第一章 辺境都市カルケス 第二話
投稿遅れてすみません。
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途中からメテアちゃんの回想になります。
俺は、大分落ち着いてきた女騎士に問いかけた。
「俺はレン、旅人だ。君の名前は?」
「わ、私はエルランデ王国カルケス辺境伯に仕える、メテアです。カルケル騎士団に所属しています!」
……そういえば、『鑑定』使えば名前とか聞かなくてもよかった気がする。まぁでも、聞かないで名前呼ぶのは怪しまれるか。
しかし、騎士団とか……やっぱりあるんだな。
きっとゴツいおっさんが団長とかしてんだろう。
……魔物といい、騎士団といい……この世界が本当にファンタジー世界だと言う事を確信したな。
「メテアか、いい名前だ。
しかし、なんでグレートハンターウルフ? どもに襲われてたんだ?」
そう聞くと、メテアは暗い顔をして少しづつ話し始めた。
「私は、今日が初任務でカルケス辺境伯公女、サリア・カルケスお嬢様の護衛をすることになったんです。護衛の詳細は、大草原東部にあるカルケスの森と呼ばれるカルケス家が代々守ってきた森があるのですが、カルケス家に生まれた女性は十六歳になるとカルケスの森でこの土地に住んでいる精霊様に祈りを捧げなければならないのです」
ふーん、儀式って訳か。
精霊か、会ってみたいものだな。
大体の個体が女性型らしい。しかもみんな綺麗だそうだ。
「一昨日サリアお嬢様が十六歳になられたので、カルケスの森へ行く事となりました。その護衛として私が所属するカルケル騎士団衛兵隊第五分隊が配属されたのです。
それで、森に着くまでは順調だったんです。」
ーーーーー
回想 カルケスの森
私達十五人とサリアお嬢様を乗せた馬車はカルケスの森へと入っていきました。
森の中は木々が鬱蒼と茂り、日光が入らずとても薄暗いです。
ガラガラと音を立てて、進む馬車の横を私達は騎馬から降りて歩いていました。
カルケスの森には魔物は居ないらしいので一応警戒はするものの、ただ進行方向へ進むだけの遠足のような感じになっていました。
そんな中、一人の隊員が退屈に負けたのか隣を歩いてる女騎士に話しかけました。
「おい、なんでこの森には魔物の一匹も居ないんだ?」
「さぁ、なんでかしらね? メテアは何か知ってるかしら?」
「えっ? いや、私もよくわからないです」
私がそう返すと、馬車の中からサリアお嬢様がこの森に魔物がいない理由を教えて下さいました。
「メテア、この森に魔物がいないのは精霊様が魔物除けの結界を張っているから、らしいわよ」
「そうなんですか」
なんと、精霊様が結界を張ってくださっているらしいです。
この森にいれば魔物に襲われる事も無いという訳ですね、ありがたいです。
話をしているうちに、祭壇らしきものが見えてきました。
森が開け、石造りの祭壇に太陽の光が反射して周りの水路の水がキラキラと輝きます。
なんて、綺麗で神秘的な所でしょう。此処なら精霊様が棲んでいると言われても納得がいきますね。
そんな風に私が、いや他の隊員もですね。物思いにふけっていると、隊長と副隊長が馬車から降りてきました。
「おい、お前等。芸術鑑賞はもう終わりだ。サリアお嬢様を降ろす。お前等は、周囲の警戒だ。副隊長! 指揮を執れ」
「へいへい。ったく、早く終わらして自宅で酒を飲みたいぜ」
「うるせぇ。この飲兵衛が! ちゃんと仕事しろよ」
副隊長はこんな感じですが、一騎だけでゴブリンの集落を滅ぼしたことも有るすごい人なんです。
ですが普段は仕事サボって自宅で酒盛りをするのが好きで他の隊の人達には、副隊長の事を酔っ払いのヘボ副隊長などと言われています。
「……はぁ、お前等持ち場に着け。警戒するぞ〜」
『『了解!!』』
魔物が居ないのはわかっているのですが、警戒だけはしておきます。
サリアお嬢様が馬車から降りて私達に、労いの言葉を掛けて下さりました。
「皆さん。お疲れ様です。引き続き周囲の警戒をよろしくお願いします」
「いえいえ、勿体無き御言葉です。この衛兵隊第五分隊隊長率いる我らが必ず此処をお守りいたします。
お前等、持ち場に……」
そんな時です。あり得ないことが起こりました。
『グググ、グガァ! グルアアアアアァァアァ!』
「あ?」
突然、何かの鳴き声が上がり一番後ろにいた隊員の首が宙を飛びました。
「きゃあああああぁ!」
「え? えっ?」
「なんだ!? なんでポールの首が飛んだ!?」
突然の事で皆、何が起こったのか分からず動揺していると、隊長が怒鳴りました。
「冷静になれ! あの鳴き声はウルフ系の魔獣だ!
適切に対処すれば問題無く倒せる。
いや、アレはグレートハンターウルフ!? まずいぞ、
俺はお嬢様を馬車に乗せに行く。副隊長! アレはやばい。全力で殺せ! 任せたぞ!」
隊長はサリアお嬢様を連れ、馬車に向かい走って行きました。
あのグレートハンターウルフと言われたウルフ系の魔獣は殺した隊員、ポールさんをグチャグチャと音を立てて食べていました。
「了解。お前等、仲間の体を食い散らかしてやがるあいつを殺すために、いつでも発技を使えるようにしておけ。魔法が使える奴は俺の合図とともに奴の足を狙え」
『『了解!』』
「あぁ。ポールの仇だ! 最大火力でぶっ殺してやる!」
「熱くなるな。俺が指示するまで何もするなよ。
魔法攻撃行くぞ。
……三、二、一。今だ、撃て!」
「『火の槍よ敵を穿て。ファイアーランス』!」
「『風よ刃よ切り刻め。エアロスライス』!」
二人の隊員がグレートハンターウルフの足元へ魔法を放ちました。
グレートハンターウルフは食事に夢中で魔法が迫っているのに避けません。
火炎の槍がグレートハンターウルフの足を貫き固定し、風の刃が足の筋を切り刻みます。
魔法を弾く毛皮を持つと言われるグレートハンターウルフでも、ピンポイントに魔法を放つと有効打となりえます。
この攻撃により、グレートハンターウルフに隙が生まれました。
「ガァ? グガァアアアァァ!」
「隙が出来たぞ、今だ! 発技を叩き込め!」
『『了解!』』
「『スラッシュ』!」
「『五月雨突き』!」
「『ヴォーパルトラスト』!」
副隊長の指示のもと、グレートハンターウルフに三人が発技を放ちました。
斬撃を飛ばすスラッシュと、高速で突きを何回も繰り出す五月雨突き。一点集中で突きを放つヴォーパルトラスト。
どれも初級の発技の中では強力な部類の物です。
それ等が一斉に巨体に当たりました。
いくらグレートハンターウルフでも、これらの発技をまともに受ければ倒れるでしょう。
「ギャァ!? グガァアアァ!」
攻撃を受けたグレートハンターウルフは、絶叫を上げて動かなくなりました。
私達の勝利です!
「やったぜ! ハッハッ、どうだこのオオカミ!」
「ポールの仇を取ったぞ!」
「やりましたね! 皆さん、副隊長!」
「……あぁ、そうだな」
グレートハンターウルフを倒したのに、副隊長は
何やら難しい事を考えている様子です。
私は、そんな副隊長に声をかけました。
「……副隊長、どうかされたのですか? 顔がこわいですよ。」
「あぁ? あぁ、いや、ちょっと考え事をな。
……そうだな。皆、聞いてくれ。今倒したグレートハンターウルフなんだが、群れで生活する魔獣なんだ」
「えぇッ! まさか、他にもこの森にいるって事ですか?」
「……その可能性が高いな」
「そんな!」
「嘘だろ?」
副隊長の衝撃的な発言により、隊員の士気は著しく下がりました。
そんな中、隊長とサリアお嬢様が向かった先からグレートハンターウルフの遠吠えが聞こえました。
「っ! またか!?」
「おい、隊長達が向かった方から聞こえなかったか?」
「ま、まさか襲われてる?」
「まずいな。全員、攻撃態勢を整えろ」
「よし、おめぇら。武器を構えろ!」
「皆さん、サリアお嬢様達を助けに行きましょう!」
「……いいか、いくらでかくても、ちゃんと対処すれば勝てる。行くぞ!」
『『了解』』
私達は急いで馬車に向かいました。
そこには、馬車に寄り掛かる隊長の姿が見えました。
「隊長!大丈夫ですか!」
「……大丈夫なように見えるか?」
「……」
周りを見るとグレートハンターウルフの死体が三体転がっていました。
「これはすごい」
「はッ! お陰で不味いポーション飲む羽目になったがな」
「で、隊長。ちょっと不味いです。この森に魔物が出るってのは初めての事ですよ。しかも、グレートハンターウルフと来た」
「あぁ。安全のために一旦カルケスに帰った方がいいな。儀式の護衛は第一騎士団にでも頼もう」
イレギュラーの為、一旦カルケルに帰還する事になりました。……殉職したポールさんを回収する事は出来ませんでした。
「お嬢様、という訳でですね。儀式を延期しましょう」
「えぇ、それがいいわね。……まさかカルケスの森に魔物が出るなんて」
「では、出発します。お前等、馬車を囲むように陣形を取りながら走れ!」
私達は一人の仲間を失い、カルケスの森を出ました。
今作の魔物の説明。
魔王が作ったとか、神の怒りに触れて魔物になったとか諸説ある。
実際は生物(稀に無機物)が膨大な魔力を取り込んでしまった成れの果て。
基本的に魔獣、魔法生物、魔人の三種に分けられる。
魔術で意図的に魔物を作ることもできる。
召喚魔法で召喚し使役することもできる。
ウルフなど獣系は魔獣。
スライムやゴーレムなど軟体動物や無機物、霊体は魔法生物。
ゴブリンやオークなどの人型は魔人。
特殊な場合、魔王が創ることも無いわけではない。三滅神の分身の魔王の場合のみ可能。
三滅神の説明はまた今度で。




