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1話 自殺。

教科書をトイレに捨てられ、暴力は毎日のようにふるわれる。時にはゴキブリの死骸を食べさせられることだってある。

つまらない俺の日常だ。


教科書をトイレに捨て、暴力を毎日のようにふるう。時にはゴキブリの死骸を探し、俺に無理やり食べさせる。

つまらないあいつら(苛めっ子)の日常だ。


俺、片木翔太(かたぎしょうた)はいじめられてる。それもかなり悪質なものを受けている。ビビりの担任は見て見ぬふりをする。というよりも先生含め、クラス全員がいじめてくる。なんだ先生はビビりじゃなかった。もっと悪質だった。


時に、人が団結するのに最も重要な存在は何だろうか。答えは簡単、『共通の敵』である。

共通の敵がいることで人々は敵を滅ぼそうと躍起になる。こうして嘘の団結の出来上がりだ。

実は案外魔王は優しいやつなのかもしれない。魔王がいれば少なからず国同士の戦争は圧倒的に少なくなる。

これが魔王がもたらす平和である。


では、その魔王が圧倒的弱者だったらどうなるか?

答えは、魔王を生かさず殺さず常に共通の敵の位置においておく。それが今の俺の状態だ。


このクラスは共通の敵である俺がいなければ存在していないといっても過言ではない。

イライラしたらすぐに俺に当たり、何かミスを犯したときは俺のせいにする。クラス内のグループ問題も俺をぼこって解決だ。けれど殴るだけじゃほとんど死なない。だから、常に共通の敵になる。


それに1度でも手を加えてしまったら、次からも手を出すようになる。

単純に怖いのだ報復が。1度手を加えてしまうと、その人の恨みを買う。もし、その人が何らかの理由で共通の敵から外れた時、報復を受けるのが怖いのだ。だから、共通の敵を固定しようとする。そう考えて共通の敵を攻撃する。怖いからまた攻撃する。負の連鎖である。これを大多数からされるのだ。

きっとこのまま俺はクラスで地位が上がらないだろう。


こうして無限ループの完成だ。よくネットで『無限ループって怖くね』とか見るがまったくそのとおりである。無限ループって怖くね。


まぁ、こんな俺にも報復の手段として案外様々なものがあげられる。


1つ目、学校やいじめ相談所などに相談する。

実はこれ、結構優秀であったりする。学校側にいじめを報告できるのはおいしい。最近の学校はいじめにうるさいしな。ちなみにこの方法はもう一回やってみた。すると担任の先生様が1番最初に相談に乗ることになっていたようで、


「いじめの案件をもちこんだら殺すぞ。」


と、脅された。怖い。担任は悪質超えて極悪人じゃないか、お巡りさんこっちです。

いじめ相談所に相談すると、あなたが悪いの一点張りでやる気がなかった。無償相談だからな。


こうして俺は仕方なく学校、いじめ相談所を早々に諦めた。どちらも信用にならん。


2つ目、親に相談する。

これもやった。そしたらいじめ相談所と同じくまったくとりあってもらえなかった。


父に言うと、

「お前に原因があるんじゃないか?」

「それを乗り越えてこその男だ。」

と言われ。


母に言うと、

「めんどくさいから。そういうの。」

と言われる。


両親は妹の方をかわいがる。多分もう俺のことは諦められている。


確かに原因は俺の方になくはない。

俺は近年、風当たりの強いオタクというやつである。といっても高校生にもなると、アニメや、漫画ゲームと嗜む奴は、案外多い。俺がアニメ、漫画、ゲームをやっていてもあんまり不自然ではない。

しかし、だ。俺がアニメ、漫画、ゲームにはまったのは、小学3年生のころだ。小学3年生で、自分の趣味を明かすと、


「え、マジ気持ち悪い」


などといわれる。そしてそのままいじめルートだった。


3年生のころは幾分かましだった。石を投げられるくらいだった。けれど、だんだん酷くなった。俺の中で何かが崩壊したのは、中学2年生の夏だ。


蝉の死骸を食わされた。

生で。地面に落ちていた状態で。今はゴキブリの死骸を生で食わされるが。


まぁ、そんなことはいい。良くないけどいい。話が進まんからな。今は報復の話に戻ろう。


報復する方法、3つ目自殺する。

手っ取り早く注目され、そのあといじめのことについても調べられる。そしてこの腐った世界からもバイバイできる。一石二鳥である。完璧な作戦だ。

いやな点を挙げるとすると、痛みが伴う。しかし、今くわえられている痛みに比べたら、オールオーケーだろう。それに、睡眠薬というかなり便利なものがある。睡眠薬を飲んで永眠するのだ。悪くない。


この方法は、目立ったほうがいい。決行する日はみんなが浮かれて笑っているときが望ましい。

日本人が笑って過ごす大きな祝日は何か?


そう、お正月である。


正月であればみんな浮かれている。そんな正月に誰かが自殺したとなれば、当然大きなショックになるだろう。


だから俺はすぐ死ぬことはなく、時を待ち続けた。

どんなにひどいことをされても、待ち続けた。

ずっとずっと待ち続けた。

そして来たのだ願った時が。


そう、今は12月31日、年の暮れである。


俺は今晩自殺をする。そうすると、正月には、俺の死体が見つかるだろう。もちろんいじめの全容を書いた遺書を残して、だ。


これは、報復だ。俺の大切な時間を奪った、報復だ。


クラスメイトも担任も父も母もいじめ相談所も、果ては妹まですべてに対する復讐だ。

そこ、妹関係ないやろとか言わない。


見て見ぬふりをした時点で同罪だ。


さようなら、お前ら。


俺のことが報道されて、ずっとびくびくしていればいい。


そう思い、俺は睡眠薬が入った瓶のふたを開ける。


一気に全てを飲み干す。


苦い。けどゴキブリに比べたらまし。


そう考えると一気においしくなった。


ボリボリ

うめぇ。なにこれ、うめぇ。

人って酷いことをされ続けると頭おかしくなるんだ。知らなかった。


ゴキブリもっとまずかったぞ。

市販の睡眠薬ってうめぇな。

きっとこれが最後の食事?だ、とか思いながら味わって飲み干す。


そのままベットに転がる。



俺は、こうして息を引き取った。



次は、もう、目覚めることはないと、思いながら。



奴らが苦しむことを願いながら。



この腐った世界からいなくなることを喜びながら。


読んでくださりありがとうございます。林朋昌炎です。

タグが不穏ですが、出てくる可能性があるだけで出てくる、と断言はできません。

残酷描写は出てきます。

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