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血ぃすーたろかー19回目

 スライム100匹ほど捕まえるにあたってヘルシングから複数のソフトをインストールされた。一つはスライムにハッキングすると自動的にスラミネーターに成るよう仕組まれているソフト。もう一つはそれらに移動能力や危険回避プログラム等が入っているソフトだ。

 あと、他のモンスターを使役できるかもしれない所謂テイミングソフトまで試作して俺に試して来いと言って来た。

 彼奴、最初の頃ともう性格が全然違うよね。正体バレてからあっけらかんと俺を顎で使ってる。一応、俺、一番偉い人って役何じゃなかったっけ?

 まぁ、フォローとしてヘルシングは研究キチガイだからと新しい設定を盛り込んでるけどさ。しかも、この学校そういう人が多いのか、何か皆、思い当たる人物がいるらしく成る程とすんなり理解してた。

 誰だろ?

 で、ダンジョン街に1人でやって来た訳だ。もう、俺が街を歩くだけで平然と人が割れる。便利だけど周囲から向けられる目がアレだ。しかも昨日の一件はやっぱり知れ渡っており、俺達に悪事を見付かると手足をモガれて腸を啜りながら食い殺されるらしいとまで言われていた。

 誰、そんな根も葉もない噂流したの!?誰!


「きょ、今日はどの用なご用件で?」


 中に入ると同時にギルド長が現れた。もう、入り口でスタンバってたに近い。レベルですぐに現れた。


「うむ。今日中にスライムを100匹捕まえねばいかん。

 ダンジョンで取ろうにも彼処はしばし効率が悪い。スライムが一度に100匹現れる場所を教えろ」

「は、はぁ……スライムを100匹」


 ギルド長は暫く考え、それから恐る恐る何やら一枚の紙を持って来た。


「読み上げろ」

「はい。その……地下水道に蔓延るスライムを定期的に掃討する依頼がありまして、此処ならスライムは大量に居るでしょう……」


 しかし、ギルド長の顔は暗い。多分、臭いんだろうね。下水道も兼ねてるのかな?いや、下水道しか無いのかな?


「成る程。

 臭いをガマンすれば問題無い依頼だな」

「え、ええ。

 どうでしょうか?」


 まぁ、やらないとヘルシング滅茶苦茶怒るだろうから行くけどさ。


「良いだろう」


 俺の言葉にギルド長がホッと胸を撫で下ろした。


「それで、パーティーの方々は……」

「私一人だ。

 スライム如き、大勢でゾロゾロと行く程の敵でもあるまい。私一人で十分だ」

「な、成る程。で、ですが、地下水道は非常に広く、同じような形式ばかりなので案内役を付ける方が宜しいかと思います。

 勿論、ツェペシュ様ならば迷われるなどということはないでしょうが、万が一という場合もありますし」


 ギルド長は頭をヘコヘコ手をモミモミ。油ギッシュな笑みを浮かべながら俺に告げる。


「成る程。良かろう。

 貴様が其処まで言うのであれば、供回りを付けさせてやろう」

「ありがとうござます。

 それで、その……」

「報酬か?」


 しばし待てと告げてノンナがスラミネーターにあの手この手で持たせようとして乱造したナイフやら剣やら銃やらがある。ノンナのせいで新しくトーキンに持ってこさせた万が一用の資材まで無くなり掛けていたので、銃を売って金にしてそれを元手に資材を買うのだ。

 作った銃をそのまま溶かせば良いじゃんって話になるが、どういう訳か元あった量よりも少ないので元々の量には達しないのである。なんでや!ってヘルシングに聞こうと思ったけど多分また小難しい話が返って来るので製作用ナノマシンに成ったりなんかしたりするんだよ多分きっとメイビーって思うことにした。

 その中から取り敢えず、何か高級そうな質素な剣を取り出す。


「これはどうだ?

 ノンナ曰く、人の首程度なら楽々切れるとか言っていたが」


 ギルド長はしばし拝見をと俺から剣を受け取り、ランプに翳し、軽く振る。暫くしてから誰かを呼ぶ。すると奥の方で暇そうにアクビをしていたローブの少女が飛び上がらんばかりに驚き、大急ぎで俺とギルド長の元に。

 ギルドの人間ではないようだが、彼女が座っていた席は彼女の指定席っぽくなっていた。


「これを鑑定しなさい」

「は、はぁ……」


 少女は失礼をと剣を受け取り一度目を閉じてからカッと見開いた。それから暫く眺めた後、驚いた顔で俺を見、ギルド長を見た。


「こ、この剣高純度の魔力が込められて打ってありますよ!?

 これって、オリハルコン製の剣では?」


 違います。リアカー一杯にあった錆びた鉄兜や剣が素材です。鉄製です。


「知らん。この程度の物ならまだ幾本かある」


 コートの裏にぶら下げてきたナイフやら剣やらを取り出して近くのテーブルに並べていく。どれもこれも外見は普通の剣である。ただし、木製部品は余り無くグリップには基本的にパラコードと呼ばれる紐が結んである。

 何か未来的で格好良い。


「こ、これをナイフ一本でも私、1年はどんちゃん騒ぎしながら暮らせますよ……」

「何でも良い、さっさとしろ」


 ギルド長はどーしよと言う顔で暫く考え、それからしばしお待ちをと告げてから何処かに走っていく。階段を上がって二階に。暫くしてから一組の男女を連れて戻って来た。

 何か二人共強そうな鎧と剣を下げている。ファンタジーっぽい世界なんだからエロい鎧付けろよネーチャン。パイオツカイデー見せろや!

 で、ギルド長がこちら金パーティーのと連れて来た二人組に付いて話をする。それからギルド長は俺を二人組に説明した。それと同時に報酬に付いてオリハルコン製(嘘)の剣を差し出してみせる。


「こ、これ、ほ、本当に貰えるので?

 地下水道を案内するだけで?」

「ああ、その程度の物で良ければな」


 序にギルド長にこれって全部で幾らぐらいで売れるんだろうか?と尋ねるとギルド長は暫く固まった。


「お、オリハルコン製の剣は大体、一本一千程になります。ダガーやナイフですら百は超えますので……」

「この国の金の単位は?」

「ええ、最小単位がリン、ゼニ、エンです」


 1000リンで1ゼニ、100ゼニで1エンになりますと言われた。比較が分からん!マックは!マックは何処じゃ!勿論、そんな物はない。現実は非情である。答え3、3……

 じゃなくて、リンとかゼニとかエンって厘、と多分銭をゼニって読んでるんだよな?で、エンは円だよな?

 しょうが無いので拡張現実で検索。1リンはいくらですか~っと……なになに、明治後期に誕生したアンパンは当時1銭だった。現在の貨幣価値に換算すればおおよそ200円程と成る。なので、1円は大凡2万円。それの一千倍だから2億万……

 ヒェェ……


「リアカー一杯分の鉄の廃材は幾らになる」

「えぇっと……

 50ゼニ位でしょうかね?主に鍋の穴を塞いだり、安物の防具の補修をする際に使われたり、鋳潰して、別の小物にする程度なんで」


 50銭だから、大凡1万円。ごめん、その1万円が2億になりますわ。


「……そうか」


 今回短めの物を全部持って来たけど、長剣が普通に100本位あるわ。この街の経済破綻しちゃう!

 このナイフ全部ってお金に変えよう。


「其処な土人共はこの程度の剣で満足か?」


 一応、念の為に聞いておこう。俺の問いに十分過ぎますと頷いていた。


「貴様等のパーティーは何人か?」

「ほ、本日は8名居りますが、総勢は15名です」


 それって凄いん?良う分からん。


「では、貴様等、後1時間後に全員で地下水道入り口に集合せよ。

 良いな?」


 俺の言葉に二人は勿論ですとも頷いた。俺は一旦学園にダッシュで帰る。ダッシュで帰ると、ノンナとストーカーが武器弾薬製造機の前で押し問答をしている。


「何やってんだお前ら?」

「良かった!

 ノンナちゃんがロケットランチャー作ろうとするんですよ!」

「止せよ!何でそんな物作ろうとしてんだ!」


 慌てて武器弾薬製造機のディスプレイに表示されている《製造を開始しますか?》の文字にNoで答える。そして、大量に出来上がったナイロン製の鞘に収まっている剣達を念の為に30本ちょっと担いで、ノンナにお前は今後一切武器弾薬製造機に触ることを禁止すると通達してから集合場所に。依頼人が遅れるわけにはイカンからな!

 で、集合の15分前には金パーティーのメンバーが集まっていた。


「お、お待たせ致しました!?」

「構わん。

 貴様等にこれを1本づつやる。私を案内するという栄光に勝るとは思わないが、その記念に取っておけ。まぁ、この程度のナマクラならば売っても良いだろう」

「と、ととと、とんでもございません!?

 こ、こんな素晴しい物をう、う、売るなんて!」


 別の男が俺がホイと渡した剣を丁重に受け取る。何か、2万円で乱造した剣をそんなに恭しく受け取られると俺が困る。

 つーか、詐欺してるみたいで謎の罪悪感が生まれる。

 舌凍らせたり足切ったりしても治療できるからもうするなよ?で済ませられるけどさぁ……まぁ、良いか。

 つーか、余った15本ちょっとどうしよう?1人もう1本渡そうか?まぁ、俺が実際に乱暴に扱ってみてこれで壊れたらマジでゴメンしておこう。

 ノンナ曰く戦車に踏まれたりしなければ大丈夫よ!なんて言ってたけど、念のためにな。

 そういえば、これ大量にナノマシン保有しているなら浮くよな?試しにナイロン製のケースを取り払って我様宜しく剣よ浮かべとやってみると平然と浮いた。金パーティー全員が驚いている。

 俺もちょっと楽しい。非常用でこの15本程を持って行こう。


「では、2人程付いて来い。

 全員は要らん。アホのように15人も居ると邪魔だ」


 で、結局俺に挨拶に来た男女の組が付いて来ることに。地下水道入り口には鍵はないので誰でも自由に入れるが、誰も入ろうとしない。理由は簡単。臭いから。

 因みに、此処で取れるスライムの大半がポーションになるのでポーション作成を専門としている調合師達は此処に潜ってるそうだ。俺、もうポーション絶対に飲まない。

 地下道内部はレンガとセメントか何かを固めた完全に人造の空間である。そういえば、学校にもちゃんと水道が有り、トイレも水洗式だったな。ガスや電気は無かったけど。お風呂も魔術式ボイラーとか言うよく分からんボイラーで沸かしてお湯が使えるので現在、ストーカーがトーキンに湯船欲しいから学校に無いか?と尋ねたら、造ります!と言って浴場を作り始めてしまった。

 流石に一から作らんでも良いと言ったら、正直を言うと自分も風呂が好きだし、職員の何人かも風呂が欲しいと言っていたので造りますと教員達も使う大きめの浴場を作るそうだ。

 つーか、未来ってよく分からん所で現代の技術とか受け継いでるよね。どうなってるんだ、此処?

 

「ツェペシュ様!スライムの大群が居ます!」


 先行する女がランプを掲げて俺に告げる。正直、ランプ要らんのよね。

 男は俺の側で足元を丁寧に照らしてくれている。勿論、2人のランプじゃ暗い。女が指差す先を暗視で見るとダンジョンで見るスライムよりも活発に動くスライム達が居た。二人共俺があげたばかりの剣を抜いた。スライムを倒されると俺が怒られるから二人を止める。


「す、スライムとはいえ数は5匹も居ます!危険です!」

「フン、貴様等土人の尺度で我々を計るでない」


 俺はヘルシングにインストールしろと言われたデータをスライムの一匹に送信、という思いで掌を向けた。で、俺が掌を向けたスライムは瞬きを一回する程度の短い時間、プルプルと小刻みに震える。そして、直ぐに小さな人型に変形。俺はそれに更にもう別の行動やら戦闘やらのデータが入ったソフトをインストール。

 すると、小さなスラミネーターは此方に歩いてきた。


「他のスライムを支配下において、俺ぐらいの大きさになれ」


 言うと小さなスラミネーターはペチョペチョと走りだし、別のスライムにダイブ。色は同じだが、一瞬大きく揺れ動いたスライムは直ぐにちょっと大きなスラミネーターに成り、ものの1分ほどで5匹のスライムが子供サイズのスラミネーターになった。

 スライム10匹で大人1人ぐらいに成るのかな?


「こ、これは?」

「私の完全支配下に置いたスライムだ。

 私は今日、この人形を10体ばかし作ればそれで終わりだ。まぁ、もっと多くても困らんがな」


 ハッハッハと笑いながら地下水道を進んでいくことにした。

 正直、ランプ2つじゃ絶対暗いので、周囲に人魂風の明かりを飛ばすことにした。此処、あらゆる排水が集まってるからある意味でナノマシンが豊富なの。しかも、無駄に通気してあるから可燃ガスも溜まっていない。

 まぁ、溜まってたらランプ何か付けられないけどね。

 で、ただただ歩いているだけだと暇なので道案内の金パーティー連中の活躍を聞きながら地下道を進むことにした。

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