第2話
ここ数話は改訂版とゆうより修正版となりそうです・・・
「…つき………むつき………」
(誰かがオレの名前を呼んでいる)
「無月!」
うっすらと目を開けると茶色で短髪の男性と
腰辺りまである長い黒髪の女性が心配そうにこちらを見ていた。
「父さん、母さん」
ゆっくりと呟くように無月は言う。
茶髪の男性の方が無月の父『如月日向』で
黒髪の大和撫子という表現がピッタリの女性が母の『如月桔梗』である。
「「無月!」」
2人は同時に無月の名前を叫ぶ。
「ここは?」
見回すと無月は白い部屋の白いベッドに横たわっているようだった。
「病院だ。お前は昨日、家の前で腹を撃たれて血だらけになって倒れてたんだ」
「そうか……オレは昨日…」
無月は天井をしばらく見て思い出したように叫ぶ。
「祢音!!」
無月は飛び上がるように上半身を起こす
「うっ」
が、横っ腹の痛みで再び横たわる。
「まだ無理しないで、手術したばっかりなんだからまだ動いちゃだめよ」
桔梗が優しく諭すように言う。
「祢音はどこに行った?」
「居場所はもうわかっている。オレたちは魔法使いだからな、簡単な事だ」
無月の両親は魔法使いなのだ。
それも魔法使いだけで形成された組織のトップである総帥と総帥補佐である。
そう、あらすじにもある『ある職業』とはこの事。
「それに理由も見当はついているのだが……」
日向は歯切れ悪く、途中で話をやめて少し顔をしかめる。
「どうした?話を続けてくれよ」
「いや、間違えた。理由はわかってない」
日向は前言を撤回し話を続ける
「居場所はもうわかっているし、
戦力はそれほど無いようだから近日攻め込み、祢音を救出する」
「オレも行く!」
無月は身体を起こすが再び腹の痛みで寝込む。
「だからまだ動いちゃだめって言ってるでしょ。傷口が開いたらどうするの?」
「お前は付いてこなくていい。邪魔なだけだ」
日向はスッパリと却下する。
「オレも強くなる!父さん、オレを今すぐ強くしてくれ!」
日向はしばらく考え聞き返す。
「強くなっても殺されるかも知れんぞ。
それほどオレたちの生きる世界は厳しい。それでもか?」
「それでもいい。オレは祢音を助けるまで死にはしない。祢音はオレの守護るべき人だ」
日向は桔梗と顔を見合わせしばらく考えそして結論を出す。
「いいだろう。お前が退院した後すぐに修行をする。1週間で幹部クラスにしてやる」
「ありがとう、父さん、母さん」
無月は少し微笑み2人に感謝の言葉を言う。
「さて、わしは仕事があるのでな。先に帰らせてもらう」
日向は振り返り扉へと向かうそして横目で無月をちらりと見る。
「お前が退院した日から修行を始める。覚悟しておけ」
「わかった。待ってるよ」
「ふ、さすが我が息子だ」
そう言って日向はにやりと笑い、扉を開いて病室から出て行った。
「本当に大丈夫?ケガだって治りきってないのに修行だなんて」
桔梗が心配そうに無月に問う。
「大丈夫だよ。オレは2人の息子だぜ。祢音だって娘だろ。信頼してよ」
「そ、そうね」
桔梗は少し納得してないような気がしたがとりあえず納得してくれたようだ。
「じゃ、母さんも仕事があるから帰るわね。無理しないでよ」
「大丈夫、大丈夫」
そう無月は言い桔梗を安心させ手を振る。
「じゃあね」
そして桔梗も病室から出て行った。
〜退院の日〜
担当した医者や看護師に見送られ如月親子は用意されていたリムジンに乗り込む。
車では運転手が無月に退院祝いの言葉をかけた。
「では、頼みましたよ」
桔梗を家まで送り、再び車は走り出す。
そして着いた場所は何の変哲もない神社だった。
「なんだ、ただの神社じゃないか」
車を降りた2人は運転手に礼を言って神社へと歩き出す。
「ただの神社じゃない。この中は時間の流れが遅くてな。
現実の1日がこちらでは約4日程度に感じる。つまり、1週間で約1ヶ月になる」
2人は神社の鳥居の目の前まで来る。
「では、行くぞ」
日向が鳥居をくぐろうとすると日向の姿が消える。
それに続いて無月も鳥居をくぐる。
そこは外部からは遮断された洞窟であった。
「さて、まずはお前の力を見せてもらうぞ」
日向は魔法で刀を出すと無月に投げてよこす。
「剣術ぐらい少しはやってきたであろう?」
そう言って日向はコートを脱ぎ無月と同じように剣を出す。
「ああ、ケガしてもしらないぜ」
「ふ、楽しみだな」
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
「ま、所詮剣術レベルではこの程度だな」
全く歯が立たなかった。
傷一つ付けるどころか逆に疲労で無月が倒れそうだった。
「さて、修行はここからだぞ。もう根を上げたのか?」
日向は刀を杖代わりにし、ぜいぜいと息をしている無月に言った。
「まだだよ」
「休憩している暇はないぞ。ノルマは1ヶ月で幹部クラスだからな。奥へ進むぞ」
日向はさっさと奥へ進んでいく。
「ああ」
無月はフラフラしながらもついていく。
〜それから1週間(1ヶ月)が過ぎた〜
無月と日向と桔梗は敵の本拠地の前にいた。
桔梗も付いてきていた。
「親父、母さん、仕事はいいのか?総帥だろ?」
傷だらけの無月は日向、桔梗を見上げ聞く。
「今のわしは総帥などではない。他人よりかなり強いただの親父だ」
「私もかなり強いただの母親ですよ」
「そっか」
無月は刀を出す。修行の終わりの日、日向がくれた特別な日本刀『夢羅雨』。
「ではお前の想いの強さ、見せてもらうぞ」
「祢音を必ず助け出しますよ」
「ああ」
そう言って3人は敵の本拠地へと走っていった。
無月、日向、桔梗の3人はいよいよ敵の本拠地に突入!果たして祢音を助け出す事ができるのか!?