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血ぃすーたろかー18回目

 それから1週間ほどウダウダと学校を拠点にゴブリンを殺したりスライムを集めたりしていた。学校は1週間に1度だけ一日休みがある。安息日だか休息日とかで絶対に休まなければいけないとか。

 多分、世界が崩壊しかけていた時にキリスト教が頑張ってたんだろうな。キリストを信じる者は救われるとか黒い看板に黄色い字で書いてあるアレみたいな事を言って。勿論、1週間に1度休みがあるが百姓出身の平民生徒達はそんな休みなぞお構いなしにダンジョンに潜るそうだ。

 理由は簡単。彼等の重要な生活費であると同時に彼等が授業で学んだことを発揮する良い機会だからだ。学校もそれを止めるどころか推奨しており、一部の教授は生徒達から魔物、サイボーグキメラの素材やら何やらを買い取ってるらしい。

 ギルドよりも高く買い取るために学校を卒業した後にも売りに来るものが居るそうだ。まぁ、この学校、卒業とかそう言うのは決まっておらず自分が満足したと思ったら勝手に卒業していくそうで、学校も現在の在籍人数を把握していないそうだ。

 一応、学年と言う感覚はあり、1年次にはこの授業を受けると良いって感じ。なので、入学してから10年20年居ると教授と間違われたり、そのまま教授に成ったりしてしまうらしい。

 まぁ、学校って本来はそういう場所であるべきなんだよな。学びたいものを学び、それを何時までもやる。俺達の時代じゃ大学までの学校は家柄以上に重要な物だったし。学歴=その人間の質と言うか価値を決めてしまうに十分だった。

 2010年代20年代に学力低下と少子化が問題になったが多少の反省をしたが人口が増加したことでまた元に戻ってしまったとか何とか。どっかの大学の教育学部の教授が話していた。

 で、俺達は今、ニーニャとすっかり友達になったらしいドリルヘアーと共に地下に。ノンナは例の機関銃の銃部分だけ出来たとかで今担いでいる。


「11式だっけ?」

「そうよ!

 大正11年に採用された十一年式軽機関銃と名前が微妙に被りしてるけど、性能はこっちが上なのよ!外見も何処と無く似てるけど、こっちのが強いわ!」


 知らんがな。ノンナはその11式を構えて目の前に佇むゴブリン達に狙いを付ける。


「Fack me Baby!!」


 そして、トリガーを引いた。今回は俺達の仕事は生まれて初めて冒険者に成った錫冒険者であるドリルヘアーの付き添いであり、所定の条件、錫プレイヤー又はパーティーがゴブリンを倒し、その一部を持って帰るをクリアーしており、ニーニャの依頼、ゴブリンを15体狩って来るも済ませた。

 後はノンナの銃の威力を見て帰るだけと言う段階だ。

 で、そのノンナは背中にトーキンに作らせた厳ついスパイクハンマー(柄の部分に鬼の顔が彫り込まれている)を背負い、腰溜めに機関銃を構えてトリガーを引いた。

 何がFack me Babyだ。


「こりゃヒデェ」

「ミンチにしてやったわ!」

「あーあ、魔石まで砕けちゃってるよ」

「撃ち過ぎ何ですわ」


 5秒ほどバンバンやってただけで敵は粉々だ。5体ほどのゴブリンに対して大凡100発近く弾丸が打ち込まれたのだからしょうが無い。

 しかも、弾丸の殆どは命中している。


「こ、こんな物が有るなんて……」

「この武器は3千年前の日本で作られた物だ。

 世界にはボタン一つで都市一つを吹き飛ばす能力が有る武器が当たり前のように有り、世界人口は110億になっていた」

「私の時代は戦争のおかげで95億でしたわ」

「僕の時代は80億でした」

「私の時代は55億よ!」


 人類それでも55億人居たのかよ。どんだけしぶといんだよ。いや、世界人口の半数を僅か90年程で失ってるんだからある意味で激減といえるのか。1800年代から僅か200年程で70億にまで膨れ上がり、そっから更に50億増えたんだからスゲーよな。

 人類が1円ずつ出せば110億円。スゲーな。

 それが僅か90年で55億。55億人が戦争とそれが由来の色んなので死んだわけか。


「まぁ、何にせよ帰るか」


 で、ゾロゾロと帰る途中、何やら言い争いをする声が聞こえてきた。迂回して面倒事を避けるという手もあったが全員とっとと帰りたいという思いが強く、降りかかる火の粉は(ノンナが勝手に)払うと言う打算もあって気にせず進むことにした。

 しばらく歩いていると3人のパーティーに6人のパーティーが囲んで角に追い込み武器を向けている。全員が俺を見るので、俺は暫く考えてからノンナに6人の方を3人に減らしてこいと告げた。

 ノンナは分かったとニンマリ笑い、11式を構えた。この時点でノンナは何も理解していないことが分かったが俺が止めようとした瞬間には既に弾丸は放たれた後だった。

 結局ノンナの銃弾は6人中4人の足にあたり内3名が片足を失い、1名が両足を失った。


「俺の足がぁ!?」

「あァァァんまりだァァアァ?!」

「イテェよぉ!?」


 囲まれていた冒険者達はその隙を突いて俺達の方に走って来た。で、残った2人が此方に剣だの槍だのを向けてくる。


「テメェ等何のつもりだ!!」

「後ろからとは卑怯者め!」

「6人で3人に挑む貴様等よりはマシだ。

 それで、この鬱陶しい騒ぎは何だ」


 ストーカーとヘルシングがやれやれと言う顔で千切れた足を蹴飛ばし、能力で浮かして治療。ノンナは何時でも撃てると言わんばかりに銃を構えたままである。


「そいつ等が私達の報酬を奪おうとして来たんです!」


 逃げて来た3人の内1人の杖を持った少女が叫ぶ。するとニーニャが追い剥ぎですよと俺達に教えてくれた。何でも入口近くに出張っており、帰ろうとして戻って来た自分達弱そうな冒険者を襲うらしい。


「なんだ、強盗か」

「強盗!」


 次の瞬間、ノンナがヒャッハー!とトリガーを引いて残った2人を撃ち殺してしまった。ノンナが銃撃をしたことでヘルシングとストーカーも慌てて治療をやめて此方に走ってくる。


「ちょっと!危ないでしょう!」

「僕等に当たったらどうするんだよ!」

「大丈夫よ!かなり痛いだけよ!」


 何処が大丈夫なんだよ。全然大丈夫じゃねーだろうが。ヘルシングはノンナから機関銃を取り上げ、ストックでノンナの頭部を殴り付けた。ノンナは痛いわね!と言うだけで意に介した様子もない。殴ったヘルシングの方がびっくりしてるじゃねーか。

 それから、ノンナは拳銃を引き抜くと生き残ってた4人にも腹に一発づつ撃ち込んだ。


「後悔しながら死になさい!

 頑張って這っていけば出口に付くはずよ!」


 そう言うとノンナは連中の身包みを剥いでから、無事な武器や装備を3人に押し付ける。


「これで許してやりなさい!

 さぁ!帰るわよ!!」


 ノンナは意気揚々と背中のスパイクハンマーを担いで歩き出した。腹を撃たれた4人は待ってくれとか許してくれと助けてくれとか叫んでいるがヘルシングもノンナが自分がいるのに撃ったこと、を怒っているだけで、彼等を殺したりした事に対しては何も言わない。

 ニーニャ達もノンナの銃をガン見して恐ろしい武器だと話し合っているだけで、彼等には何も言わない。


「あのままで良いのかね?」


 しょうが無い、唯一の良識人であるストーカーに尋ねる。


「う~ん、正直、僕としてはちゃんと治療して地上に連れて行くべきなんだろうって感じてるんですけどね」


 おぉ!流石良識人!


「でも、地上の法律で捌くと被害届が出ていないし、多分彼等は逸らかすでしょう。

 追い剥ぎって、荷物とか奪ったら人を殺すか売り飛ばすそうなので」

「マジで?」

「ええ、ギルドで冒険者達が話してました」

「あ~……

 仮に追い剥ぎであっても盗まれても居なければ殺されても居ないから未遂であって、ノンナは2人も殺してるから罪はこっちが重くなる可能性があるって奴か」


 俺の言葉にストーカーがハイと頷いた。


「……よし」


 俺はリボルバーを引き抜いて、4人の下に。そして、その内の一人の前に置く。ご丁寧にハンマーも下ろしてやった。


「私は寛大だ。

 貴様等の罪は万死に値する。しかし、苦しんで死ぬよりも自らの手で死ぬ方が良かろう。それで自身の頭を撃ち抜くとい良い」

「ツェペシュ様!?」


 追い剥ぎは拳銃を手に取り、一旦はこめかみに銃口を突きつける。ブルブルと手は震え呼吸も荒かった。俺は駆けつけるヘルシングを抑え、彼等がどうするのかを見る。男は唸りながら、目をギュッと瞑った後に俺に銃口を向けてトリガーを引く。

 ガチンとハンマーが雷管を叩き発射された弾丸は俺の腹に突き刺さる。滅茶苦茶イテェ!が、何とか堪え、声も出さない。

 視界には被弾!と出てから治療開始、完治まで後5秒と出る。痛覚は突き刺さった一瞬でもう既に無く、腹に異物がある感覚があったがそれも2秒程でなく成なると、弾丸が入った場所からコロンと弾頭が転がり落ちてくる。 

 そして、弾頭が落ちて地面に転がると同時に完治と表示される。


「憐れなり」


 男の腕を踏み付け、へし折ってから拳銃を取り上げる。そして、ホルスターに再び収めてから元の位置に。

 他の連中は嘘だろとか殺してくれ!と叫んでいたが無視をした。


「服に穴が空いてしまった」

「自分でお直し下さいましね」


 相変わらず冷たい対応だ。

 で、地上に出た所でノンナを集合させる。


「ノンナ集合」

「何?」

「集合」


 ノンナに集合させる。ノンナはブンブンとスパイクハンマーを振り回しているので、それも止めさせる。君、もうちょっとじっとしてなさいよね。


「何よ」

「君ね、もうちょっと頭を使って戦いなさいよ」

「……?」


 あ、此奴意味分かんねって顔してるぞ。


「さっきの事だよ。

 お前の機関銃は狙って撃つ銃じゃだろうが。幾らあの距離でも腰溜めで撃ったら6人中4人を撃ったらイカンだろう。お前、引き算出来ないのか?」

「出来るわよ!」

「なら何故機関銃で撃った?

 最初から拳銃で撃てばよかっただろう」

「だって機関銃を撃ちたいんだもの!

 次からは気をつけるわ!」


 こうまでもあっけらかんとしてると逆に清々しいな。


「それと、お前、強盗って聞いた瞬間に撃ち殺しただろう。

 何故撃った?撃つ必要があったか?いや、殺す必要があったのか?」

「強盗、放火に強姦魔は死刑よ!」

「それはお前のルールだろう。しかも、連中の余罪はあったかもしれないが無かったかもしれない。

 お前のルールにしたって刑法に書いてあったのか?更に言えば、こっちの世界の法律を知っているのか?

 お前はもっと考えて行動しろ。お前の行動は年相応であるが、文明的ではない」

「何よ文化的って!」

「文明的だ。野蛮ではないことだ。

 軍人が持つべき本来の性質だ」


 何かで読んだ。


「軍人は本来最も文化的であるべきなのだ。

 冷静でなくてはいけない。軍人の本文は人を殺すことではない。国を守り、国民を助けることだ。お前の行動はその何処にも文化的な要素はない。

 もっと考えろ。行動に移す前に一旦待て。そして、考えろ」

「……分かったわ」


 おう、顔があんまり理解していない、できていないと言う顔をしているな。


「ストーカーさん、ノンナさんの躾は貴方の仕事ですわよ」

「え!?」

「後は頼むぞ、ストーカー」

「……はい」


 ストーカーにノンナを押し付けて脱出。ヘルシングは俺にノンナの銃を渡して来た。


「この銃、私の時代にも有りましたが、やはり凄いですわね。

 バレルはクロームメッキが施されており使用命数が10万発を超えていますし、銃身交換をせずに五百発を撃てる。動作はガス圧作動方式ですが、三脚に備え付けて撃つヘビーマシンガンにする際には専用の冷却ジェルを入れることで銃身交換せずに五千発を連続で発射できますのよ」


 凄いのか凄くないのか全く分からん。


「凄いのか?」

「凄いですわよ!

 昔ながらのショートストロークピストン方式で高温多湿の日本において銃に使用されるパーツを極限まで減らし、更にはドイツと並んで世界に誇る精密で緻密で丁寧なパーツの作り出しがショートストロークピストン動作を使用する銃の最大の欠点である動作の安定性の悪さを補って余る高い稼働率を誇ってるんですわよ!

 三脚にマウントして800m先の目標に的確に弾丸をダブルタップどころかトリプルタップを決める何てあり得ませんわ!何ですのこの銃!」


 ウワァ……

 ヘルシングって鉄砲の話になると声がデカくなるよね……


「11式機関銃だよ」

「知ってますわよ!」


 でも、何ですのこの銃って聞いてきたじゃん。


「何言ってんのか9割ぐらい理解できなかったけど、兎に角凄い銃だよ。うん」


 うん。知らんけど。

 俺にはこの旦那銃があるんじゃい!此奴があれば問題ないんじゃい!


「取り敢えず、今、ノンナさんが作っているらしい武器を試作機1号に持たせれて見ましょう。

 専用ジェルは私の方で頑張って作ってみますわ」

「はぁ……頑張って下さい」

「頑張って下さいでは有りませんわ。貴方も手伝って下さいまし。

 手始めにスライムを100匹ほど、明日捕まえて持って来て下さいまし」


 頼みましたわよとヘルシングは意気揚々と自分の世界に入ってしまった。しょうが無いので明日、スライムを大量に捕まえるか。

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