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暴食の王〜喰らう力で異世界攻略〜  作者: ベニ・ドラ
序章
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序章 第一話

初投稿です

至らぬ所しかないと思いますが、

よろしくお願いします!



 夢を見た。


 凄く鮮明な夢だ。

何故か俺は、見渡す限りの真っ白な空間に立って居た。

 目の前には、露出がやたらと多い赤と黒のロングコートとショートパンツを身に付けた、銀髪の小柄な少女が立っている。

……彼女の首と足には、枷が嵌められていた。

 俺の目が彼女に吸い寄せられる。

 彼女と目が合う。

全てを包み込むような真紅の綺麗な瞳。

 彼女は俺と目が合うと、嬉しそうにはにかんだ。

ただひたすらに、綺麗。……いや、その一言で表せない程の美しさ。

 彼女の笑顔を見ると、俺の中に、初恋のような感情が湧き出て、鼓動が早くなる。

 彼女は何か言いたそうに俺に近づいてくる。彼女が近づくにつれて、俺の心臓も高鳴る。彼女の吐息がわかる程の距離まで来て、やっと足が止まった。それまでの時間はとても長く感じた。

 そして、彼女がその口を開いた瞬間、俺は目が覚めた。


ーーーーーー


 目覚まし時計の喧しい音が聞こえる。

だんだんと意識が覚醒してきた。


「んぁ? ……ふぁあ」


 何時もと変わらぬ朝、雀の優しいさえずりが聞こえる。


「久々に夢なんてみたな」


 最近、目を覚ましても覚えている夢なんて物は、全く見た覚えがない。


「しかし変な夢だった。あの女の子、可愛かったなぁ。

あっ!  ……もう学校いかないと」


 ちょっと遅くなったが、俺の名前は緋宮 煉 。

高校二年生だ。まぁ自慢じゃないだが、成績優秀、スポーツ万能、まぁ俗に言う天才って奴だ。

だが、俺は重度のアニオタ。特にファンタジー物と言ったら、ラノベやらアニメやら片っ端から読んで、見てを今まで続けて来て、これからも続けるつもりだ。

だから周りの奴からは、残念な天才とか言われてる。たくっ、オタクの何が悪いのか俺には判らない。

 っと。話を戻すが、俺の両親は俺が中一の時に事故で亡くなった。それ以来ずっと、一人暮らしには広すぎるこの一軒家に住んでいる。


「行ってきます」


 ブレザーを羽織り、鞄を持って、返事が返ってくる筈も無い誰もいない玄関に挨拶して家を出た。


ーーーーーー

神界・万神殿


 今日、万神殿には何柱もの地球、つまりガイアの神々と異世界アーシュテルの神々が集っていた。

ガイアの神々は、八百万の神々やらギリシャ神話やら、エジプト神話、北欧神話、果てには悪魔や天使、龍まで様々な神格を持つ者達が揃っている。


 さて、なぜこれだけの神々がこの万神殿に集まっているのかというと、今日が数年に一回行われるガイアとアーシュテルの文化交流の日だからである。

簡単に言えば、お祭りだ。神々が飲んで、食べて、歌い踊る。ストレスを発散する為の行事。もちろん、基本酒好きなガイアの神々とアーシュテルの神々は、既にどんちゃん騒ぎを巻き起こしていた。

 ギリシャのゼウスと北欧のオーディンの喧嘩を、帝釈天やミネルヴァ、エジプトのアヌビスが本気で止めたり、熾天使が七十二柱の悪魔とプチ聖魔大戦を巻き起こしたりなどと、物凄くカオスなことになっている。どれ位カオスなのかと言うと、小さな衛星位なら一発で吹き飛ばせる程の威力の魔法や、龍を屠る斬撃などが飛び交っているのだ。人間が見たものなら、「嗚呼、これこそ世界の終末か……」と本気で覚悟するレベルの喧嘩だ。


 そんな中、平和に酒を呑みながら話をしている神が二柱いた。


「ねぇーーアマテラスぅ! 貴方のところの子、何人かうちに頂戴よー」


 アーシュテルの主神、女神ミーリアが天照大御神の杯に酒神の酒を注ぎながら言った。


「嫌じゃ。面倒くさい」

「そんなこと言わないで! 一生のお願いだよっ」

「お主、くどいのぅ……先程からいっておるじゃろ? めんどくさいから、嫌じゃと!」

「うー。……なら、アマテラス、私の所の神獣欲しがってたよね? 何匹かあげるからさぁ! ねぇ、おねがい!」

「貴様の所の神獣か……。確かに欲しかったが、うむむ」

「どう? ガイアには居ない奴ばかりだよ?」

「うむ。それなら一人、神獣5体と交換じゃ。約束、違えたらアーシュテルに武神連れて攻め込むぞ? そのつもりでよろしく頼むぞ」

「ぶ、武神!?  それはちょっと、いや、かなり怖いな……。でも、一人と神獣5体か、ちょっとキツいけど……良し。神に二言は無いッ! じゃあ6人は欲しいな。それで交換ね! できるだけ若い子がいいな。と言うか、若い子にして!」

「うむ。若い子じゃな? 中学生位でいいのかぇ? わかった、わかった。じゃあ30体よろしくなのじゃ〜」


 天照大御神は、そう言いながら神威を解放した。

 神威とは、神にだけ扱うことが許された力である。

しかし、神威を扱う神の神格により、その力の強さは大きく左右される。天照大御神は、八百万の神の中でも、三貴子と呼ばれる最も貴い神の一柱であり、その神格は最高位だ。そんな天照大御神にとって日本人を数人召喚するなんて事は、とても容易い。

 とは言っても召喚する為には、準備をしなければならない。


「さぁて。どうするかのぅ。……そういえば死ぬ予定の中学生達がおるから、その子達でも良いか?」

「中学生というと、えぇっと……14歳くらいでしょ? 大丈夫よ」

「おっけーなのじゃ。では、準備が整い次第召喚するぞ」


 そのやり取りを聞いていた月夜見尊がミーリアに何故日本人を欲しがるのかを聞いた。


「アマテラスは、ミーリア殿に甘いな。

しかし、なぜそんなにして我らの子が欲しいのだ?」


 ミーリアは、笑みを浮かべ月夜見尊に言った。


「前に高位世界の神と飲む事があって、そこの神が言ってたの。地球人、中でも日本人を呼ぶと世界がより良くなるってね」

「ふむ。確かに良く子供達が欲しいと異世界から使者が来るのはそういうことなのか……」


 日本人の異世界転移事情を話していると、天照大御神が召喚の準備を終えてミーリア神を呼びに来た。


「ミーリア。準備できたぞよ。万神殿中央ストーンサークルで召喚する。早ようするのじゃぞ〜」

「今行くわ!」


 こうして、六人の中学生達が異世界アーシュテルに召喚されることとなった。



ーーーーーー


 俺はいつも通りの見慣れた通学路を歩いている。


「ふぁあ〜。たくっ、まだ眠いな……昨日遅くまでアニメ観てたからか?」


「……それでさぁー……」

「ははっ! それは傑作だなっ!」


 俺が寝惚けた目を擦りながら歩いていると、横断歩道で騒がしく喋りながら歩いてる六人の中学生達を見つけた。

彼らの先には居眠り運転の大型トラックが猛スピードで向かってきている!


「なっーー。ちッ! なんで彼奴ら気づかないんだよ!?」


 俺は、舌打ちしながらそう言って走り出した。


「くっ、間に合うか? いや、間に合えぇッー!」


 トラックが迫る中、俺はどうにか彼らを突き飛ばすことに成功した。が、俺は逃げられずトラックに跳ねられてしまった。

 ドンッ! という衝撃音と破裂音が辺りを震わす。全身の骨という骨が粉々に砕ける。内臓がズタズタに破壊され、口から、鼻からと血が吹き出る。最早、痛いのを通り越して身体がクソ熱いと感じる。体が大型のタイヤに巻き込まれ、足の方から潰され砕かれる。

 通行人達は、突然の事に反応ができていないようだ。


「がぁッ…………?」


 身体がミンチにされ、意識がブラックアウトしていく中、俺が最後に見たのは、謎の閃光に包まれる中学生達だった。


読んでくださりありがとうございます。



アマテラスさまの語尾を古風にしました。

地球をガイアに変更しました。

神力を神威に変更しました。

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