第一章 辺境都市カルケル 第二十話
投稿を5ヶ月も間を空けてしまいました……ごめんなさいッ!
次回も少し遅れるかもです……すみません……。
今回でゴブリンキング戦が終了します。
俺は、急いで吸魔の大剣と吸精の大剣を拾い離れる。
ゴブリンキングの身体はさっきより二回りほど膨張し、赤いオーラ……というか、濃密な怒りの色の魔力が迸る。
(今、攻撃するのはなんかヤバそうな予感がするし……。俺はどうすりゃ良いんだ?)
そう考えていると魔力が回復したベルゼブブが現れた。
「レン君、魔力が大分回復したから戻ったよって……ゴブリンキングが鬼化してる!?」
「鬼化ってなんだよ。ヤバいやつか?」
「うん……結構ヤバいやつだよ。鑑定すればわかるけど鬼化すると一時的にステータスが、バカみたいに上がるんだよ。それに痛みに対しての耐性……というか、痛みを感じにくく成るんだ」
(なるほど……それはすげぇ厄介だな。
キングのステータスを確認し直さないとな……)
「『鑑定』!」
ーーーーーー
ゴブリンキング
称号
緑鬼の王
魔王の素質
状態:鬼化
Lv45
体力23580
魔力16809
知力1380
筋力25803
敏捷19960
スキル
棍棒術Lv1
大剣術Lv1
剣術Lv1
鬼化Lv1
指揮Lv1
剛力Lv1
覇気Lv1
身体強化Lv1
腕力強化Lv1
魔王の素質Lv--
ーーーーーー
(……なんだと!? ゴブリンキングのステータスが一万超えてる。鬼化強すぎだろ……)
鑑定を見ているとふと、ある事に気付いた。
(そういえば、スキル喰らった後鑑定したの初めてだけど、喰らったスキルって対象から完全に消えると思っていたらスキルLvが1になるだけなんだな……。まぁLv1とは言っても熟練度とかもリセットされると思うんだけど、そこんとこ本当はどうなるんだろうな)
「ベルゼブブ。あいつのステータス一万超えだ。体力と筋力に関しては二万に入ってる」
「……今の僕達だとちょっとキツイかな〜なんて。どうしよ?」
(どうしよ? って言われてもなぁ……。
って、俺さっきゴブリンキングから鬼化喰らったような。って事は……俺も鬼化使えるってことだよな?)
「なぁベルゼブブ。さっき鬼化Lv1を喰ったんだ。
俺が鬼化すればあいつに勝てるんじゃないかな?」
そうベルゼブブに提案する。
「……レン君。確かに鬼化したら勝てるかもしれないけど、鬼化は一種の暴走だから気を付けないと人格が変わったり、最悪の場合、精神崩壊したりするからね。鬼化を使うならちゃんと注意して意思を持って使わないと駄目だよ。理性とか塗り潰されるらしいから。そういう点から鬼化は使わないで欲しいけど……」
鬼化を発動すると、物凄い破壊衝動に駆られたり、誰かを滅茶苦茶にしてやりたいという獣欲や殺人衝動などの黒い感情が暴走して、周囲に危害をもたらすらしい。
俺もそうはなりたくないしな……。けど。
「大丈夫だよ。意志をしっかりと持つと……わかった。
じゃあ、俺が鬼化するからベルゼブブはアシストしてくれ」
「はぁ、やっぱり。……わかったよ。任せて」
「良し……。じゃあ行くぞ……『鬼化』っ!」
スキルを発動する。すると、俺の頭の中が真っ黒に塗り潰されて行く……
「うっ!? う、うう、ウガアアアアアアアア!」
鬼化を使ってみて最初に感じたことは何に対してなのか、解らない怒りが込み上げてくるという物だった。そして、目の前にある物全てを壊してやりたいという破壊衝動。
(くっ! ……確かにこれは危険なスキルだな。今にも、隣にいるベルゼブブを犯して、壊して、殺し……あぁっ!)
『精神汚染耐性Lv1を習得しました。』
『精神汚染耐性がLv4に上がりました。』
(グうぅ……激しい怒りの中、丁度、勝手のいいスキルを習得したぞ。ナイスタイミングだ!)
「アァァァァァアッ! はぁっ、はぁっ。
け、結構っていうか、滅茶苦茶やばいな……今習得出来た精神汚染耐性が無かったらどうなってたか……これは、制御するのが大変だぜ」
「レン君、キツかったら止めたほうがいいと思うんだけど……」
ベルゼブブが心配してくれるが、どうにかなりそうなので断る。
「だ、大丈夫だよ……ふぅ。真っ黒な怒りと破壊衝動……とかが頭を支配しそうになったけど、精神汚染耐性Lv4が仕事をしてくれてるから、まだまだ余裕がある」
「精神汚染耐性を今、習得してLv4に上がった!?本当に君は規格外だね……でも、本当に大丈夫なのかい」
「あぁ大丈夫、問題無いよ。……取り敢えず強くなったか確かめるよ。『鑑定』」
ーーーーーー
名前:レン=アカミヤ(緋宮 煉)
種族:ヒューマン
LV:12
職業:Fランク冒険者
状態:鬼化(00:30:00)
加護: 八岐大蛇の加護
天照大御神の加護
創造神ミーリアの祝福
邪神ラルヴァの加護
暴食の王ベルゼブブの加護
称号:暴食の王
悪食
異世界人
神に誘われし者
従魔:暴食の王ベルゼブブ
体力:18560 (+10580)
魔力:10660 (+9980)
知力:1052 (+0)
筋力:23659 (+16850)
敏捷:13119 (+9869)
幸運:42
ユニークスキル
暴食Lv--
魔王Lv--
鑑定Lv--
ストレージLv--
神蝕Lv--
吸収保存Lv--
スキルホルダーLv--
アクティブスキル
悪食Lv10
魔食みLv10
剣術Lv8
弓術Lv5
咆哮Lv4
索敵Lv4
追跡Lv3
魔爪Lv3
嗅覚集中Lv4
窃盗Lv2
暴行術Lv2
格闘術Lv4
体術Lv2
短剣術Lv5
棍棒術Lv5
棒術Lv3
盾術Lv3
回避術Lv1
剥ぎ取りLv2
双剣術Lv1
槍術Lv5
爆発物作成Lv2
爆弾槍投擲Lv2
大剣術Lv5
指揮Lv3
威圧Lv3
鬼化Lv1
剛力Lv2
覇気Lv1
魔法スキル
火属性魔法Lv5
水属性魔法Lv2
パッシブスキル
身体強化Lv10
腕力強化Lv4
魔法効率強化Lv1
魔法耐性Lv1
脚力強化Lv3
視力強化Lv4
聴力強化Lv2
魔法威力強化Lv1
危険察知Lv1
衝撃耐性Lv1
武術対応Lv1
スキルホルダー
身体強化Lv1
身体強化Lv2
身体強化Lv4
身体強化Lv3
身体強化Lv3
ステータスストレージ
体力17700
魔力8993
知力6643
筋力15108
俊敏17137
ーーーーーー
……ステータスがぶっ壊れてる。
なんだよこれ……鬼化はかなりのチートスキルだな。で、この括弧は三十分しか使えないって事か? 多分スキルLvが上がっていけば制限時間も延びるんだろうけど。ゴブリンキングにこの表示が無かったのは、よく分からないが。
で、鬼化しても精神汚染耐性が高ければなんのデメリットも無しで強くなれるわけか。
「ベルゼブブ! 鬼化は半端なく強いぞ。ステータスが約一万ずつ強化されてる……これなら今のゴブリンキングに勝てるかもしれない!」
「一万ずつ!? そんなに強化されちゃうか……」
鬼化によるステータス強化に流石のベルゼブブも驚いている。
(そりゃそうだ。鬼化しただけでこんなにステータスが上がるなんて。上がったとしても精々5000いくかいかないかだろ。それが約1万だぞ?)
「レン君。君のステータスウインドウ見させて! 何か使えるスキルが有るかも!」
「え? あぁ、わかった。ほらっ」
ベルゼブブにステータスを見せる。
「う〜ん? スキルの欄が見辛いな……レン君。ステータスウインドウのスキル欄は自分で整理できるんだよ?」
「そうなのか……初めて知ったよ。てか、知ってる筈ないだろ? 誰にも教えて貰ってないし。まぁ、確かにスキル欄見づらかったんだよな……」
暴れるゴブリンキングをそのままにベルゼブブにスキル欄の整理方法を教えてもらう。
「どうやって整理するんだ?」
「ん〜。ゴブリンキングそっちのけになってる事に対して思う事があるんだけど……まぁいいか。
整理の仕方は簡単だよ。スキルを整理することを考えながらステータスウインドウを開く。それだけだよ」
「そんなに簡単なら知らずにやってそうだけど……いや、確かに今までステータスを開く前に整理の事を考えた事なかったな……」
整理する事を考えてステータスを開く。
ブォンッ! と音を立てながらステータスウインドウが開いた。
ーーーーーー
名前:レン=アカミヤ(緋宮 煉)
種族:ヒューマン
LV:12
職業:Fランク冒険者
状態:鬼化(00:30:00)
加護:八岐大蛇の加護
天照大御神の加護
創造神ミーリアの祝福
邪神ラルヴァの加護
暴食の王ベルゼブブの加護
称号:暴食の王
悪食
異世界人
神に誘われし者
従魔:暴食の王ベルゼブブ
体力:18560 (+10580)
魔力:10660 (+9980)
知力:1052 (+0)
筋力:23659 (+16850)
敏捷:13119 (+9869)
幸運:42
ユニークスキル
暴食Lv--
魔王Lv--
鑑定Lv--
神蝕Lv--
吸収保存Lv--
ストレージLv--
スキルホルダーLv--
アクティブスキル
・武術系スキル
剣術Lv8 短剣術Lv5 双剣術Lv1
大剣術Lv5 槍術Lv5 棍棒術Lv5
棒術Lv3 弓術Lv5 暴行術Lv2
格闘術Lv4 体術Lv2 盾術Lv3
回避術Lv1
・技術系スキル
咆哮Lv4 索敵Lv4 追跡Lv3
窃盗Lv2 爆弾槍投擲Lv2
嗅覚集中Lv4 剛力Lv2
・生産系スキル
爆発物作成Lv2
剥ぎ取りLv2
・特殊系スキル
悪食Lv10 魔食みLv10 魔爪Lv3
指揮Lv3 威圧Lv3 鬼化Lv1
覇気Lv1
魔法スキル
火属性魔法Lv5
水属性魔法Lv2
パッシブスキル
・強化系
身体強化Lv10 腕力強化Lv4
脚力強化Lv3 視力強化Lv4
聴力強化Lv2 魔法効率強化Lv1
魔法威力強化Lv1
・耐性系
魔法耐性Lv1
衝撃耐性Lv1
・特殊
武術対応Lv1
危険察知Lv1
スキルホルダー
身体強化Lv4
身体強化Lv3
身体強化Lv3
身体強化Lv2
身体強化Lv1
ステータスストレージ
体力17700
魔力8993
知力6643
筋力15108
俊敏17137
ーーーーーー
「おぉ、凄い! ステータスが見やすくなってる」
「ねっ! 見やすくなったでしょう? ん〜
大剣術Lv5か……双剣術も持ってるの? なら、回収した吸魔の大剣と吸精の大剣を一緒に使ってみれば?」
「なるほど。大剣術と双剣術の兼用か……まぁ、今の俺のステータスなら両手に持てるな」
大剣術と双剣術を兼用する事によってスキルによる強化を相乗効果で増やす事ができるという訳だ。
早速、ストレージから吸魔の大剣と吸精の大剣を取り出し、装備する。
この二対の大剣は両方を装備すると攻撃力などが上がる仕組みに成っているみたいだ。
「これで良し……ベルゼブブ。用意はいいか? ゴブリンキングももう何時でもオッケーなようだぞ」
雄叫びを上げていたゴブリンキングにもはや理性は無く、近くに落ちていた木を手に取り、俺たちを睨む。いつ攻撃してくるかわからない。
「もちろんだよレン君。いつでも行けるよ」
ベルゼブブはそう言って魔力を解放する。
俺は二対の大剣を握り締める。
そんな俺たちを見て、ゴブリンキングはとうとう攻撃をして来た。同時に俺達も走り出す。
「グガァッアァァァァァア!!」
「来た……。行くぞベルゼブブっ!」
「うん。サポート任せてっ!」
ゴブリンキングが木を振りかぶり、俺達に向かい叩き付ける。
まぁ、もちろん振りかぶった時点で走り出した俺たちに当たるはずも無く、木は地面を抉り木っ端微塵に弾け飛ぶ。
キングは直ぐに手に持った木を投げ捨て、新しい木を拾い、再度俺達に振り下ろす。
木が地面に当たる度、ドゴッン! ドゴッン! と音を鳴らしながらクレーターが形成され、辺りはまるで月面のようにボコボコに成ってしまった。
「ちっ! 地形破壊とか動き辛くなって面倒くさいな……。ベルゼブブ、お前にも塵狼の剣は使えるのか?」
「もちろん使えるよ。主人のスキルはグレードダウンするけどだいたい僕も使える様になってるんだ。けど、どうして?」
「地形を破壊されるから、ゴブリンキングに近づきずらいじゃないか。そこで、砂塵操でゴブリンキングの動きを止めれないかなってな思ったんだ」
「なるほど……わかった。任せて!」
「グオオオオオオッ!」
塵狼の剣をベルゼブブに渡し、ゴブリンキングの攻撃を避ける。
ベルゼブブは、塵狼の剣を二、三回振ると、使い方を覚えたらしく、俺のお願いした通りにゴブリンキングに砂塵操を使う。
「えっ〜と。砂塵操はどうやるんだろ……うーん?
なるほど……地面に刺して、こうだね。『砂塵操・束縛』っ!」
ベルゼブブは塵狼の剣を地面に刺し、スキルを発動する。すると、砂塵で出来た頑丈で太い縄が数把作られ、その砂塵の縄は猛スピードで地面を這い、ゴブリンキングの身体に巻き付き固定する。
それでもゴブリンキングは暴れるが、まるで木の根の様にガッチリと巻き付く砂塵の縄から逃れる事ができない。
後は、叩きのめすだけ……。
「グ、グガァッ! グオオオオオオォォォオオ!」
「今だよ、レン君っ! 二人で畳み掛けるんだ!」
「あぁ。行くぞベルゼブブ本気でやれよ?」
「わかってるさ」
俺達はここぞとばかりに動きを止めたゴブリンキングに攻撃を仕掛ける。
「うおおおらあっ! 切り刻んでやる……『双剣乱舞』っ!」
「僕は魔力弾でもちまちま撃っとくよ」
俺は大剣術で強化された双剣術の発技を叩き込む。
ベルゼブブは高密度の魔力弾を何発も撃つ。
俺の振るう二振りの大剣が砂塵の縄の上からゴブリンキングの身体を切ってゆく。
そしてベルゼブブが、俺が切ったことによって拘束の穴が開いた場所に魔力弾を叩き付ける。
魔力弾が当たった場所が炸裂する。さらに、俺が切り込む。
俺とベルゼブブの息ぴったりのコンビネーションでダメージを蓄積させる。
傷口から鮮血が迸り、辺りを紅く染める。
「ギャアアアアアアアッ! グガァアァアッ!」
「そろそろ、倒れろよっ!」
確実にダメージを受けている筈なのに、一向に弱るそぶりを見せないゴブリンキングにだんだん苛立ちを覚える。
「なぁ、ベルゼブブ……本当ならこれだけダメージ与えれば鬼化したゴブリンキングでも倒せる筈だよな?」
「う〜ん。確かに変だね……鑑定してみれば?」
そう言われて鑑定をしてみるとゴブリンキングのステータスウインドウにとんでもないスキルが表示されていた。
ーーーーーー
ゴブリンキング
称号
緑鬼の王
魔王の素質
状態:鬼化
Lv45
体力20140/23580
魔力15099/16809
知力1380
筋力25803
敏捷19960
スキル
棍棒術Lv1
大剣術Lv1
剣術Lv1
鬼化Lv1
指揮Lv1
剛力Lv1
覇気Lv1
身体強化Lv1
腕力強化Lv1
魔王の素質Lv--
超回復Lv3
ーーーーーー
「……何だよっ超回復って!? しかもLv3だぁ?」
「う〜ん……僕の真理眼によると超回復はLv3で十秒に体力の3パーセントを回復するみたいだね。因みに、Lvが上がる毎に回復力が1パーセントずつ増えるみたいだよ」
って事は彼奴の体力で考えると十秒で7074回復するってことか……。
なるほどダメージを受けても倒れない訳だ。
だけど、種がスキルだと分かったらもう通用しない。
「さぁ、レン君。悪食で食べちゃおうっ!」
「あぁ。スキルが原因なら、喰らって仕舞えばいいんだろっ……。『悪食』!」
『パッシブスキル超回復Lv3を吸収しました。』
「これで後はボコるだけだ……直ぐに片付けてやるぜ……ベルゼブブ、高火力で回復される前に叩くぞ」
「おっけー。今、火属性魔法を習得したから。それと、破壊魔法の混合魔法を使うよ」
(火属性魔法を今、習得しただと!?
ベルゼブブは俺の事を規格外だと言っていたが、彼奴もぶっ飛んでる……。
どうやって習得したんだ? ……そういや、俺のスキルは使えるんだったっけ)
ベルゼブブは俺のスキルをアクティベートする事によって俺のスキルを使う事ができる。
火属性と破壊魔法の混合魔法か……えげつない破壊力だろうな。
俺は、どうするか……。
二振りの大剣を握り、少しの間考える。
「大剣二振りに魔法込めて一気に仕掛けるか……」
「その後に僕が最大火力の魔法をぶつけるよ」
「あぁ。……キングが拘束を破ったら仕掛けるぞっ!」
弱った砂塵の拘束をゴブリンキングが破こうとしている。
奴が自由になった瞬間に決める。
吸精の大剣と吸魔の大剣に魔力を流す。
さらに、俺が考えた高威力の火属性魔法の詠唱の準備をしておく。
砂塵操・束縛の効力が落ち、だんだんゴブリンキングに巻き付く拘束が崩れていき、拘束が弱まる度にゴブリンキングが暴れる。
そして遂に、その時が来た。拘束は音を立てて崩れ、辺りに砂塵が舞い視界が悪くなる。
ゴブリンキングが解放され、雄叫びを上げる。
「グアァァァァァアオオオオオオッ!」
「来たっ。今だベルゼブブ!
行くぞ……。『灼熱の業火よ。煌めく焔よ。我が剣に宿り敵を薙ぎ払え、炎纏剣』」
詠唱し終わると魔力を流していた吸精の大剣と吸魔の大剣に魔法の炎が纏わりつく。濃厚な魔力を燃料に炎が更に激しく燃え上がる。
とても熱そうだが、俺は一切熱を感じない。俺の魔法だからなのだと思う。
この魔法は付与系の魔法で、俺のオリジナル魔法だ。魔力効率はかなり悪いが滅茶苦茶な高火力が出せるという魔法なんだが、一回使うだけで俺の今の総魔力の三割が持ってかれるみたいだし、一回使うと結構なインターバルが必要になり連発が出来ないなどと、かなり使い時が限られる魔法だ。それに、俺オリジナルだとは言っても初めて使う魔法の為、この魔法に全く慣れてない。
二振りの炎纏剣で雄叫びを上げるゴブリンキングを上段から斬り掛かる。
「ガアッ!?」
業火に包まれた刀身がゴブリンキングの肉を焼き、切り裂いてゆく……が、肉を断ち切り骨に差し掛かった所で刀身が止まった。……いや、止めれた。
「グ、グガアアアアアアアアッ!」
「なっ!? 炎纏剣を止めただと……っち、不味いぞっ!」
まさか斬っている途中で受け止められるとは思って無かったから対応策が無い。
(取り敢えず出力上げてゴリ押しするか……)
「残りの魔力をほぼ全部注ぎ込むっ!」
「グギャギャッ!」
「死ねえぇぇぇっ!」
「ギャ、ギャ、アガッ? グオオオオオオッ!? グガァッ、グガァアァ、グガァッアァァァァァアッ!!」
二振りの炎纏剣が燃え上がる。
腹部の傷口を焦がすのを通り越して液状化させる。
俺の有りったけの魔力を消費する事によって生まれた灼熱の焔が刀身を通してゴブリンキングを外部、内部ともに包み込む。
「グオオオッ! グアァァァァァア、ギィギャアアアアアアアッ!」
「どうだ!? このまま燃え尽きろっ!」
しかし、ゴブリンキングは炎に巻かれても、その炎を意に介さず俺目掛けて拳を何度も振り落として来る。
「グルアアアアアァァアァ!」
「レン君っ、攻撃来るよッ!」
「っ! こいつどんだけタフなんだよ!?」
「多分、痛覚が麻痺しててあまり効いてないんだろうね。でも、確実にダメージが蓄積している筈だし、大分血を失ってるからもうそろそろ倒せると思うんだけど……」
「あぁ。でも、一向に怯まないし、倒れる素振りを見せないんだぜ……それどころか全く弱らないし、逆に凶暴になってる気がするだが?」
どうにかゴブリンキングの放つ拳の砲撃を避けれてはいるが、正直体力が持ちそうに無いし、一旦休みたいものだ……。
ベルゼブブが牽制として魔力弾を放ってくれてはいるが、ゴブリンキングに対して余り牽制できているとは言えない。
「もうっ! 全然効果が無いね。うーん、魔力が少なくなってきちゃった……一回退避しようか。『我は求む。其れは、光り輝く衝撃。フラッシュインパクト!」
ベルゼブブが魔法を放つ。轟音と共に辺りが閃光に包まれる。そして衝撃波が、閃光によって竦んでいた身体を震わせる。
「ガァッ!? アガッアアアッーー」
「うおっ、なんだ、何が起こったんだ!?」
「レン君、閃光手榴弾のような破壊魔法さ。今のうちに隠れるよ!」
近くにあったゴブリンキングが木を抜いた事により出来た穴に逃げ込む。
キングは目を押さえながら周りをその丸太のような脚で踏みつけている。
此処で少し作戦会議という名の小休憩をしておく。
「はぁはぁ。ああいう魔法は使う前に言ってくれよ。目が痛いぞ……」
「解ってないねーレン君。突然やった方が効果的でしょ?」
「……まぁ、良いよ。あのままじゃ三十分経って、俺の鬼化の方が解けちまいそうだったしな」
「ふふっ。……さて、レン君。僕が閃光魔力弾を使う前にゴブリンキングの体力を見たところ六割切っていた。
ゴブリンキングは痛がって無いだけでダメージは効いてるという訳さ。レン君のと僕の複合魔法で仕留めれる」
「でもなベルゼブブ。さっき、魔力をガンガン使っちまって残り魔力がもうほぼ無いんだよ……」
高い魔力を消費する炎纏剣を乱用した為、残り魔力が二百程度しか無い。
消費した魔力を回復する手段としては、時間経過と共に回復するのを待つ、魔力ポーションを飲む、魔導具を使うなどの方法が有るが、生憎、回復を待つ時間は無いし、魔力ポーションや魔導具なんて持っていない。
「あちゃー……。それは困ったね……」
穴の外ではゴブリンキングが暴れている。
破壊音が穴の近くに近寄ってきているようだ。
「不味い、不味いよ……。基本的に魔物は鼻がいいから匂いで隠れてるのがバレちゃうんだよ」
「だから近寄ってきてるのかっ!」
「そうだ! レン君、保管魔力から魔力を引き出せば良いんだよ!」
「保管魔力? あぁ、それなら大量に有るな」
残り保管魔力は8993も有る。ついでに、吸収保存でゴブリン共から奪った身体ステータスも全てここで使わせて貰おう。
『ステータスストレージから身体ステータスを引き落としました。』
『体力が17700上がりました。』
『魔力が8993上がりました。』
『知力が6643上がりました。』
『筋力が15108上がりました。』
『敏捷が17137上がりました。』
ーーーーーー
名前:レン=アカミヤ(緋宮 煉)
種族:ヒューマン
LV:12
職業:Fランク冒険者
状態:
加護:八岐大蛇の加護
天照大御神の加護
創造神ミーリアの祝福
邪神ラルヴァの加護
暴食の王ベルゼブブの加護
称号:暴食の王
悪食
異世界人
神に誘われし者
従魔:暴食の王ベルゼブブ
体力:20851/25680 (+10580)
魔力:10010/19653 (+9980)
知力:7695 (+0)
筋力:38767 (+16850)
敏捷:30256 (+9869)
幸運:42
ユニークスキル
暴食Lv--
魔王Lv--
鑑定Lv--
神蝕Lv--
吸収保存Lv--
ストレージLv--
スキルホルダーLv--
アクティブスキル
・武術系スキル
剣術Lv8 短剣術Lv5 双剣術Lv1
大剣術Lv5 槍術Lv5 棍棒術Lv5
棒術Lv3 弓術Lv5 暴行術Lv2
格闘術Lv4 体術Lv2 盾術Lv3
回避術Lv1
・技術系スキル
咆哮Lv4 索敵Lv4 追跡Lv3
窃盗Lv2 爆弾槍投擲Lv2
嗅覚集中Lv4 剛力Lv2
・生産系スキル
爆発物作成Lv2
剥ぎ取りLv2
・特殊系スキル
悪食Lv10 魔食みLv10 魔爪Lv3
指揮Lv3 威圧Lv3 鬼化Lv1
覇気Lv1
魔法スキル
火属性魔法Lv5
水属性魔法Lv2
パッシブスキル
・強化系
身体強化Lv10 腕力強化Lv4
脚力強化Lv3 視力強化Lv4
聴力強化Lv2 魔法効率強化Lv1
魔法威力強化Lv1 超回復Lv3
・耐性系
魔法耐性Lv1
衝撃耐性Lv1
・特殊
武術対応Lv1
危険察知Lv1
スキルホルダー
身体強化Lv4
身体強化Lv3
身体強化Lv3
身体強化Lv2
身体強化Lv1
ステータスストレージ
体力0
魔力0
知力0
筋力0
敏捷0
ーーーーーー
「とうとう俺のステータスがゴブリンキングと並ぶステータスになってしまった……」
「良いことじゃないか。まぁ、確かに数字が可笑しいけど……っ!?」
突然影になり、ドゴッン! と俺達の目の間に拳が落ちる。
上を見上げるとゴブリンキングが俺達を覗き込んでいた。
「グガアアアアアアッ!!」
「チッ! ベルゼブブ、魔法を撃つぞ!」
「うんっ!」
ゴブリンキングの顔面目掛けて魔法を放つ。
「『煉獄の炎よ、焼き尽くせ。インフェルノフレア』ッ!」
「『水よ、光線の如く敵を貫け。ウォーターレーザー』」
「グゴッォ!? ゴッ、ゴッ、ゥヴヴゥウウッ!」
俺は上級魔法と呼ばれる部類の火属性魔法を、ベルゼブブは俺が作った水属性魔法をチョイスした。
ゴブリンキングは顔を煉獄の炎に焼かれ、水のレーザーに裂かれる。
痛覚が麻痺していると言っても、流石に顔面を魔法で撃たれたら痛みで叫ぶ。
俺達はゴブリンキングが怯んでいる隙に穴から飛び出し、ゴブリンキングから距離を取る。
二振りの大剣を取り出し、構える。横目でベルゼブブを見ると、塵狼の剣を構えている。
「ベルゼブブ。俺は炎纏剣を使う。お前はさっき使えなかった破壊魔法と火属性魔法の混合魔法を。」
「わかったよ」
「よし。……さっさと終わらして、東門通りの料理店に行くぞ」
「や、……やったぁ〜! 俄然やる気出てきたよ……僕の魔法の最大火力をお見舞いしちゃうよっ!」
ベルゼブブのテンションを上げて、俺も得物に魔力を流し炎纏剣を用意する。
「ベルゼブブ、張り切り過ぎだ……『灼熱の業火よ。煌めく焔よ。我が剣に宿り敵を薙ぎ払え。炎纏剣』」
焔を纏った二振りの大剣を、顔を覆い悲鳴を上げ悶え苦しむゴブリンキングへと構える。
「ヴヴゥアァアァァァ! グゥアアアァッアア!」
「さっきから煩ぇッ! ベルゼブブ、彼奴の喧しい口を止めるぞッ!」
「早く倒してご飯食べに行こうよっ!」
ベルゼブブが先に突っ込んでいった。
俺も、ベルゼブブの後ろを走る。
「ちょっ、おまっ、一人で行くなよ!」
「レン君! 僕が先にゴブリンキングを倒したら、好きに料理頼んでいいよねッ!」
「まぁ、いいけどッ! 一人で行くなってっ!」
「やったっーー。……目標ゴブリンキング。『我は求む。其れは、破滅の砲台。ディザスターカノン』『紅き炎よ、敵を焼き払え。プロミネンス』ッ!」
ベルゼブブはゴブリンキングに走り寄り、未だに顔を抑え叫んでるゴブリンキングに近距離から破壊魔法と火属性魔法の混合魔法を放つ。
破壊の魔力を籠められた砲台が形成され、砲身から破壊の魔力と『プロミネンス』の奔流がゴブリンキングに放たれる。
しかし、ゴブリンキングはベルゼブブの破壊の魔力に気付き、魔法が直撃する寸前で身体を翻した。
混合魔法はゴブリンキングの右肩を貫き、胴体から落ちた肩から下を燃やし尽くした。
「あぁっ! ちょっとしか当たらなかったよっ!?」
「グァッ! ゴガッアアアァアアアッ!!!!」
ゴブリンキングは痛みに絶叫しながら目の前にいるベルゼブブめがけて左腕を落とす。
「っ! 魔力切れで動けないよーッ!」
「ベルゼブブ、頭を低くしろっ!」
「えっ? 分かったよっ!」
ベルゼブブにしゃがみ込ませ、俺は拳との間に入り込み思いっきり炎纏剣を横薙ぎに振るう。
幾ら皮膚が硬いゴブリンキングでも、自分の放った拳に俺の振り抜いた炎纏剣を受ければサクッとまではいかないものの、切り込みを入れることはできてしまう。それに、斬った側から炎で焼かれる為、簡単には再生できない様になる。
ゴブリンキングは斬られ、行き場を失った左の拳を地面に叩きつける。
「ギッギャアアアアアアッ!」
「このまま、左腕を落とさせた貰うぞッ!」
俺はゴブリンキングの腕を足場にして、左肩に炎纏剣を突き立て、魔力を送り込む。
刀身から魔法の焔がドッ! と溢れ、ゴブリンキングの肩肉が膨らみ、炎が噴き出る。
筋組織はズタズタに切れ、骨は弾け飛んでいる。
完全に炭化した部分も有り、ゴブリンキングはまさに皮一枚で左腕が胴体に繋がっているような状態だった。
「グガッ、ガガァッ……」
両腕を無くしたゴブリンキングは、鬼化によって痛みに鈍感に成っているが、流石に両腕を落とされ、傷口を灼熱の焔に焼かれれば、悲鳴を上げる事もなく失神してしまう。膝をつき、全身をピクピクと痙攣させている。
「トドメだ。死ね!」
身体をピクつかせるゴブリンキングの首を炎纏剣を解いた吸魔の大剣で切り落とす。
ゴロンとゴブリンキングの頭が落ちる。
一つの集落を統一する実力を持っていたゴブリンキングの最後は静かに幕を閉じた。
「ハァハァ……ゴブリンキングの討伐完了。しかし、結構な魔力を持ってかれたな……。ベルゼブブ、大丈夫か?」
俺の後ろで魔力切れを起こして動けないでいるベルゼブブ。コイツには少し怒らなければ。
「うーん……少し頭がクラクラするけど大丈夫だよ」
「そうか、良かった……。で、ベルゼブブ。何か言い訳はないか?」
「えっ? 何のだい?」
「人が待てって言ってるのに、お前が勝手に突っ走って魔法放って魔力切れを起こしている事についてだ」
仮にもベルゼブブは俺の従魔だ。俺の指示通りに動いて貰わないと困る。
「それに危ないだろっ! あのまま俺が動いていなかったら、お前はペシャンコだったんだぞっ!?」
少し、声を荒げて怒る。
ベルゼブブの体力などから考えると、流石に即死とは言わないが、かなりの大ダメージを負っていただろうということは明確だった。
「あ、あぅ……ごめんなさい」
「たくっ、次からは気をつけてくれよ? ふぅ。さてと、ゴブリンキングを回収して、集落跡を漁って帰るぞ」
「……うん。今度から気をつけるよ」
俺に怒られ少し、シュンとしてるベルゼブブに声を掛け、ゴブリンキングとの戦闘で少し離れてしまったゴブリンの集落へと歩き出すのだった。
パッシブスキル 超回復Lv3をレン君のステータスに表記しました。




