第5話
衝撃の事実が明かされる第5話です
〜無月SIDE〜
「祢音!祢音!!」
無月は廊下の走りながら妹の名を叫ぶ。
「どこだ!どこにいる!?」
「侵入者だ!構えろ!」
走り回る無月の前に警備兵が現れる。
「撃てぇ!」
警備兵は拳銃を無月に向けて放ってくる。
「邪魔だぁ!」
無月は向かってくる弾丸を斬りながら前進する。
「うわぁ、こっちに来るぞ」
「ひるむな!撃ち続けろ!」
警備兵たちは拳銃を撃ち続ける。
「当たるかぁ!」
無月は銃弾を1発も身体に当てず警備兵の前まで来る。
「死ねぇ!!」
無月は警備兵の目の前まで来ると一瞬にして警備兵たちを斬り殺した。
「ぐあぁ!」
警備兵たちはバタバタと血を流して倒れていく。
「へっ、こんなもんかよ」
無月は倒れている警備兵を見下すように数秒見て再び走り出した。
「ここかぁ!」
扉の一つをぶち破ると、
そこには多くの研究員と中央にクリスタルのような青い水晶体に閉じこめられた祢音がいた。
「お前ら…お前ら…お前…ら…」
無月の手は怒りによって自然と震えてくる。
「殺す…ころす…コロス」
怒りと憎悪が形となって身体から溢れてくるようだ。
そして無月の全身は怒りや憎悪による邪悪な炎に包まれる
「コロシテヤル!!!」
無月は赤く怒りの込められた目で睨むと、
邪悪な炎を纏った夢羅雨で研究員たちを斬り殺していく。
「うわああああ!」
「逃げろおおおお!」
部屋に数多の悲鳴と血が飛び交う。
「コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル!!」
次々と研究員や警備兵が殺されていく。
「うわああああああ!!」
「助けてくれぇ!!」
「コロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!」
無月はほとんどの研究員たちを殺し残るはただ一人となった。
「シネェ!」
無月は最後の一人へと刀を振り下ろす。
カキィン
しかしその攻撃は金属音を立てて弾かれる。
「ナニ!?」
「ふふふ、私はそこらのひょろい研究員ではありませんよ」
そうは言ったがそいつは眼鏡をかけ、白衣を着て体型はヒョロリとした男だった。
その男はクリスタルの隣に立っており短剣を持っていた。どうやらそれで弾いたようだ。
「イモウトヲ…カエセ…」
無月は憎悪と殺気を込めた視線を送る。
「おお、怖い怖い。しかしあなたは間違っていますね。この娘はあなたの妹ではないようですが?」
「!?」
無月は振り上げている刀を下ろす。
「おやおや、知りませんでしたか?あなたとこの娘は血が繋がっていないのですよ」
カラン
音を立てて刀が無月の手から離れ落ちる。
「…どういうことだ!?」
「この娘は人工生命体なのですよ。あなたのDNAを元にあなたの組織が作った」
「!!?」
無月は膝をつき呆然とした眼になる。
「ま…まさか…祢音が……」
「ははは!本当に知らなかったとは!
それも知らずにここまで来たとは、まさに喜劇ですねぇ!」
研究員は手を広げ顔を天井へと向け笑い始める。
「ははははははははははは!!!」
「……………」
「どうしました?ショックのあまり口がきけませんか!これはおもしろい!!」
「さて、研究の邪魔なのでここで死んでいただきましょうか」
そして研究員は無月を目掛け短剣を投げる。
カキィン
「「無月!!」」
そこへ大鎌で短剣を弾いた日向と桔梗が現れる。
「無月!どうした!?」
2人は膝をついて立ち尽くす無月へ駆け寄る。
「その小僧、こいつが人工生命体という事を知らなかったのですよ!?
まったく、愚かなことだ!」
「ちっ!お前、無月にその事を教えたのか!?」
日向は未だ笑い続けている研究員を睨む。
「ああ、教えましたとも!
おもしろかったですよ。真実を知った時の彼の顔ときたら!!」
「なんてことを…」
桔梗は無月の顔を心配そうに見る。
無月は意識がないように呆然としており目の焦点が合っていないようだった。
「そしてあなたたちはここで消え去る運命です。出でよ!我がしもべよ」
すると天井をぶち破り合成された獣が降りてくる。
その身体は銀色に輝く鎧を纏っており
ゴリラの身体に鷲の翼、チーターの足、腕は4本あり左手1は蟷螂の鎌、左手2は蜂の針を装備したもので
右手1は熊の手、右手2は機械で作られ頭はカブトムシの角を持った虎の顔だった。
「これが私の最高傑作。キメラです。キメラよ、こいつらを殺してしまえ!」
「了解デス」
「喋った!?」
「そう!このキメラは不完全ではあるが人並の知能を持ったのですよ!」
研究員は両手を広げ自慢げに叫ぶ。
「桔梗、無月を連れて下がっていろ」
「わかりました」
桔梗は無月を抱いて部屋の端に座り込んだ。
「コ…ロ…ス…」
「さて、さっさと終わらせるか」




