《おまけ》シナリオライターがその気になりました【勇者side】
すいません。若干の下ネタが入ります。
苦手な方は回れ右。
「キタ――――――――!!!!」
ガバッとベッドから飛び起きた勇者は、今まで見ていた夢のような光景がやはり夢だった事に気づいてがっくりと肩を落とした。
「んだよ、マジか……」
不貞寝したい気分だったが残念ながら夢の効果か若さゆえか。自分の下半身は立派に起き上がっている。とてもじゃないが眠れる状態ではなかったので、冷たいシャワーでも浴びようとのっそりベッドから降りた。
「おはよう、勇者。随分大きな寝言だったね」
そのタイミングで勇者の自宅のドアを開けたのは馴染みの仲間である盗賊の男だ。三ヶ月ぶりのその顔に、勇者は首を傾げた。
「おう。久しぶり。朝からどうした?」
「これ、届いてたよ」
中に入った彼が差し出したのは無駄な装飾で飾られた豪華な装丁の本。天の書だ。
「あ~~。もうそんな時期か」
がしがしと寝癖の付いた金髪をかいて、天の書を受け取る。新たな冒険の幕開けを告げる天の書だが、勇者にとってはもはやただの仕事の書類と変わりは無い。前回色々な事情があったにせよ、ボイコットした身なので文句言わずにとりあえず表紙を開く。いつものように登場人物紹介からパラパラと見ていき、魔王組のページに差し掛かった所でその手が止まった。
驚きで見開かれた勇者の青い瞳。余程の事があったのかプルプルと天の書を握る手が震えている。
「勇者? どうした? 大きな改定でもあったのか?」
その様子に首を傾げる盗賊。けれど天の書を食い入るように見ている勇者に彼の声は届いていない。
勇者は隅から隅まで何度もそのページの文を読み、挿絵を舐めるように何度も目で往復した。そしてようやく、震える唇が動く。
「キ…………」
「き?」
「キタ―――――――――――――!!!!」
鼻息荒い勇者の頬は薔薇色に染まっていて、正直盗賊はドン引きだったという。




