第1話
この小説は以前某サイトで公開したものですがここでの公開にあたって目的などの大まかな設定はそのままに改訂版となっております。
「はぁ〜学園、メンドくせぇな〜」
夏休みが迫っている7月の雨が降りしきる中旬、
2人の学生が学園までの並木道を歩いている。
肩まで伸びた黒髪の少年が目にかかる髪をどけ、
目の前を激しく降る雨をうっとうしそうに見ながら言う。
この少年の名前は『如月無月』水月学園に通うある1つの状況を除けば平凡な中学2年生だ。
「そんなこと言わないの。もうすぐ夏休みなんだから頑張りなよ」
そう呟く無月の肩をポンと叩いた肩胛骨辺りまで伸びた茶色の髪を持つ少女は『如月祢音』。
名字でわかるように無月の妹。
ちなみに同じ年に生まれたため、無月と同じ中学2年生でしかも同じクラスである。
「メンドくせぇもんはメンドくせぇんだよ。こんな雨の日なんか特に気が滅入る」
そう言うと早足で並木道を歩いていく。
「はいはい。相変わらず物臭だね、お兄ちゃんは」
そう言うと祢音も後を追って早足で歩き始めた。
〜水月学園〜
「よっす」
「おう」
いつも話している友達に短い挨拶を済ませると無月は自分の席についた。
そして長く面倒な授業が始まると、睡眠授業で済ませる。
たまに教師からの激烈な洗礼を受けるがお構いなし。
そして昼休み、無月は友達と食堂で昼飯を食べていた。
「相変わらずお前は寝てばっかりだな」
無月の向かいに座る無月の友達の康宏がカレーを一口分頬張って話す。
「物を口に入れて喋るな」
無月はうどんを食って割り箸で康宏を指しながら言う。
「それでも成績が学年トップクラスってのはいいよね」
無月の隣に座って康宏と同じくカレーを食っているのは祐介。
「お前も成績いいだろが」
と一言言って無月はうどんをすする。
「それでも無月には敵わないよ」
から笑いのような笑いをして祐介も食べ始める。
そんな感じで昼休みは過ぎていきそして午後の授業を過ぎていった。
放課後無月はどこの部活にも所属していないのだが祢音が吹奏楽部であるため、
気がつく頃には何故か部活が終わるまで待つという約束ができていた。
その間、無月は校内をぶらぶらするなり、康宏たちと雑談するなどして時間を潰していた。
「おまたせ、お兄ちゃん」
廊下をぶらぶらしていると後ろから聞こえてきた声に振り返ると祢音が立っていた。
「終わったか。んじゃ、帰るか」
「うん」
事件が起こったのはその夜の事だった。
特殊な職業に就いているため兄妹の両親は朝早くに出かけ、夜遅くに帰ってくる。
朝食は母が作ってくれるが夕食はいつも祢音が作っている。
そしていつも通り2人で夕食を食べている時だった。
ガシャーンという窓の割れる音と共に武装した男が5人ほど入ってきた。
無月と祢音は椅子から降りて男たちを見る。
「誰だ!!」
その無月の叫びを無視し男たちは真っ直ぐこちらに歩いてくる。
「こっちにくるな!」
と無月は叫んだ瞬間、男たちの一人がゴツい拳銃を取り出し無月の頭に銃口を突きつける。
「黙れ。死にたくなければそこを動かず黙っていろ」
「うっ……」
銃口を突きつけた男が他の4人に祢音に向かって顎をしゃくると4人は祢音に近づく。
「いや……来ないで」
祢音は呟くような細い声で言うが男たちは躊躇わず祢音の体を掴み、
口の辺りにハンカチを当て祢音を眠らせるとそのまま連れだそうとする。
「おい!祢音をどうする――」
無月は叫ぼうとしたが、銃の先端で頭を突かれ後退る。
「小僧、黙ってろって言ったろ?」
「く………」
「よし、行くぞ」
という他の男に言われ無月に銃口を突きつけている男は振り返り外に出て行った。
「くそっ!待てよ!!」
無月は男たちを追って外に飛び出し一番後ろの男に飛びかかろうとするが、
ダァン
「ぐあ……」
男の中の誰かが撃った銃弾が横っ腹に命中する。
「おい、あまり音を出すな。気づかれるだろ」
「すまん」
薄れゆく意識の中、無月が見たのは、
男たちにトラックの荷台に乗せられる祢音の姿だった…ん…。
いかがでしたでしょうか?
まだプロローグのような物なので不明な点は多々あるでしょうがいずれわかっていきますので楽しみにしていてください。