あれは一体幾らであろうか?」

「値段の事か?」

「うむ」


 ヘルシングに幾ら?と尋ねるとちょっと待ちなさいと言われた。暫くすると、こっちの世界の換算で大凡1億8千万円らしい。


「1億8千万ちょっとだそうだ」


 内訳はスライム代、ロハ。拡張現実費用が5千万ちょっと、プログラミング基礎設備で同じぐらい、各種データ等を合わせて2千万、11式機関銃が4千万で弾代で2千万らしい。高すぎぃ!と思ったら1から作る際の勘定らしい。

 つまり、金を出せば作れるのか?と聞けばその設備が無いから無理って事だな。


「……1体で1億8千万?」

「そうだ。

 銃を抜けば1億2千万だな。まぁ、甲冑代は入っていないそうだから甲冑は自分達で用意しろ」


 まぁ、1億8千万積まれても作る気はないだろうけどね。ヘルシングを見るとスラミネーター達に何かを指示を出している。


「ツェペシュ殿、あれ1体で我軍の騎士何人分だろうか?」


 何やらめちゃくちゃ欲しいって顔でラーキンが根掘り葉掘り聞いてくる。

 騎士何人分?と尋ねるとヘルシングは槍や剣だけで武装しているならば100人200人と戦っても負けはしないと返された。

 で、そっくりそのまま告げるとラーキンは更に維持費は?と聞くのでヘルシングに尋ねるとポーションを定期的に摂取させれば問題無いとか。

 スゲーな、パネェ。スラミネーターはポーションで維持できるのかよ。


「壊れることは?」


 どーなの?と尋ねると溶岩に放り込んだり1分以上10億ボルト以上の電気を浴びせるぐらいだと告げた。因みに1分間もそんな高出力の電撃は流れないそうな。どのぐらい凄いの?と言えば雷と同じぐらいだとか。パネェな。

 そら、無理だわ。


「ほぼ無敵!?」

「そうですわね。

 全地形対応戦闘兵器ですもの。極端な戦場でない限りは問題有りませんわ」


 気温はマイナス60度でも戦えるそうだ。つまり、南極でも十分に戦える。


「え、こんなんどーすんのよ?」

「どうもしませんわよ?

 私の作る兵器が自然環境如きに負けるなんてあり得ませんわ!」


 何だその訳の分からない対抗意識は。目指せAKって何やねん。カラシニコフは銃だろうが。

 それから、ラーキンが脇に居た男達と話し合う。良く見ればそいつ等はハイエルフだった。


「ほぉ、貴様等がラーキンの兄弟か」

「は、はい。此方が長男のチョーキンで総理をしております。その奥が国軍の元帥であるジョーキンです」


 成る程ね~二人はお初にお目に掛かりますと頭を下げた。

 そして、ラーキンは俺にスラミネーターを何体程か売って欲しいと言い出した。やっぱりね。


「ヘルシング」

「なんでしょう?」

「スライムを何体か売って欲しいと言っているぞ」

「別に構いませんわよ」

「え、良いの?」


 良いの?てっきりダメですわよって言うかと思ったけど。


「兵器として運用するつもりだよ、コイツ等」

「別に、私達に歯向かえませんし何時でも私達が指揮権を剥奪出来ますもの。

 それに、私の試作機でどれだけ出来るのかデータも欲しいです物。ツェペシュさんに前に上げたデータで彼等に欲しい分作って差し上げて下さいまし。100体ほど。

 私、彼等がナノマシン操作を使える様にプログラミングしないといけませんので」


 パネェ……

 剣も銃も使えて魔術も使えて死なねーとか無敵じゃねーか!?無敵の戦闘ロボットじゃねーかよぉ!?


「割とお前、マジで何作る気だよ」

「何って……

 目指せ自立学習型全地形天候対応戦闘機械歩兵ですわね。私の時代なら別に魔術、つまりナノマシン操作は要らなかったのですが、この時代ではナノマシン操作もあった方が楽な事と、それが可能になるキャパシティを保有するボディーがあったので」


 パネェ。スライム=超高性能コンピューター的な考えしか持ってないよこのマッディー!


「因みに、スライム1匹で何の位のレベルの処理能力が有る訳?」

「そうですわね。

 スライム一匹で航空母艦一隻分のレーダー、射撃、気象、通信、火器管制システム、船内のあらゆる電気系統も管轄しても多分まだ余力は有るでしょうね。

 10匹、つまり試作機レベルの大きさに成れば一個艦隊分のC4Iシステムと同等の処理能力が出ますわ」

「それはどのぐらい凄いんだ?」

「スライム一匹でアメリカ軍の第7艦隊相手に電子戦して余裕で勝利出来ますわ。

 因みに、第7艦隊は世界最強の艦隊ですわ」

「アメリカって何だかんだ言って世界最強なのな」

「まぁ、今では滅んでしまって何とも言えませんが、当時は最強でしたわよ。

 世界の警察を止めた2000年代から中国ですら知っての通り200年ほど直接対決を避けていましたもの。貴方は知らないでしょうが、アメリカは私が冬眠するまで自国本土に敵が攻撃を仕掛けられた事は有りませんでしたわよ」

「それは結局戦争が終わるまで爆撃されなかったわよ!

 ハワイとかに多少のミサイルは落ちたけど、アメリカ本土を空襲したのは後にも先にも我が日本だけなんだから!」


 其処にノンナが十一年式軽機関銃を片手に割り込んで来た。


「因みに、お前が眠る前の世界ってどうだったんだ?」

「前にも言ったけど核兵器バンバン使うレベルの世界紛争よ!

 特に中国は酷かったわ!トルコとインドの国境沿い、えっと、うぐいす?とか言う連中が住んでる場所に核ミサイルぶち込んで放射能汚染して侵攻阻んだり、北チョンも韓国の釜山にダーティーボムぶち込んだわ!」

「エグ過ぎだろ」

「しょうが無いじゃない!中国と北朝鮮だもの!

 勿論、国連が文句言ってたけど、正直誰も言う事聞いてない状況だったわね!と、言うか常任理事国の1つがそんな事してるんだから国連なんてあってないようなものよね!ザマァ無いわ!」


 ノンナはそう笑うと十一年式を撃ってくると宣言して斜陽になり始めた丘に登っていく。俺はそんなノンナを見送ってからラーキン達を見る。


「あれが欲しいんだったな?」

「は、はい!」

「貴様等に無償で100体程与えてやろう」

「ほ、本当ですか!?」

「勿論だ。

 だが、それで我々の命を狙ったりしてみろ。その瞬間には貴様の口や鼻からスライムが入り込んで肺胞1つ1つを占領し窒息死させる」


 覚えておけと告げて十一年式軽機関銃を野山に撃ちまくってるノンナの様子を見に行くことにした。放っておくと何やるか分からんからな、コイツ。

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