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血ぃすーたろかー14回目

 結局、その日は夕方になるまでずっと地下でゴブリンを燃やしていた。此処より深い階層は錫冒険者を連れて入ってはいけないと言う事で案内して貰えなかったので、結局、所謂初心者階層の端から端までをゴブリンとスライム狙いで駆けずり回り、概ね一掃した。

 ただし、ゴブリンやスライムと言った生物は階層から一掃しても1日経てば現状復帰しているらしいのでどっから出て来て言うのかとか未だによく分からないらしい。

 で、日が暮れてから俺達はギルドに戻る。


「え~っと……

 取り敢えず、全員青銅ランクに昇格おめでとう御座います。青銅パーティーの皆様はこれで銅パーティーに昇格致しました」


 御目出度う御座いますとギルド長が告げた。

 冒険者の証を書き換えるのでそれを貸してくれと言われたのでゲイリーに渡すよう告げる。無くすといけないから全員まとめてゲイリーに預けたのだ。


「あの、証は出来れば個人で管理して欲しいのですが……」


 それは身分証にも成っておりますし、とはギルド長の弁。

 対してヘルシングは我々に仕える使用人は我々の保有している物であり、要は動くタンスに入れている様なものだから、個人で管理していると言っても過言ではないわ、と中世の貴族感爆発な発言を平然と宣い、ギルド長を黙らせた。パネェ。

 ノンナがゲイリーに向かってアンタ、タンスだって!と笑いながら告げた。


「取り敢えず、能力の操作や使い方は分かったので明日からは研究を致しましょう!」


 そして、液体金属製ターミネーターならぬ、スライム製ターミネーターを3体従えたヘルシングは興奮気味に告げる。スライム、魔物を使役して連れ回してはいけないと言う決まりはないのでこうやって連れている。もう、本当に人型に成ってるんだから凄い。ガラス製の等身大人形を見てる感じだ。格好は我々と同じ軍服を着たのっぺら坊であるがね。

 別に良いけどね。


「では、帰るぞ」


 また近い内に、そう挨拶してゲイリーとトーキン二人を連れてギルドの外に。


「明日は名城で会おう」

「め、めーじょーですか?」

「名古屋城跡地に建っている学校だ。名城学校。名城大学と言う学校があったがあれは大学でもない。

 名城学校、いや、名城学園か?」


 なんでも良い。

 多脚装甲車に乗り込んで移動。学校の敷地にレッツゴーだ。



◇◆◇



 翌日、朝起きると既にヘルシングは居らず拡張現実の壁に《スライムの研究をするので先に出ています》と描いてあった。ノンナは武器弾薬製造機を弄って何かを作っている。


「んぁ~……

 朝っぱらから何作ってるんだお前?」

「機関銃!」

「はぁ?」


 機関銃よ!と言われたが、機関銃は知ってるよ。俺は何故、機関銃を作ってるのか?と聞いているのだ。どんな機関銃を作ってるのかと聞いたら、11式機関銃とか言う奴を作っているらしい。口径は6.5mmで自衛隊、ノンナの時代では陸軍か。陸軍の使用している小銃と同じ弾薬を使え、マガジンを使うことで装弾数は減るが迅速な弾薬補給ができるそうだ。

 他にもベルト給弾式も同じ装弾口を共通して使えるので余分なパーツを付けて故障する可能性や前線での迅速な弾薬装填が可能になる優れものとかなんとかノンナがまるで自分が開発したかのように語ってくれた。

 重量は6kgで、二脚を付けないで撃つ際は600mで二脚を付ければ1200mまで弾を届かせることができるそうだ。日本製の光学サイト、スコープを乗っければ狙撃銃レベルの高いの命中弾を出せるそうだ。


「これなら狙わなくても良いから問題無いわ!」


 機関銃は弾をバラ撒いて敵を制圧する銃だから狙って撃たないでよいそうだ。勿論、俺達の後ろから絶対に撃つなと言っておいた。死なないとはいえ、痛いのは勘弁して欲しい。


「でも、こんなの弾丸足らなくね?」

「我軍も其処が課題に成ってたわ!」


 何かもう、ノンナが日本軍代表みたいに成ってるぞ。


「で、アホな技術者がだったら撃った側から作ればいいんじゃない!って事で背負えるタイプの弾薬製造器を考えたのよ!」

「……結果は?」

「重過ぎて人じゃ持てなかったわ」


 装備全体の重量は70kg近くあるそうだ。また、体積も大きくなり結局、パワードスーツで背負って使うのを前提、伏せたりするのもほぼ不可能。だから、パワードスーツに防弾装備を載せた特殊装備兵としての運用を予定していたらしいが、まぁ、そんなアホな装備作って全軍に配備するとなるとかなりの費用になる。

 なので、結局試作を数個作って終わったそうだ。


「意味ねーじゃん」

「だけど、このマシーンにその装置の設計図が入ってたのよ。作成から完成まで1ヶ月掛かるけど」

「ふーん。

 まさかとは思うけど、作ってないよな?」


 俺の言葉にノンナは何故か満面の笑みで作ってるに決まってるわよ!安心しなさい!と告げた。アホだコイツ。まぁ、一ヶ月後に出来た所で何をするでもないから良いか。


「つーか、お前!

 その材料どこから持って来た!?」

「外に一杯あったわ!」


 慌てて外に出ると、トーキン達教員やら何やらの胸像が一切合切全て無くなっており、トーキンを含めた数人の教員が大慌てしていた。犯人を探せだの何だのと騒いでいた。うん、胸像は材料じゃねぇ!

 中に戻ってノンナにげんこつを一発落とす。しかし、俺の拳の方が痛かった。急いで服と装備を作る装置で周囲の景色を取り込んで自動的に最適な迷彩に変わるローブというかマントというかを無くなった胸像分だけ作った。

 因みに、上位版にほぼ透明になれる物があるが、此方は流石に色々とヤバい周囲に合わせて迷彩を変えるマントで我慢して貰う。


「喧しいぞ、土人共」


 俺の登場に騒いでいた教員や生徒会っぽい組織の生徒達は皆深々と頭を下げる。


「何を騒いでいる」

「は、はい。実は、此処にあった胸像が……」


 ゲイリーが俺に事情を説明した。まぁ、原因も知ってるんだけどね。


「ああ、あれか」


 俺の言葉にトーキン達が少し安堵した様子だった。


「ど、どちらにあるのかご存知なのでしょうか?」

「当たり前だ。

 ヒラコーの奴が、新兵器の材料にしてしまってな。詫びとして、このマントをやる」


 トーキン達に受け取れとマントを渡す。外見は地味なグレーのマントである。生地は良い物っつーか、この時代の技術じゃ作れないものなので彼等にとっては十分に凄いものである。


「トーキン、フードを被ってその場にしゃがめ」

「は、はい!」


 トーキンが言われた通りにその場にしゃがむ。すると、トーキンはワ!?と情けない声を上げ、そのままグレーが芝生の色に変わった。

 それを見た周囲の教員がおぉと歓声を上げる。そして自分達も纏って同様に蹲る。その際、やっぱり何故か全員声を上げる。俺は取り敢えず、兵員室に戻りステルスバージョンのローブを作成し、羽織る。で、起動してみると、突然、不明なデータがアクセスしてきましたとアナウンスが入り、そのままインストール完了と出る。

 透明化する際は拡張現実の右側にあるステルスモードを選択しろと簡単な説明が出たので試しに押すと俺の体が消えた。


「おぉ!スゲーな!」

「ん、ステルス迷彩ね!

 一部のエリート狙撃部隊にしか配備されてない装備よ!それは狙撃兵用の奴ね」

「お前知ってるのか?」

「当たり前じゃない。

 後は服のように着る奴もあるけど、あっちは何か宇宙飛行士みたいになるわ」


 試しに探してみると作成に3日掛かるが確かにあった。全身スーツみたいなもので専用のヘルメットも被るそうだ。


「でも、ソッチの方が便利よ」

「だろうな」


 取り敢えず、それを纏って外に戻る。と全員、あっちこっちに散らばって遊んでいた。

 あと、俺達にはそういう偽装を見破るためのデータもインストールされているらしくそこかしこに輪郭が出てるので目立つ。


「こ、このような物を頂いても本当によろしいので?」

「ああ、その程度の物だ。勿論、それを悪事に使うようならば私が直々に殺しに行くからな」

「そんな!とんでもない!」


 トーキンがご満悦という顔で言うので俺が懐から例の拳銃をチラ見せするとブンブンと首を横に振った。

 で、そんな事をやっていると向こうからリヤカーを引いたモラシーとメメを連れたストーカーがやって来る。リヤカーの後ろには大量の鎧やら剣やら。どれも潰れたり折れたりしていた。


「ツェペシュ様!

 おはようございます」

「うむ。それらは?」

「ええ、ヒラコーが大量の鉄を所望したのでトーキン学長に尋ねたらあれを下さいまして」


 ……その鉄分はもう間に合ってるよと教え、無くなった胸像達を指差した。ストーカー君は額に手を当ててアレほどダメだといったのにと溜息を吐いた。

 あ、やっぱりちゃんと注意したんだね。注意した所でそれが聞かれていなければ意味が無い。ノンナは聞いていなかったのだろう。


「まぁ、その鉄屑は貰っておけ。

 それと、ノンナの監視を頼むぞ」

「ええ、頑張ります」


 ストーカーはノンナちゃん!と声を上げながら兵員室に入っていく。ゲイリーにヘルシングは何処か?と尋ねると実験棟に篭って大量のポーションや謎の道具と共に何かをやっておりますと実験棟らしき建物を指差された。

 後で行ってみるか。


「あの、ツェペシュ様。私、この後授業が有りまして……」

「うむ。ノンナとストーカーはここにいるであろう。

 私はこの学校をブラブラとしている。貴様は教師としての責務を果たせ」


 ゲイリーはありがとうございますと告げて去って行った。他の教員達もそろそろ授業じゃ!と大慌てで俺に一礼して去って行った。


「私も授業があるので失礼します」


 支度してねぇ!とトーキンも走って去って行った。お前ら、マントで遊んでる暇あったら準備とかにさっさと戻れよ……

 俺はマントをかっこ良く翻して校内に。授業が始まると校内は大分静かになる。

 カツンカツン俺の履いているブーツが大理石を蹴る音がやたら響き、まぁ、良いか。暫くカツカツやっていると何処からとも無く何やら声が聞こえて来る。足を止め耳を澄ませると、何やらジャブジャブと何かを洗う音がするではないか。

 授業が始まったのに洗濯?何て思って学校で何を洗っているのか気になって出来るだけ足音を消して歩いて行く。

 音は何やら手洗い場のような場所から聞こえるではないか。昨日のいじめられっ子、ニーニャだかニャーニャだかという少女が何やら服を懸命にゴシゴシやっている。


「何をしている、土人」


 通訳が居ないのでほぼ100%翻訳可能になった拡張現実にインストールした翻訳ソフト起動して話しかけた。


「ひゃぁ?!」


 いじめられっ子は素っ頓狂な声を上げて洗っていたものをバチャンと落としながら慌てて振り返った。


「っ!ツェペシュ様!?

 な、何故このような場所に」

「貴様、質問に質問で返せとこの学校で教わったのか?

 もし、そうであるならばそう教えた教師の名を言え。そうでないのであれば、私の質問にだけ答えろ」


 声を低く如何にも不機嫌ですという感じで告げる。するといじめられっ子は申し訳ありませんと謝り洗濯をして居ましたと告げる。

 コイツはアホなのか?


「何故、洗濯をしている。

 私の認識が正しければ今は授業中、貴様の課題は洗濯か?」

「い、いえ、違います……」


 えっと、その、と言い澱むいじめられっ子。まさか、昨日の今日でまだいじめられているのか?


「何だ。まだ貴様はいじめられているのか土人」


 俺の言葉にビクンといじめられっ子が震える。ビンゴでーす。


「図星か、土人。

 誰にやられた?」

「わ、分かりません」

「検討は?」

「……」

「ふむ。昨日のアホ共か。

 よし、暇潰しの戯れだ。あのアホ共を見せしめにしてやろう」


 いじめられっ子を脇に抱えて颯爽と多脚装甲車に戻る。兵員室ではノンナとストーカーが二人でチェスをやっていた。


「お?人攫いか?」

「ちげーよ、お前ぶっ飛ばすぞ。

 昨日のいじめられっ子がまだいじめられてるから相当キツいのをやってやることにした」

「お!私もやるぞ!」

「因みに、何をやられたの?」


 俺はいじめられっ子が後生大事に抱えている濡れぼそった服を広げてみせると、何と書いてあるのか分からんが何か大きく文字が書いてある。服は、ピンク色のワンピースのような服だ。また全体的に破れていたり焦げていたりしている。無理矢理外部から力を加えて破ったり、ナイフの様な刃物で切ったり、ろうそくで炙ったような、そんな跡が全体に広がっている。

 これは酷い。


「何の服だこれは?」

「わ、私の私服です。

 お母さんが誕生日プレゼントにって縫ってくれた物です……」


 少女はもう着れなくちゃった居ましたけどと涙を浮かべて無理矢理に笑っていた。

 俺はノンナにそれを渡すと、ノンナは無言でカプセルに放り込み、洗濯をする。何で書いたのか知らんが、ナノマシンを汚れに入り込ませて洗濯をする最新鋭と言うべきか超旧式と言うべきか3千年前のカプセルにかかればチョチョイのチョイである。

 わずか1分ほどで服は綺麗になり、新品同様だった。


「よし!

 この大切な服をこんな事にした連中をとっちめてやるわよ!」


 ノンナはそう言うとスレッジハンマーを背負って立ち上がる。ストーカーも少女に大丈夫だよと告げて拳銃をぶら下げた。

 俺はその服を綺麗に広げてカプセルに入れ、ナノマシンに修復するように命じてから外に出る。

 外に出るとノンナが腕をぐるぐる回して準備運動をしていた。


「何処の誰がやったのか検討は付いているそうだ」

「誰がやったの?」


 ノンナがいじめられっ子に尋ねる。


「……多分、昨日の子達です」

「分かったわ!」


 ノンナはそう言うと校舎に向かって歩き出す。俺達もその後に続いて、校舎に向かう。校舎の前に来るとノンナは少女に振り返った。


「そのバカ共は何処の教室にいるのよ」


 いじめられっ子はえっとと校舎を見上げ、彼処の教室ですと最上階に近い所にある教室を指差した。ノンナは分かったわ!と頷くとそのまま校舎の壁を垂直に歩いて行く。俺もストーカーもそのまま後に続く。少女だけは壁を垂直に歩行出来無いので、俺が脇に抱えてやった。

 で、ノンナは件の教室の窓まで来ると、そのまま窓を蹴り破ってエクストリーム入室。突然の乱入者に教室中、まるで凍り付けにしたように静まり返った上で動かなくなる。

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