表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

幕間【勇者side】

 

 人狼族とのシーンが終わり、次の町へ行くインターバル中。丁度町の広場で休憩をしていたワーウルフを見つけ、賢者は彼女の下へと小走りで駆け寄った。


「あ、賢者……」

「こんにちは。……この間は、お茶、ご馳走様」

「別にアレくらい……。っ!?」


 賢者の手が突然ワーウルフの頬に触れる。驚いた彼女はビクッと身を竦ませた。だが、逃げようとはしない。代わりにピンッと耳と尻尾が立っている。


「な、なによ!」

「この間の怪我、大丈夫だった?」

「ふん! 人狼族の回復力を舐めてもらっちゃ困るわ! あれくらい何ともないんだから!」


 思わず口をついて出た強がりな台詞だったが、正しく意味を捉えた賢者はふわりと笑った。


「そっか、良かった」

「…………」


 可愛くない言い方だったって後悔したのに。賢者は少しも嫌な顔をしないで笑ってくれた。自分が敵だと分かっていても心配して、臆せず触れてくれた。それが嬉しくて気恥ずかしくて顔を真っ赤にするワーウルフ。その顔を見て、我に返った賢者も顔を赤くする。


「あ、ごめん! 勝手に触ったりして!! その、変な意味じゃ……」

「なっ……! 何言ってんのよ馬鹿!! 四天王である私がアンタみたいな人間意識するわけないでしょ!!」


 再び飛び出した強がり。けれどそれを聞いた賢者は沈んだ声を出した。明らかにがっかりと肩が落ちている。


「そうだよね……。ごめん」

「~~~!!」


 違うの!と言いたかったけれど、賢者は敵なのだ。敵にそんな言い訳する必要がどこにある?

 何も言えなくなってしまったワーウルフ。あからさまに意気消沈する賢者。そんな二人を物陰からそっと覗いている人物が……、一人、二人、三人。


「何なんだ。あの中学生日記」

「なんだかこれ本格的にヤバくない? ねぇ、勇者」

「あぁ……。そうだな」


 盗賊の憂いに、勇者は重々しく頷いた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ