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真面目に手当てはしましょうか
顔を押さえながら走っていくマスターの姿は、ベッドに入ろうと立ち上がったヨゥの目にも留まった。
頭を押さえて、顔面に窓枠らしき十字模様を貼り付けている。
帰りに、またここを通るのは間違いない。
仮眠を後回しにして、ヨゥは棚の薬箱に手を伸ばした。
一方、ロゥタ宅では。
「あのなぁ、いい加減命綱くらいつけたらどうなんだ? あんな高いところからこう何度も落ちていたらその内こんなもんじゃ済まなくなんぞ」
「そうですよ。そろそろ懲りて下さいよ……」
家の中からは、いつも通り二人組みの治療術師の呆れたような説教が聞こえてくる。今まで耳にタコどころかイカができるくらい繰り返されたその説教は、そのうちイカがナマコになりそうな勢いで今日も繰り返されているらしい。
(懲りないから、あのクッションを開発したのですが、ねえ……)
走りながら、マスターはちらりと格納庫に鎮座している人工の翼を見やる。
こんな鉄のカタマリが、本当に空を飛ぶのだろうか?
マスターは自分が立ち止まって考え事を始めないように、一気にその場を走り抜けた。




