序章 第四話
天照大御神様と別れ、ミーリア神と二人だけになった。
「じゃあ、私の世界の事を教えるわね」
想像以上にミーリア神の説明が丁寧で長かったので、大事な部分だけ紹介する。
まず、アーシュテルとは、天界、魔界、人間界、精霊界の四つの空間に世界に分かれていて、それぞれ、天使や神、悪魔や知性ある魔物、人間や亜人(獣人・魔族を含む)、精霊や霊獣などが住んでいるそうだ。
次にアーシュテルには、ステータスがある。
まぁわかるとは思うが、説明しよう。
まずレベルだ。
レベルとは、何か作業をして経験を溜めることによってレベルが上がる。これにより、身体ステータスが上がる。
次は、身体ステータス。まぁ、HPだとか、MP、攻撃力などの数値だ。
最後にスキルだ、スキルは、パッシブスキルとアクティブスキル、他にも魔法スキルや特殊スキルがあるらしい。
まぁ他にも、称号や、加護なんかも有るとか。
物凄く熱心に語るから、
これらの説明を聞くのに三時間近く使ってしまった。
「ーーで、貴方には、アーシュテルでは、何でも好きにして構わないわ。まぁ度が過ぎれば怒るけど」
人類虐殺とかかな?
なぁに。俺は面白おかしく異世界を旅するだけだ。
……そんな虐殺なんてしないと思う。
「わかりました」
「じゃあ、スキルを付与するわよ。あれ? 貴方、もうスキル持ってるわね。けど、封印されてる。なんでかしら?
まぁいいわ。どんなスキルがいい?」
俺がもうスキルを持っていた? ま、持ってたとしても、スキルつけてくれるみたいだし、いいか。
そうだな、これからの人生を左右するスキルだ、どんなのが良いかな?
強くて、応用が利いて……そうだ! スキル強奪とかもしたいな!
まぁ、そんなにうまい話はなさそうだけどね。
駄目元で聞いて見るか。
「スキル強奪とかってありますか?」
「あるわよ。まさに貴方が元々持っているスキルがそれよ。えっとね。君は、悪魔憑きってやつでね。まぁ、発現してなかったけど。ちょっと不幸な事が多かったんじゃ無いかしら? それで、憑いてる悪魔がベルゼブブっていう奴でね。そいつは暴食の罪を司る、七大罪の悪魔の中でも一、二を争う位の強力な悪魔。だけど何百年も前に自分で自分を封印したらしいわ。それが、なんで貴方についてるのかしらね?」
俺のスキルすげぇ!
ふーん、しかしベルゼブブねぇハエの王って所か?
俺、ハエ嫌いなんだよね。
「で、そいつが憑いてるおかげであなたは、
『暴食』ってユニークスキルが元々付いてて、適正のあるスキルは、「悪食」と「スキルホルダー」あと、「魔食み」ね」
聞く限りだと名前的にあんまり強そうじゃ無いな。
「強いんですか?」
「強いと思うわよ。何万というスキルがあるのにいちいちスキルの効果を覚えれるわけが無いじゃないの。じゃあ、全部アクティベートしておくわね」
確かにね。でも貴方、神様でしょ?
でも適正があるの全部つけてくれたのはありがたいな「悪食」と「スキルホルダー」は何となくわかるけど、「魔食み」って何だ?
そんなことを考えていると、ミーリア神がウインドウらしきものを開き声に出して読み始めた。
「えーっとね、『暴食』は、「悪食」で吸収した対象のスキルや、ステータス、経験値とかを自分の物にするスキル。あとは、文字化けとか???でよくわかんないわ。
次行くわね。「悪食」は経験値やスキルなどを吸収するスキルで、「スキルホルダー」が、吸収したスキルを保存するって感じ」
なるほど。『暴食』と「悪食」のコンボで、スキル強奪、ステータス吸収、経験値吸収。なかなかのチートスキルだ。正直、負ける気がしないな。
しかし、文字化けとか???って何だ?
少し不安が残るが、わからないものはしょうがないか。
で、スキルホルダーは大量のスキルを保存できるに違いない。
「最後に「魔食み」は、魔法や、魔術、魔力などを吸収するスキルね。全く、とんだチートスキルだわ」
全くだよ。強そうじゃ無いとか、思ってすみませんでした! スキル様!
「そうね。じゃあ、ストレージと鑑定眼をチートスキルとしてつけとくわね」
元々のスキルでもチートなのに、鑑定眼とかストレージとか、ザ・チートって感じのスキル構成になったぜ。
「ありがとうございます! これなら異世界も安心です」
そう言うと。ミーリア神は、ふふっと笑い俺を見て言った。
「一応、食料やアーシュテルの通貨、武器や服は、あっちに着いたら、ストレージに入れるわね。なにかあったりしたら、ちょくちょく夢の中に入ったりするかもしれないわ」
ふーん。夢に入られる様な事ないといいな。めんどくさそうだし。
だが、建前は大事だ。
「わかりました。いろいろとして貰ってありがとうございました。何か俺が出来る事がありましたら、何でも言ってください!」
「ふふっ、ありがとう。じゃ、あとは細かい設定ね。
年齢は同じでいいかしら?」
年齢も変えられるのか。変える必要も無いしこのままでいいかな?いや、若ければ若い程アーシュテルを楽しめる。
十五歳にするか。十五歳はいいものだよ。夢が沢山あったものだ。
たった二年でいろいろと変わるからね。
「十五才からで」
「本当に十五才でいいのね?」
「えぇ。ちょうど体が出来始める頃ですし、修行とかすれば強くなりやすいかもしれないし」
「わかったわ。たしかに成長期で修行すると、ステータスやLvが上がるほどではないけどステータスは高くなるわ。
年齢は十五歳で決定と。
他には髪とか瞳の色とかは、結構変えれるわよ」
変えれるのか。アニメとか見てて、銀髪とか憧れたな。
だけど、この髪や目の色に愛着みたいのが出来てるしね。
「え〜と。髪や瞳は、変えなくていいです。以上でお願いします」
「わかったわ。じゃあ、此処で一回お別れね。
我が世界アーシュテルへ、行ってらっしゃい。
また、会えるのを楽しみにしているわね、
『緋宮 煉を我がアーシュテルへ転生』」
ミーリア神は、微笑み手を俺にかざして、呪文のような物を呟いた。
すると。俺の下に魔法陣が現れ、光が溢れ出した。
ここから、俺の新しい人生が始まるのか。
どうせなら好きな様に生きよう。
世界最強とか、良くないか?
……そうだな。それが良い。
俺は、アーシュテルで最強に成ることを閃光に包まれながら決めた。