第4話
今回はちょっと短いかも・・・
〜日向SIDE〜
「うむ、どこを見て回るか」
日向はブラブラと廊下を歩き、部屋の看板を見て回る。
そして『人工生命体生成部』の部屋の前で立ち止まる。
「ここか?」
日向はニヤリと笑いながら部屋の扉を開ける。
中は機械のベッドがいくつもあり、
そこにはボロボロになってゾンビのような人が横たわっていたり、
カプセルに入れられた小さな人のようなもの(試験管ベイビーというものだろうか)があった。
「まったく、奇妙な研究してやがる」
日向はそのベッドやカプセルを見ながら歩いていく。
「ま、こちらも人の事は言えんのだがな」
ふふ、と鼻で笑い日向はデスクのファイルや引き出しを漁る。
「これだな」
日向は手に取ったファイルの一つを開く。
日向が開いたファイルの表紙には『生命体の人工生成』と書いてあった。
『我々は合成獣開発部の依頼により獣のDNAを組み込んで人間を作り出すプロジェクト
を始めることとした。
まず受精卵に人間とよく似たゴリラのDNAを組み込もうとしたが、
その卵は成長することがなくそのまま死滅してしまった。
その後、我々科学者にとって気は進まないが魔法を使うことができる研究員を呼び出し、
一から人間を魔法によって作り出すのは並の集中力ではできるはずがなく担当した魔法使いは2人のみだった。
生成を始めたが出来上がるのはせいぜい足などの一部で魔法を使ってでも人間を作り出すことはできなかった。
我々は人間を研究するため生きている人間の臓器を抜き取り死んだ人間に
魔法製の臓器を入れ込み魔法で生き返らせそのまま臓器が使えるか、という実験を行った
しかし、失敗するばかりで実験体が使えなくなるまで何度も実験が行われた。
そして2人の魔法使いも魔法の使いすぎなのか衰弱し死んでしまった。
途方に暮れていたある日、ある秘密組織が人工生命体の生成に成功したという知らせが入った。
我々はその組織の一人を捕らえ捕虜から居場所、IDナンバー等を得、スパイを送り込んだ。
スパイからの報告によると彼らが作り出した生命体は我々のように魔法で一から作り出たということ。
そして完璧であり、問題なく育っているという事だけであった。
おそらく捕虜は権限が低いため多くの事を知ることができないようだ。
研究対象として十分使えるようになれば捕らえるという上からの報告があったが
成功か失敗かは未だに我々は知っていない』
「ほう、やはりスパイがいたか」
日向がファイルを置くとパタという音を立てる。
それを合図としたかのようにベッドに横たわっていた2体のボロボロ人間(以下ゾンビ)が動き出した。
「ほう、魔力を生気としたために我が魔力にでも反応したか?」
日向は大鎌を構え攻撃に備える。
「ウゥゥゥゥゥゥゥ」
ゾンビは気味の悪い呻き声を上げながらふらふらとこちらへ歩いてくる。
「はぁっ!」
日向は2体のゾンビを肩からナナメに2回斬ると2体は血を吹き出さずボトリと上半身が落ちる。
「この程度か」
日向はゾンビへ背を向け部屋からでようとする。
「ん、うおっ」
何かの気配を感じて日向が振り返るとゾンビが4体となり襲いかかってきた。
「くっ、まだいたか」
再び大鎌を振りゾンビたちに攻撃する。
そして4体のゾンビは真っ二つになる。
「これで終わりか」
しかし真っ二つに分かれたゾンビは上半身からは下半身が生え下半身からは上半身が生えてきた。
そしてゾンビは8体となった。
「ほう、並の再生能力ではなさそうだな」
「ウゥゥゥゥゥゥゥ」
そして再びゾンビたちは日向へと襲いかかる。
「斬るだけ無駄なことだな。さて、どうするか」
日向は大鎌をしまい、手首をくるくると回す。
「やはり、魔法しかないな」
『フリーズドライ』
右手を伸ばすと右掌から冷気が放たれる。
「これでどうだ」
ゾンビたちはこれでもかというぐらいカチコチに凍り動かなくなる。
「さて、ここにもう用はないな。次の場所へ行くとするか」
そして日向は部屋を後にした。