2話 転生したらすごいことになりました。
ゆっくりと意識が覚醒する。目の前にはまったく知らないおばちゃん。おばちゃんは俺を抱きかかえている。
訳が分からない。俺は死んでしまったはずである。これから未来永劫目覚めないはずである。なのに俺は意識がある。
おかしい本当におかしい。
「テリーヌ様、可愛い女の子ですよ。」
女の人が言う。俺は水洗いされている。そして金髪のとても美しい女の人の隣に置かれる。多分この美しい人がおばちゃんが言っていたテリーヌ様である。
可愛い女の子?誰だそれ?まさか俺?いやいやそんなはずはない。俺は男だ。絶対にない。わからない、本当にわからない。
とりあえず声を出そうと頑張ってみる。
「おぎゃー、おぎゃー」
声も出ない。というか泣くことしかできない。少し上を向いてみる。多分ここはベッドの上である。ベッドには天井がついていて明らかに王様や、そのお后様が寝るようなところである。
金髪美女が俺のほうを向く。近い。吐息が少しくすぐったい。ほっぺにキスをしてくれる。これは素晴らしい。やばい。興奮する。
いやいや、興奮している場合じゃない。わからないことを考えないと。
まず自分が今いる状況を考えなければならない。
天井付のベッドに寝ているということは、ここは日本ではない可能性が高い。それに日本人は、絶対こんなにきれいな金髪ではない。つまりここは、外国である。
それと金髪美女が
「生まれてきてくれてありがとう。」
とか言っている様子から察すると今の俺の状態は赤ちゃんである。
死んだら記憶を残して赤ちゃんとして生き返りました?
なんか転生みたいだな。
ん?そうか!転生か!
いじめられ自殺した俺は、記憶を残して遠い外国に転生した、と。
いや、ちょっと待て、なんで俺外国の言語わかってんの?俺、英語のテキストとか全部捨てられて、英検5級も持ってないよ?
外国っぽくて、日本語が通じるというご都合主義が通るところ?
あ、わかった。異世界だ。異世界に転生したと考えればすべてつじつまが合う。
母親と思われる人が金髪なのも、天井付ベッドに寝かされているのも、自分が赤ちゃんなのも。
いやいやいやありえねぇよ。本当に自分頭おかしいんじゃねえの?
そんなことを考えているとガチャリ、と音がしてこの部屋のどこかの扉が開く。
「テリーヌ!子供が生まれたというには本当か!?」
なんか赤いマントはおって、王冠つけた明らかに自分国王ですよアピールしている人が入ってきたんですけど。しかも声が馬鹿でかい。
「エグザ様あまり大きな声を出されるといけません。」
「それよりも子供が生まれたのは本当か?」
「はい、先ほど可愛い女の子が。」
「おおそうか。今夜は新しい王女の誕生祭じゃ。」
「それとテリーヌ、体調はどうじゃ?」
「私は大丈夫よ。それにこの子も。それとエグザ、あまり大きな声を出さないで。」
「お、おう。すまん。」
一連の会話だ。何気ない会話に見えて重要な要素が多い。
まず、ここは王国である。それで俺は、なんとこの国の王女らしい。
王女というのは多分このおばちゃんの確認ミスだろう。そう信じている。
入ってきた王様っぽい人というかもろ王様な人がエグザで、俺の隣の金髪美女がテリーヌらしい。
それとやっぱりテリーヌはお后らしい。エグザになれなれしいところを見るとまぁ、仲は良いんだろう。
「それでは、エグザ様、テリーヌ様、誕生祭の服をお持ちいたしますので、別室でお待ちください。」
「了解よ。」
「おう、わかった。」
エグザはすぐに出ていき、テリーヌは俺のほっぺにもう一度キスをしてくれる。
やっぱり興奮する。
3人とも出ていくと、俺は考えをまとめる。
というか俺から目を離していいのか?まぁいいか。
まずここは、なんちゃら王国である。名前はわからない。多分俺は父に国王を持つ王子様である。そう、王子様である。きっと王女様ではない。
ん?ちょっと待て、あ、そうか。男の象徴を確かめたら俺が男かどうかわかるんじゃね?
そう思って股間に手を伸ばす。そう言えば布です巻きみたいにもされていないな。真っ裸だ。ゆっくりと手が股間に近ずく
届いた!
・・・ない。
俺が17年間貞操を守りぬいた性剣エクスカリバーが・・・ない。
あるのは17年間実際には1回も見たことがない神秘の象徴。溝みたいなやつである。
本当に王女だった。
待て王女とかいやすぎる。
つまり王女ってあれだろ、他の王家とかに嫁がされるんだろ。俺に体に男のそれが入るんだろ。無理だ。嫌だ。
逆に女の子には男のそれを入れられないんだろ。王家なら女の子の一人や二人ぐらい簡単に手に入るから童貞卒業だね、ヤッタネ。とか思っていた俺に気持ちはどこに行くんだろうか?
結論から言うと俺の今の状態って、
体は女、中身は男
その名も迷探偵ホモォ
ってことだろ。
いや待て、ここで重要なのは、ポジティブシンキングだ。
女ってことは、女湯張り放題、女子更衣室入り放題ってことだろ。
うは天国じゃねぇか。
それになんといっても自分の胸を、溝をもみ放題!見放題!
ネットででしか見たことがない、女の子の神秘が身近にあるぞ!
これはきた!これで勝つる!
とかテンションが上がっていたら、きれいに着飾ったテリーヌが帰ってきた。
「さて、あなたも誕生祭の準備をしましょう。」
読んでくださりありがとうございます。林朋昌炎です。
ここでBL、GLの意味が分かってくださった方も多いと思います。
大体2000字を目途に1話を書いていこうかなと思います。
これからもよろしくお願いします。