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前方超要注意。

 道を走る時には、色々と注意した方が安全である。


 ばんっ!


……でないと、窓に顔面を強打される。

 寸前に聞こえた爆音から察するに、お料理機械の吐き出した爆風が窓を思い切り押し開けたのだろう。食後のデザートの時間が済むまでは、チャムの家の窓際を通ってはいけないのだ。

「あら……あらあら、大丈夫ですか?」

 被害者に気付いたチャムが顔を出す。

「だだ、大丈夫……です」

……顔の真中に縦横の赤い帯が浮いている状態では、あまり説得力がない。

「お急ぎでなければ、手当てしながらお茶でもいかがですか?」

「いや……」

 急いでますから、と言いかけ、マスターはチャムの手の中にある物を見て固まった。

 きれいな形のショートケーキ。

「……い、いいいいそいでますからっ!!」

 立ち上がりかけて、真下から窓枠に頭をガン。

「~~~~っ」

 たまらず、頭を押さえてしゃがみこむ。

「……あのぅ、本当に大丈夫ですか?」

 目が点になっているチャム声に答える余裕もなく、マスターは頭を押さえながらも脱兎の如くその場から走り去った。

「あらあら……せっかくきれいにできたから、ごちそうしようと思ったのに」

 ケーキを手に、チャムが呟く。

 機械が作り出したそのケーキが、実験中に目に付いた「食卓に載っていた漬物」と同じ味である事を、彼女は知らない。


 機械から出てきたまともに「見える」料理は、まず間違いなくまともな味ではない。

 マスターは、それを嫌というほどよく知っていた。


 そして、幸いにしてというか、何というか。

「食べられる危険物」に気を取られたマスターは、チャムが自分を見送る窓と通りを挟んで向かい合った立ち木の幹に突き刺さっている「オーブンの扉の成れの果て」に、最後まで気付く事はなかった。

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